|
1998/4/27
■1998年4月27-28日、パリ
I.本年のOECD閣僚理事会(毎年1回開催)では、次の諸点が討議された。
(1) 経済成長、アジア危機のグローバルな影響、そして多角的体制
(2) 構造改革と調整
(3) 多角的体制の強化
(4) OECDの現在と将来の課題
II.討議の結果、次の諸点を盛り込んだ共同コミュニケが採択された。
(下記は、コミュニケのポイントのみを短く伝えるものであり、コミュニケ訳文ではない。テキスト全文は、パリ本部のホームページで英文コミュニケを参照。)
<経済成長、アジア危機のグローバルな影響、そして多角的体制>
1.OECD諸国の役割
アジア金融危機により、グローバル経済の運営には次が重要と再認識。
■良きガバナンス(統治)
■構造改革:とりわけ、金融システム、規制改革、コーポレート・ガバナンス、労働市場、製品市場の改革
■マクロ経済政策:とりわけ、財政の透明化・健全化、そして、インフレの抑制
OECD諸国としては、経済成長と内需の堅持、市場の自由化、投資環境の改善が必要。特に、内需拡大による日本の経済成長は重要。
2.アジア金融危機
アジア諸国の長期的潜在成長性は高く、IMF・世銀と合意された改革の早急かつ完全な実施が重要。
アジア危機の貿易・投資への悪影響を回避するためには、貿易・投資の自由化を一層進めることが肝要。
アジア諸国を支援するためには、貿易金融と開発援助が重要。
OECDの相互監視制度の役割は大。OECD非加盟地域の金融不安によって引き起こされた構造問題に対処するため、OECD特別プログラムの設置に合意。
3.アジア危機はあっても、OECD諸国の経済は、概して良好。98-99の成長は平均2.5%、失業率は7%と予測。
特に、高齢化が進む中で、OECD諸国にとっての政策課題は、経済成長の達成とともに、財政の健全化とインフレの抑制。但し、短期的には景気循環により政策は異なり得る。
4.日本の経済対策を歓迎。金融制度の強化と構造改革の進展を期待。また、日本にとって長期的には高齢化が進む中で財政健全化は重要な目標。
5.グローバル化の中で、貿易と投資の自由化に対する国民の懸念が見られる。これに対処するため 自由化の利益につきもっと国民の理解を深めることが必要。
OECDの最近の研究報告書、「市場自由化の重要性(Open Markets Matter)」は、自由化が、効率を向上させ、製品やサービスの質を高め、所得を押し上げ、経済を成長させ、雇用を増大する形で、利益をもたらすことを明らかにしている。
6.MAI(多数国間投資協定)に関する閣僚声明より
投資に関する包括的な多数国間の枠組みは重要。現在のMAI交渉のプロセスを支持する。交渉グループの次回会合は、本年10月に開催される。
MAIは、協定当事国の国内政策の遂行と整合しなければならない。経済的懸念や、政治的、社会的、文化的に敏感な関心を考慮。環境保護基準や労働基準についての諸見解はますます収斂しつつある。今後、活発な国民的論議が必要。
7.経済的弱者のニーズに配慮し、失業や社会的排除から国民を守るために、経済政策や社会政策、そして環境政策を総合的に取り進める必要がある。
そのためには、次の行動計画が必要。
- 健全なマクロ経済政策と金融制度
- 労働市場、製品市場、税制、福祉における総合的改革
- 生涯教育
- 高齢化対策
- コーポレート・ガバナンス
- 電子商取引を含む革新技術の開発
- 貿易と投資の自由化
- 持続可能な開発
<構造改革と調整>
8.失業の削減は、特に欧州にとって最優先課題。OECD雇用戦略の実施が肝要。
9.企業家精神を鼓舞し、中小企業を設立・発展させるために、次の条件を整備することが重要。
- 資本市場
- 税制
- 行政上の規制
- インフラ
- 労働市場
- 製品市場
10.技術革新、生涯学習、教育・訓練の重要性に合意。
11.高齢化問題への対処に向けた、医療、年金制度の改革に関するOECD報告書「高齢化社会における繁栄を維持するために」を歓迎。
12.コーポレート・ガバナンスに関する基準と指針を作成する。
行政管理は良い政府のために不可欠。「行政倫理に関するOECD勧告」を歓迎。
規制制度改革に関する国別レビューを行なっているが、その報告に期待。
13.電子世界は、とりわけ中小企業に対して、新たなビジネスチャンスをもたらす。電子商取引などの新たな取引きにつき、貿易政策、税制、電子的確認、消費者保護、プライバシー、安全性の面でのOECDの役割は大。
10月の電子商取引に関するオタワ会議に期待。
「2000年問題」への対処も重要。
<多角的体制の強化>
14.WTOルールに従って、貿易自由化を進める。
農業改革も重要。特に、食品の安全性、食糧安全保障、環境保護、農村の活力に対処するための政策が必要。
15.中核的労働基準の遵守、「OECD多国籍企業ガイドライン」の改訂、「OECD造船協定」の早期批准、農産物の輸出信用に関する了解の早期合意、「外国公務員に対する贈賄防止条約」の早期批准と実施、マネーローンダリング対策の推進、有害な税制競争(税金引き下げ、優遇税制)の抑止、「ハードコアー」カルテルの防止、などに合意。
<OECDの現在と将来の課題>
16.OECD非加盟諸国との対話・協力は、双方にとって有益であり、引き続き強化。
17.ロシアの市場経済に向けたコミットメントを歓迎。
OECDパートナーシップ戦略の下で、開発途上国の自助努力を支援する。
18.気候変動、環境技術開発、環境保全指標作成、補助金の環境への影響などの分野で、今後3年間のOECD活動戦略を策定する。
19.OECD自体の改革も重要。OECDの仕事を優先順位付ける努力が必要。
|