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Home OECD Tokyo > バイオテクノロジー > 「異種臓器移植:国際的な政策課題」 発表

バイオテクノロジー

「異種臓器移植:国際的な政策課題」 発表

1999/3/18

 異種臓器移植とは、ある種から別の種、特に動物から人間への、臓器、組織、細胞を移植することです。これは、科学的進歩が社会に論争や感情面での問題を投げかけている一例で、一貫した政策の枠組みが必要になっています。

 生命を救い費用効率の高い医療として移植が成功したことに端を発して、今や異種臓器移植は、拡大する人の臓器の需給ギャップを埋める一つの選択肢として進歩しています。しかし、それは安全なのでしょうか?本当に経済的に実行可能な解決策なのでしょうか?倫理的問題が関わってきますが、社会はどのような立場をとるのでしょうか?不確かなことが多く、遺伝子に修正が加えられた有機体に対する懸念もありますが、異種臓器移植の現状はどうなっているのでしょうか?また、実際の導入が広まるのはいつになるのでしょうか?

 3月18日に発表された「異種臓器移植:国際的な政策課題」には、異種臓器移植がどの程度進歩してきているのかが読みやすく明確に解説されています。また、未解決の問題やそれらを解決し得るメカニズムについての概要も紹介されています。

 本書は、この分野での世界の第一人者を集めてニューヨークで行われたワークショップの成果をまとめたものです。このワークショップでは、異種臓器移植が急速に進歩し、近い将来、患者の生活の質を著しく改善し得るとの見通しが明らかになりました。この10年間のバイオ技術、遺伝子移植技術、クローン技術の大きな進歩によって、近いうちに、異種移植の拒絶反応のリスクを許容範囲内に低下させることができるかもしれません。

 しかし、科学的、医療的な基準といった本質的問題は未解決のままです。本書では、ドナーとなり得るブタやヒヒを使って現在行われている研究や、その限界について説明しています。霊長類は、その起源が人類に近いため最も移植に適しているとされますが、逆に感染などのリスクが高くなります。したがって、これらの動物の利用には依然大きな不安があるのです。本書は、未解決の感染リスクに対応するための研究課題の設定、感染症の国内および国際間の監視ネットワークの確立、異種臓器移植患者の国際的追跡調査、技術の乱用防止のための国際協力が緊急に必要であると強調しています。

 また、経済的側面の検討も重要です。異種臓器移植のもつ経済的影響については未だ十分議論されておらず、誰が研究や保健安全メカニズムのコストを負担するのかといった問題も未解決のままです。異種臓器移植にはすでに多くの民間投資が関心を示しており、技術開発における民間企業の役割はますます重要になってきています。 1996年の市場調査によれば、年間の患者数が10万人と推定され、かなりの利益がこの分野で上がる可能性が指摘されています。

 本書で特に強調されているのは、移植を受ける人の尊厳、健康、人格を尊重し、他方ドナーである動物の愛護も保証する政策を策定する過程には、社会的な信頼が必要だということです。動物の管理・保護についての国際ガイドラインは、臓器や動物の輸出入規制、生物学的安全性と動物の愛護を図っていく上で、非常に重要です。しかし、倫理的原則は、一般に普遍性を有するものですが、その適用に当たっては地域文化に照らした特定の解釈も必要です。

 本書は、異種臓器移植問題についての明確で事実に基づいた議論及び倫理的監視ガイドラインや政策の枠組み作りのための国際協力に向けて、望ましい第一歩をしるすものとなるでしょう。

"Xenotransplantation: International Policy Issues" pp.114 \3200

 

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