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OECDの優先課題
OECD(経済協力開発機構)は、加盟30ヶ国内外の経済協力を通じて、世界経済の発展に寄与することを目的にしています。
OECDに集う各国政府は、精緻な比較分析に基づき、広範な経済・社会政策についての議論や政策調整を行っています。 OECDの活動の焦点は、相互レビューや意見交換を行なうことを通じて、金融の安定を維持しつつ、出来るだけ高いレベルでの持続可能な成長と雇用、更には、生活水準の向上を達成するための政策を立案することです。経済のグローバル化に伴って、OECDもグローバル化しており、世界中のOECD非加盟諸国との間で対話や協力を深めています。
OECDの活動を具体的にみれば、OECDは、
- OECD加盟諸国や非加盟諸国から経済社会分野のデータを入手して、これを比較分析し、
- それを踏まえて、今日、世界は緊急の対応を必要とするどの様な経済・社会 問題を抱えているか、また、将来世界が直面することとなる問題は何かを明らかにし、
- この問題に対処するためには具体的にどの様な政策が、またどの様な国際的協調が求められるのかを、加盟諸国政府に勧告するとともに、
- そのような勧告がどのように実施に移されているかをモニターして、加盟諸国政府に報告しています。
以下は、OECDの今日の優先課題につき、その一部を皆様にご紹介するものです。
1.高齢化
OECDは分野横断的研究として、人口高齢化がもたらす広範囲な国内および国際的影響を調査しました。1998年のOECD閣僚理事会に提出された報告書は、将来の経済的、社会的圧力を緩和するための政策変更を勧告しています。具体的には、年金、社会保障、医療保険、長期介護システムなどに与える影響をはじめ、高齢化が財政、金融、労働市場に与える影響に対処する国家戦略の必要性を指摘しています。OECDは、こうした戦略の実施をモニターする役割も果たしていきます。
(詳しくは、OECD政策フォーカス No.5「高齢化社会における繁栄の維持」
参照 )
2.贈賄・汚職との戦い
OECDは、国際的贈賄・汚職の防止のために主要な役割を果たしてきており、1994、96、97年にはそれぞれ勧告を採択しました。これらの勧告では国際的汚職防止のための施策がますます具体的になっており、外国の公務員に対する贈賄を刑事罰の対象とし、外国政府関係者に対する賄賂を税控除の対象から外し、開発援助資金を用いた契約における汚職を禁止し、更には、会計、監査、企業管理に関するルールを強化することなどが勧告されました。
1997年12月には、OECD諸国と非OECD5ヶ国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、ブルガリア、スロバキア)は、拘束力を持った条約に調印しました。この条約には、外国公務員に対する贈賄は犯罪を構成し、これを効果的に防止する刑罰を課すべきことが規定されています。この条約は、1999年2月に効力を生じました。この条約とOECD諸勧告の実施を促進するため、定期的なモニターと検討も行われています。
(詳しくは、英文FAQ参照)
3.非加盟諸国との協力
OECDは、現在優先的に行なっている活動に関して、非加盟諸国との間で対話を行なっています。この対話はOECD加盟諸国と非加盟諸国の双方にとって有益なプロセスであり、それぞれの政策についての認識を共有することが出来ます。また、非加盟諸国をグローバルな貿易・投資システムの中にさらに組み込んでいくことにも資するものです。
OECDは、ロシアがOECDの掲げる共通目標を達成できるよう、法律に基づく本格的な市場経済の建設のためにロシア政府を支援しています。更に、OECDにとって重要な貿易・投資パートナーとなってきた中国との関係も、OECDにとって優先事項となっています。1999年5月の閣僚理事会の機会に、ロシア、中国、インド、ブラジルなど非加盟7ヶ国と加盟諸国が閣僚レベルで特別対話を行ったことは、OECDにとって象徴的な出来事でした。
( 詳しくは、OECD政策フォーカス 1999.4月号
「移行期経済諸国における民間企業活性化」参照 )
4.コーポレート・ガバナンス(企業統治)
今日の世界ではますます金融市場の統合が進み、競争がグローバル化し、技術が急速に進歩しているため、企業統治のあり方が一層重要性を増してきています。各国政府は、法律や規則を通して、コーポレート・ガバナンスの効率性、信頼性、順応性に影響を及ぼすという重要な役割を果たしています。
コーポレート・ガバナンスについて透明性、情報公開、説明責任などの主要な点に関してOECDがとりまとめた「原則」(Principles)は、各方面より高く評価されています。この原則は、拘束力はないものの、各国政府や民間当事者に重要な指針を与えるものとして、1999年の閣僚理事会で歓迎され、承認されました。
5.教育と訓練
OECDは、生涯教育を支援するとの基本方針を有しており、この方針に基づき、OECD諸国の教育・訓練制度がどのように労働市場や社会、経済と相互に影響しあっているかにつき、広範な分析を行なっています。
