OECD プリント

脳研究は教育システムのデザインに役立つ

 

2002/09/20

OECDの新刊『脳を理解する:新たな学習科学へ向けて』によると、非侵襲的CTスキャンや画像処理といった現代技術によって、脳の生化学的機能が明らかになってきており、脳の認識、記憶、言語のメカニズムが解明されつつあります。本書はこうした研究結果を掲載するとともに、教育関係者が教育プログラムをデザインする時に医療技術がどのような影響を及ぼすか、政策立案者が学校制度を評価するかについて解説しています。

OECD教育研究革新センター (CERI)は3年前、脳は如何に機能するのか、また学習の最善の方法は何か、更にこの二分野を統合する最良の方法は何かに関する情報を集めるため、「学習科学と脳研究」プロジェクトを開始しました。プロジェクトの成果は、生涯を通して脳が新たに学習する能力、難読症の化学、感情が如何に学習に作用するか、外国語学習に効果的な年齢等の分野にわたっています。

学習は、脳と他の部分との連絡を容易にする細胞であるニューロン間に新たなつながりを増加させることによって脳を物理的に修正します。このことは、政策立案者が継続教育プロジェクトへの支出を検討したり、高齢化した労働環境において高齢者雇用を促進する方策を探る上で、関係のあることです。また、アルツハイマー病やうつ病の治療への応用も可能です。

本書は同時に、脳は加齢と共に退化するという通念を再考する必要性を指摘しています。研究結果によると、加齢と共に大きなニューロンの数は減少しますが、脳細胞は単に死滅するわけではなく、小さなニューロンの数は増加します。これによってシナプスあるいはニューロン間の連接部の数が減少し、思考スピードに影響が及ぶ可能性がありますが、知性が減少するわけではありません。25歳から83歳の成人を対象としたある研究では、流暢さ、思考の独創性、生産性、創造力の応用のいずれにおいても、年齢による違いは認められませんでした。

また別の例として、難読症として知られる言語学習や読解における障害が挙げられます。最近の研究によって、その症状の原因となっている脳の小さな部位が特定されただけでなく、その治療法が示されました。これは、特別学級の構成のみならず国民の読解力の向上に影響を与えると見られ、近い将来、難読症の研究と治療が認知神経科学の偉大な成功例となる可能性があります。

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Understanding the Brain, Towards a New Learning Science
ISBN 92-64-19734-6 \2650


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