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2005/05/17
AEOは、アフリカ諸国の経済・社会発展を理解するための、OECD開発センターとアフリカ開発銀行(AfDB)の専門知識を結集した真に比類のないツールである。今回の第4版では、アフリカの人口の85%、GDPの90%を占める29カ国(第3版では22カ国)の包括的で比較可能なデータと分析を提供している。対象国は以下のとおりである。
- 北アフリカ:アルジェリア、エジプト、モロッコ、チュニジア
- 西アフリカ:ベニン、ブルキナファソ、コートジボアール、ガーナ、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル
- 中部アフリカ:カメルーン、チャド、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ガボン、ルワンダ
- 東アフリカ:エチオピア、ケニア、マダガスカル、モーリシャス、タンザニア、ウガンダ
- 南部アフリカ:アンゴラ、ボツワナ、モザンビーク、南アフリカ、ザンビア
分析やデータと併せて社会的・政治的背景についても解説されている。さらに、共通の分析枠組みが用いられていることで読者は各国の経済見通しを比較することもできる。「概観」はAEOの主な結論を要約し、アフリカ経済をグローバル経済の中に位置付けている。AEOは毎年、アフリカの発展見通しにとって極めて重要なテーマについても詳しい分析を行っている。2005年版のテーマは中小企業(SME)の資金調達である。昨年版までのテーマとしては民営化やエネルギーなどがある。
AEOはアフリカやOECD諸国の意思決定者にとって欠かせないばかりでなく、援助機関、投資家、政府当局者にとっても資するところが大きい。調査対象国の多さと一貫した分析方法により、AEOはアフリカ大陸が直面する経済的な発展と課題について理解を深めようとする者の必読書である。
本AEO2004/2005年版は、2005年5月17日のAfDB・ADF(アフリカ開発基金)年次総会(アブージャ、ナイジェリア)と2005年6月6日のOECD/AfDBフォーラム(ベルシー)で公表された。AEOの主な結論は、7月のG8サミット(グレンイーグルス)で紹介され、9月の国連ミレニアム+5サミットなど様々な国家的・国際的フォーラムでも取り上げられる予定である(詳細はwww.oecd.org/dev/aeo)。
2004/2005年版AEOのハイライト
アフリカはこの8年で最も好調な経済パフォーマンスを達成している。2004年の経済成長率は5%を超えており、一部の国は依然として深刻な問題に直面しているものの(スーダンのダルフール地方の人道危機、ジンバブエの経済崩壊、コートジボアールとコンゴ民主共和国の紛争など)、多くのアフリカ諸国の見通しはここ何年も見られなかったほど好転している。経済成長がこのように上向いているのは以下の要因による。
- 需要増と一次産品価格の上昇を主な理由とするグローバルな景気拡大:原油価格と金属価格の高騰は多くのアフリカ諸国(主に産油国)の貿易収支にプラスの影響をもたらした。中国の爆発的な需要増は、モザンビーク、ガーナ、ザンビア、カメルーンなど、銅、プラチナ、アルミニウムの産出国に恩恵をもたらした。しかし、西アフリカ諸国は綿花とココアの価格下落による損失に直面している。
- 南部・中部アフリカ(アンゴラ、チャド、赤道ギニア)の新油田発見は成長パフォーマンスを押し上げた。さらに、東・中部・南部アフリカ諸国の一部を襲った2003年の干ばつの影響から農業生産が回復するとともに、大湖地域(Great
Lakes Region)、シエラレオネ、リベリアでも治安状況がやや改善した。2004年に西・北アフリカを襲ったバッタの大量発生からは当初予想されたほどの影響は出ていない。
- 国内政策の改善:高い経済成長率を達成できたのは、外部要因ばかりでなく、アフリカ大陸内におけるマクロ経済政策の改善にもよる。インフレは、原油価格の上昇にもかかわらず、全体的に過去最低水準をつけている。世界的な低インフレは、CFAフラン諸国など、為替ペッグ制を採っている国々に恩恵をもたらし、ますます増えている変動相場制の国々では慎重な金融政策が重要な役割を果たした。原油輸出国では一次産品価格の上昇による予想外の利益により財政状況が改善している。
2005〜2006年には堅調な成長が見込まれるが、リスクもある
中部アフリカ新油田の押し上げ効果がなくなるので2005年の成長率は4.7%へとやや低下するものの、2005〜2006年には引き続き堅調な成長が見込まれる。にもかかわらず、アフリカ諸国はなおも世界、地域、国内の危機にさらされる可能性が高い。明るい見通しを頓挫させかねない要因として以下が挙げられる。
- グローバル経済の減速:(米国の膨大な双子の赤字と過熱気味の中国経済を筆頭に)グローバルレベルの不均衡が強まっているだけに、マクロ調整は必至の情勢である。そうなれば、一次産品価格は下落し、ドル安は一段と進行し、世界的な金利上昇の可能性が出てくる。この結果として、アフリカ諸国は交易条件の悪化や競争力の低下(特に自国通貨をユーロにペッグさせている諸国)、さらに少なくとも一部の国(南アフリカなど)は資金調達コストの上昇にも苦しめられるだろう。