分析の対象となる問題は、幼児教育・保育から成人の学習需要まで広い範囲に及びます。特に重要なのは、青年が労働市場へ組み込まれる際に直面する問題に関して、適切な政策を策定し、最も望ましい形でこれを実施ししていくために、学校から実社会への移行をテーマとした研究が行なわれていることです。この研究においては、OECD諸国間で比較可能な多種多様なデータや指標が提示されており、政府や、社会福祉関係者、教育・訓練関係者などの政策決定者に情報を提供しています。
6.電子商取引
インターネットの爆発的発展により、ネットワーク上での電子商取引が急速に広まってきています。政府は、この電子通信・商取引の利用に不当な負担や制限を課すことなく、この新たな電子的市場にふさわしい規制の枠組みを調整して作り上げていく必要があります。
OECDは、税制、詐欺と消費者保護、プライバシー保護、安全性といった分野で、電子商取引が及ぼす影響や、必要な政策につき研究を進めています。また、電子商取引という新たな活動形態が、経済や社会に広く与える影響、例えば、雇用、教育、健康などに及ぼす影響についても調査しています。
これらは相互に関係し合う問題であることから、 OECDとカナダ政府は、1998年10月に電子商取引に関する閣僚会議を開催しました。会議には、政府、ビジネス、労組、その他の国際機関の関係者が一堂に会し、電子商取引をグローバルに拡大させていくための一連の施策がとりまとめられました。
(詳しくは、OECD政策フォーカス No.1「電子商取引」参照
)
7.雇用
OECD加盟諸国は、高いレベルの雇用や、低失業、生活水準の向上などによって、労働市場の機能改善に努力してきています。その結果、「OECD雇用戦略」を国別に実施するための諸勧告が出されています。これらの勧告に沿った政策の実施状況は、OECDによる国別経済審査においてモニターされています。
OECDでは、「OECD雇用戦略」で取り扱われている全ての分野においてさらに木目細かな政策勧告を行なうよう、また、OECDの分析をより緻密なものとするよう努力が続けられています。現在、所得分配と貧困、若年労働者市場問題、教育と人的資本形成、企業家精神の役割、技術革新や技術普及を促進する政策、などについて研究・活動が行なわれています。
(詳しくは、OECD政策フォーカス No.3 「産業政策の新たな指針」、
No.9 「企業家精神の育成」参照 )
8.マクロ経済政策
マクロ経済政策の構築は、短期的にも長期的にも経済に大きな影響を与えるものであり、OECDではこれを継続的に分析しています。
OECDによる研究では、中長期的なマクロ経済政策の適切な方向性とともに、長期的目標に向けての政策の速度についても検討が加えられます。また、各国のマクロ経済政策が国際的にどのように相互に影響し合うか、マクロ経済や構造的状況と政策とがどう影響し合うか、などについても検証しています。
9.規制改革
OECDは、規制改革に関しセクター別の研究・活動を続けるかたわら、幾つかのOECD加盟国における規制改革の国別進捗状況を審査しました。(1999年4月には、対日審査報告が公表されています。)この審査では、政府による規制を質の高いものにするための制度的枠組み、市場開放に与える影響、競争政策などの調査に加え、電力と電気通信分野における規制改革についても審査されています。また、この審査には、各国自身による自己評価に基づいた部分も含まれています。
OECDの分析能力を高めるために、OECDは、全ての加盟国を網羅した一連の規制指標を作成し、諸々の産業部門においてより深い分析を行っています。
(詳しくは、OECD政策フォーカス No.4 「規制改革」参照
)
10.持続可能な発展
繁栄・豊かさという概念は、経済の成長・発展のみならず、環境の実態や生活の質をも同時に勘案すべきものであり、これがOECDの仕事の基礎となっています。
環境の分野では、OECDは、気候変動とその影響につき引き続き研究・活動を進め、この問題に対処するために必要な政策を提示していきます。
(詳しくは、OECD政策フォーカス No.8「持続可能な発展」参照
)
11.税制
OECDは、各国税務当局間の協力や研究のための場を提供しています。そこでは、二重課税を防止し、節税・脱税・税引下競争を最小限に止め、税によって引き起こされる貿易・投資フローの歪みを極力小さくするための努力が続けられています。
具体的な施策としては、二重課税防止に関するOECDモデル租税条約、企業内の移転価格ガイドラインの他、OECD基準・標準のOECD域外における普及を促進するための非OECD諸国との対話・協力などが挙げられます。
12.貿易
OECDは、その設立時に定められた任務に従い、分野横断的な独自の調査・研究能力を動員して、貿易と貿易に関連する諸問題を非公式に協議し、財とサービスの市場アクセスに対する伝統的な障壁から新たな障壁まで、分析・研究しています。また、最近の研究に基づく報告書において、貿易自由化の利益を立証しています。
OECDの研究・活動には、環境や競争政策と貿易政策とを統合する努力や、近く始まる多角的貿易交渉に向けての加盟諸国の準備作業が含まれています。また、現在進められているOECD輸出信用ガイドライン交渉においては、輸出信用という重要な分野でより厳しい規則が導入され、政府補助の削減がもたらされました。
(詳しくは、OECD政策フォーカス No.6「市場開放の重要性」、
No.7「農業政策改革」参照 ) |