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OECD「高齢化社会への改革」を発表
2000/12/6
ベビーブーマー世代に退職の時期が訪れようとしています。しかし、大半のOECD諸国では、いざ年金を受け取る段になると、労働力の減少により就労者から払い込まれる保険料で年金の原資を賄うことが難しくなると予想されています。こうした問題に対処するため、各国政府は年金政策を見直すとともに国民にできるだけ長く働き続けるよう奨励する必要に迫られています。
OECDの新刊「高齢化社会への改革」では、高齢化の影響を受ける幅広い分野で各国政府が近年取り組んでいる年金改革や関連の活動の進捗状況が報告されています。本書は、高齢化が財政、経済、社会政策にもたらす影響を解説し、その対策として7つの原則を提案した1998年刊行の「高齢化社会における繁栄の維持」の続編になっています。退職パターン変化の検証と将来の年金資金に影響を及ぼす人口構成トレンドの分析を踏まえて、本書は、適切な政策ミックスを採用すれば政府は高齢化社会によってもたらされる問題に対処できる、と結論付けています。
1998年の「高齢化社会における繁栄の維持」で提案された7原則は成果を上げています。7原則とは政府に以下のことを求めるものです。1.長く働き続けることの金銭的魅力を高める、2.
高齢者の就業機会を増やす、3. 財政の健全化、4. 退職後所得の多様化、5. 医療や長期介護の費用対効果の重視、6. 年金基金が運用される金融市場インフラの強化、7.
これらの改革を成功させるための国家戦略の策定。
年金財政ひっ迫への対策として、一部の国は退職年齢の引き上げや法定退職年齢の廃止に動いています。例えば、日本は年金支給開始年齢を引き上げ、英国も女性について同様の措置を講じています。米国も年金の満額支給開始年齢を徐々に引き上げており、イタリアやスウェーデンは保険料(支払額)と給付額を直接的にリンクさせることによって長く働き続けるインセンティブを高めています。
また、高齢者向けの再訓練ネットワークの構築に乗り出している国もあります。例えば、日本は高齢者の再訓練制度を導入し、フランスは企業が高齢者を自社内で配置転換し易くする法律を整備しています。オランダでは年齢に基づく雇用差別をなくすための法案が議会に提出され、フィンランドでは「雇用可能性」という狭い考え方ではなく、より広い「就労可能性」という概念に基づく実際的な職業訓練アプローチが開発されています。
アイルランドは公的年金制度の受給資格を得るのに必要な最低加入年数を従来の3年から10年へと引き上げています。オーストリアでは義務的な社会保険の対象をパートタイム等の労働形態にも拡大しています。英国では、障害者や高齢者の勤労意欲を高めるともに障害者給付の魅力を薄れさせる措置が導入されています。
こうした動きに伴ない、多くの政府が公的年金制度とともに企業年金制度や個人貯蓄の役割を強化する必要があることを認めるようになっています。また、公的年金制度の設計を見直す必要があることも認識されています。従来の公的年金制度の設計では、就労生活から突然退職へと移行する結果となり、しばしば早期退職が促されることになりました。これに対し、活動的な高齢化政策は、就労生活の長期化と退職への緩やかな移行を目指さし、意欲のある高齢者が積極的にコミュニティーに参加できるようにするなど、高齢者の経験と知識を重視する文化を支援するものです。
[高齢化関連報告書を見る]
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