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多くのOECD諸国の農業地域で水質汚染が飲料水基準を上回る
2008/06/16
OECDの最新報告書『1990年以降のOECD加盟国の農業に関する環境パフォーマンス』によれば、多くの域内諸国の農業地域では河川、湖沼、帯水層の汚染が飲料水の推奨限度を超えています。本報告書によると、OECD加盟13カ国の1割以上の監視地点で限度を超える硝酸塩、リン、殺虫剤が検出されました。
殺虫剤や栄養剤による汚染水を飲料水基準まで浄化処理するにはコストがかかります。例えば、英国の場合、農業による水質汚染関係のコストは年間で約3億4,500万ユーロと推計されます。栄養剤は急速な発藻をもたらし、海洋生物に悪影響を与えるため、大半の地域では沿岸水の農薬汚染も大きな問題となっています。
OECD諸国では1990年以降、全体的に殺虫剤の使用は減少しています。現在は多くの殺虫剤が環境にさほど有害ではなくなっている一方、いくつかの国で今では禁止されている一部の古い殺虫剤が環境中に残留していることが引き続き問題となっています。
報告書によれば、OECD諸国の3分の1では地下水の30%以上が農家により使用されています。オーストラリア、ギリシャ、イタリア、メキシコ、米国では、地下水が帯水層に蓄えられるより早いペースで地下水の枯渇が進んでいます。政府によって広く行われている灌漑支援も効率的な水使用にとってマイナスに働く恐れもあります。
報告書は次の点も明らかにしています。
- OECD諸国で広く実施されている農家への燃料補助金は、エネルギー効率にマイナスに作用します。例えば、燃料減税による歳入の逸失額は、フランスでは年間約9億5,000万ユーロ、米国では23億米ドルに上ります。
- 環境保全型農業を採用する農家が増え、有機農地面積は1990年代初頭から急増しています。有機農地面積はまだOECD諸国の全農地面積の2%未満に過ぎないものの、欧州の一部の国では6%を超えています。
- 農場経営慣行の改革により、土壌侵食度の低下や大気汚染の減少など、環境パフォーマンスは幾分改善しています。同時に、OECD農業生産高は1990年以降増加しています。これは、農地と就業者数が減少しているのに対し、農業投入財(肥料、殺虫剤、エネルギー、水)の効率利用が進展し、農業生産性が上昇しているためです。
報告書では、農業生産、農地、栄養剤、殺虫剤、エネルギー、土壌、水、大気、生物多様性、農業経営など、様々な指標に関する2004年までのOECD諸国の比較データを提供しています。報告書によれば、各国政府とも農業の環境パフォーマンスを高める取り組みを強化していますが、多くの農家支援は今でも生産とリンクされています。これは生産高の増加を促しますが、殺虫剤や肥料などの投入財の利用増にもつながります。
OECDによれば、この問題を解決するには、生産と切り離した農家支援への転換を今後も進め、的を絞りこんだ措置を組み合わせることにより農業における環境目標を追求していく必要があります。こうした措置としては、環境便益(野生生物の保全など)の直接支払い、汚染を防止する規制や租税の実施、農家向けの情報の充実、栄養剤や温室効果ガスによる汚染を軽減するための排出権取引や割当制の利用といった市場型解決策の模索などが挙げられます。
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