- 地域紛争の脅威:アフリカ大陸では、地域紛争は依然として民主主義と人権にとって最大の脅威となっており、経済パフォーマンスと貧困削減も脅かしている。コンゴ民主共和国は平和と民主主義へと移行している最中であるが、新たに東部で発生した内戦によりこの進展は脅かされる恐れがある。コートジボアールとスーダンのダルフール地方でも紛争は続いており、近隣国へと飛び火する可能性も完全には排除できない。
- 悪天候と寄生虫の大量発生により、一部のアフリカ諸国では経済成長、家計所得、農村部の貧困削減、輸出、歳入を大きく左右する穀物に被害が出る可能性がある。
援助の拡大はアフリカ大陸における経済活動の改善に寄与している。援助額は増加しており、アフリカ大陸はその最も大きな恩恵を受けている。しかし、援助額の増加は主に債務救済と緊急援助という形態をとっており、政府予算の増加にはつながっていない。さらに、援助額の増加にもかかわらず、ミレニアム開発目標(MDG)は依然として(全体で400億ドル以上も)資金不足の状態が続いており、2015年までに達成するとされた8つの目標の大半はあまり進展していない。1日1ドル未満で生活する人口の比率が2015年までに半減する可能性があるアフリカ諸国は6カ国(大半は北アフリカ)のみである。
したがって、援助フローを増やすべきであるが、援助の実効性を高める必要もある。
援助フローは予測可能性を高め、それによって実効性を高めるべきである。現在、二国間援助国のうち長期的な援助を供与しているのは少数の国に過ぎない。援助フローが変動すると、アフリカ諸国政府にとって、将来の歳出計画を立てる―長期的な開発目標の達成に必要な戦略的投資を行う―ことが極めて難しくなる。同時に、被援助国の多様性(援助吸収能力、内部資金・外部資金の調達能力、危機や紛争といった特殊な環境など)を考慮し、被援助国の手による改革プログラム作りも推進する必要がある。
アフリカ向けのショックアブソーバー
一次産品価格(綿花など)の変動や国際貿易協定の変更(繊維輸出割り当て廃止など)など、アフリカ諸国が環境の変化に適応しやすくする政策も必要である。これには大胆な改革が必要となる。特に、マクロ経済の安定を維持しつつ、MDGを達成しようとすれば、そうである。最後に、構造改革、民間セクター向けの環境改善、ガバナンスの強化などを通じて、経済の多角化を促す必要もある。
アフリカの競争力を高める必要
ベニン、ブルキナファソ、チャド、マリでは綿花セクター改革への目覚ましい取り組みが行われているにもかかわらず、他国では綿花セクターへの補助金が依然として廃止されていないため、世界市況は下落し、これらの国々の綿花産業は被害を受けている。先進国における農業補助金を減らし、アフリカ商品の市場アクセスを改善する取り組みは、今後も継続しなければならない。2004年1〜7月以降、建設的努力により、特に綿花セクターにおける輸出補助金の廃止と貿易歪曲的な国内支持の削減および大幅な関税引き下げを求める「WTO7月パッケージ」と呼ばれる枠組みが合意されている。しかし、こうした措置を実施する具体的な日程はまだ決まっていない。さらに、2005年年初からの繊維・衣料品貿易に関する輸出割り当て制限の撤廃により、アフリカの繊維輸出国が悪影響を受ける可能性もある。北アフリカ諸国、モーリシャス、マダガスカル、レソトなどの繊維輸出国はアジア諸国、特に中国との競争激化に直面するだろう。
民間セクターの発展促進への注力
民間セクターの発展と活力に溢れた中小企業(SME)の新興を促す環境の整備にさらに注力する必要がある。アフリカのSME―多くは多国籍である巨大企業とインフォーマルセクターとの間の「失われた中層部」―は不利な事業環境に苦しんでいる。SMEの発展にとって大きな障害となっているのは資金へのアクセスである。SMEの新興と効率的な企業規模への成長を後押しするには、持続的な取り組みと多面的なアプローチ(投資環境の改善、銀行の要求に応える能力の強化、金融機関や既存大手企業からの資金調達源の多様化など)が必要となろう。
最後に、汚職の根絶にさらに注力することも重要である。経済と政治のガバナンス強化は、事業環境を改善し、現地の民間セクターの発展を奨励する上で極めて重要である。紛争の減少により多くの国では民主的慣行が促進されているが、ほとんどの国では依然として汚職が蔓延している(汚職が最も多いのはアンゴラ、チャド、リビア、ナイジェリアなど石油資源の豊富な国々)。健全なガバナンスへの重点的取り組みは強化されている。こうした状況において、NEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ)のアフリカ・ピア・レビュー・メカニズムはアフリカ諸国の状況を率直に評価し、この分野の進展を促進するものと期待されている。
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