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2002/10/20
OECDの最新の分析によると、高等教育が個人にもたらす利益は、大学教育を受けるための費用と同額の投資を行った場合の潜在的利益率を大きく上回ります。
OECDの年報「図表で見る教育(Education at a Glance)」2002年版によると、大卒者の平均収入は高く、失業リスクは低いことから、その就労期間の収入は中等教育修了者よりもかなり多くなっています。
学位取得までにかかる時間、学費、税といった利益にマイナスの効果をもたらす要素を考慮に入れた「個人の推定内部収益率」に基づくと、高等教育への投資は、個人が富を築く将来の可能性を高めるのに魅力的な方法であることは確かです。
本書は、全ての国でこの個人収益率は実質金利を上回っており、しばしばそれが顕著であることを示しています。比較可能なデータがある10カ国のうち、男性の個人収益率が最も低いのがイタリアと日本(約7%)です。デンマーク、フランス、オランダ、スウェーデン、米国は10%から15%の間、英国は17%となっています。
通学年数(個人が正規教育に費やす平均年数)は、比較可能なデータがあるOECD加盟二十ヶ国中二ヶ国を除いて全てが、1995年から2000年の間に増加しました。増加が大きかったのは、ギリシャとハンガリーで、それぞれ16%と14%増でした。
本書によると、この増加は、義務教育後に受ける中等教育の期間が延びたことを反映しています。この傾向の要因としては、教育水準の不十分な若者にとって、失業や他の形での就労からの排除のリスクがより高くなっていることが挙げられます。
しかし、高等教育に進んだ学生数はほとんどのOECD諸国で1999年から2000年の間に増加しています。多くのOECD諸国では、教育から就労への移行期間がより長く複雑になってきており、生徒が学習と勤労をと組み合わせることが可能、あるいは不可避になっています。
大学および非大学の高等教育レベルで学生数が最も増加した国は、ポーランドとハンガリーでした。これは、人口増加と進学率の上昇を反映しています。フランスとドイツでは、人口に占める進学者の比率は上昇したものの、就学年齢の人口が減少したため、学生数は減少しました。反対にトルコでは、人口は増加したものの、進学者数は減少しました。
同時に、資本、財、人が一層自由に循環する時代にあって、個人もまた外国の高等教育機関への関心を高めています。入手可能なデータによると、2000年に、160万人の学生が外国の高等教育機関に進学しました。このうち、OECD諸国で学ぶ学生は150万人でした。これは二年前と比較して14%の増加で、他のOECD加盟国出身の学生は、非加盟国出身の学生と同じ割合で増加しています。
OECD加盟国で学ぶ留学生のうち最も多いのが中国人で留学生全体の7.1%を占めています。OECD加盟国出身者の中では、最も多いのが日本と韓国からの留学生で、それぞれ4.6%、3.9%を占めています。続いて、ギリシャ(3.6%)、ドイツ(3.5%)、フランスの(3.4%)、イタリア(2.7%)となっています。OECD非加盟国について見ると、中国に次いで外国で学ぶ学生が多いのはインドで、全体の3.4%を占めており、続いて、モロッコ(2.7%)、マレーシア(2.4%)となっています。
留学への関心を十分活用することができた国は一部に留まっています。外国で学ぶ学生全体の28%を受け入れているのが米国で、これに英国(14%)が続きます。ドイツ、フランス、オーストラリアも留学生が多い国のリストの上位にランクされています。
この他に、本書は以下のトレンドを紹介しています。
- 平均して、OECD諸国の学生の3人に1人が、高等教育の第一レベル修了以前に脱落してしまいます。幾つかの国家教育制度の内部効率性が問われています。脱落率が最も高いのはイタリア(約60%)です。対照的に、日本、トルコ、アイスランド、英国では、5人のうち4人以上が教育課程を修了しています。
- 教育への公的支出の伸びは、引き続き政府支出の伸びを上回っていますが、GDPの伸びを上回るほどではありません。比較可能なデータが存在する1999年には、OECD諸国の教育(公的および私的)への支出は平均でGDP比5.5%でした。
- 教育への支出額が最も多い国は、韓国、デンマーク、スウェーデン、カナダ、ノルウェー、米国で、その支出はGDP比で6.8%から6.5%に相当します。しかし、ノルウェ−、スウェーデン、デンマークでは大部分が公的支出となっており、一方、韓国、米国、カナダでは、民間の財源の支出が殆どでした。
- OECD諸国の一部、特にオーストリア、フィンランド、ドイツでは、大学レベルの学生一人当たりで見ると年間の支出はあまり多くありませんが、在学期間が長いため総額で見ると高等教育コストは高くなります。
- 小学校における一クラスあたりの平均生徒数の分布は、デンマーク、フィンランド、ルクセンブルグ、スイスの20人未満から、トルコの31人、韓国の36人までとなっています。また初等教育での教師一人あたりの生徒数の分布は、デンマークの10人から韓国の32人となっています。
- OECD諸国の平均的な9才が教室内で過ごす時間は、一年間で829時間です。この時間が最も短いのはアイスランド(630時間)で、最長がイタリア(1020時間)です。OECD非加盟について見ると、ウルグアイでは、この時間は455時間に過ぎず、一方でチリは1140時間となっています。
- OECD諸国の平均的な14才が教室内で過ごす時間は、一年間で944時間です。この時間が最も短いのはスウェーデン(741時間)で、最長がオーストラリア(1262時間)です。
- 平均するとOECD諸国の15才の生徒は学校内で、14人で一台のコンピューターを共有しています。しかし、この数値は国、地域、学校による差が大きく、1台のコンピューターあたりの生徒数はオーストラリアと米国では5人、ニュージーランドとノルウェーでは6人、ドイツ、ギリシャ、メキシコ、ポーランド、ポルトガル、スペインでは20人を上回っています。
- コンピュータの使用については、15歳の3人に1人が学校で毎日、あるいは少なくとも週に数回は使用し、3人に2人が同様の頻度で家でも使用しています。15歳男子は平均して、女子よりもコンピューター使用能力に自信を持っています。ジェンダーの差が最も大きい国は、デンマーク、フィンランド、スウェーデンで、最も小さいのはオーストラリア、ニュージーランド、スコットランド、米国です。
- 一部の国ではクラス内の規律の緩みが問題になっています。平均すると15歳の生徒の3人に1人が授業開始後5分以上何もしていません。ベルギー、デンマーク、ギリシャ、アイスランド、ノルウェーでは授業開始の遅れが他の国よりも目立っています。およそ3人に1人が授業中の雑音と無秩序に対して不満を持っています。フィンランド、フランス、ギリシャ、イタリアでは、この問題の広がりが最も顕著です。
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Education at a Glance 2002
ISBN 92-64-19890-3 \5700
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