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OECDとUNESCO、生徒の学力の地域格差を特定

 

2003/07/01

今般公表された43ヶ国の15歳を対象とした調査によれば、読解力ではフィンランド、数学と科学では日本、香港、韓国がトップを占めました。これに対し、いくつかの中南米諸国は、国民所得の水準が低いことを考慮に入れても、この三分野の全てで深刻な遅れを見せています。

これらは、OECDの「生徒の学習到達度調査(PISA)」のデータに基づいてOECDとUNESCOが共同でまとめた新報告書「Literacy Skills for the World of Tomorrow」の結論の一部です。

PISAは、参加各国で4,500人から1万人の15歳の生徒を対象にテストと家庭的背景に関するアンケートを行うことによって、生徒が今日の知識社会の課題にどの程度対応する準備ができているかを測定するものです。PISAは、これまでで最も包括的で厳密な国際的取り組みで、生徒の学力を評価するとともに、学力の差につながる可能性のある生徒、家族、制度的要因に関するデータを収集しています。このようにして、PISAは各国の教育制度の長所と短所を認識するためのツールを政策当局に提供しています。

本報告書は、2002年に主に中所得国の15ヶ国−アルバニア、アルゼンチン、ブラジル、ブルガリア、チリ、香港、インドネシア、イスラエル、ラトビア、リヒテンシュタイン、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(FYR)、ペルー、ルーマニア、ロシア、タイ−から収集されたデータと、2000年にOECD加盟30ヶ国中の28ヶ国から収集され、2001年に初公表されたデータとの比較・分析を行ったものです。
(OECD加盟国は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国。スロバキアは、2000年12月にOECDに加盟したため、第1回PISA調査には参加していなかった。オランダについては、データは収集されたが回答率が不十分であったため、公表されなかった。)

OECD非加盟国の中では香港の生徒の学力が際立っており、読解力の総得点ではOECD上位国に匹敵しています(フィンランド、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、アイルランドに次ぐ順位)。数学的リテラシーと科学的リテラシーでも、日本、韓国の生徒とともに、平均点で他の国を上回っています。

一方、中南米諸国の生徒は大きな遅れをとっています。ペルーはレベル1以下の生徒の割合が一番多く(80%)、知識や技能を他の分野で向上、増大させるツールとして読解力を用いることが極めて困難な状態にあることを示しています。ブラジルとチリの生徒の学力も多くの他の調査国を大幅に下回っており、生徒の約半数がレベル1以下でした。その他の国で特に得点が低かったのはアルバニア、インドネシア、マケドニアFYRで、最も単純な読解作業しかできない生徒が半数をはるかに超えていました。

PISAによれば、国内における裕福な家庭の生徒と貧しい家庭の生徒との間に読解力で大きな差が見られたのはアルゼンチン、米国、チリ、イスラエル、ポルトガル、メキシコ、ペルー、ブラジルでした。

生徒1人当たりの支出額平均が高いほど、これらの三分野の学力の平均は高くなる傾向がありますが、必ずそういうわけではありません。イタリアの生徒1人当たりの支出額は韓国の約2倍ですが、韓国は学力の全分野で上位に入っているのに対し、イタリアの学力はOECD平均を大きく下回っています。

本報告書は、こうした傾向は国の教育制度の質と関係があり、学習到達度にとって重要なのは国や家庭の富よりも国の教育制度の質の方であると結論付けています。また、効率的で仕組みのしっかりとした教育制度は子供の学習能力に影響を及ぼす多くの社会経済的障害の克服を後押しできると指摘しています。

「PISAのデータによれば、多くの国では生徒の家庭的背景は常に学習成果に差を生じさせる要因となっているが、平均学力が高水準にあり異なる家庭的背景の生徒間の学力格差が小さい国もあるという事実は、学習成果の質と公平性は必ずしも互いを犠牲にするものではないことを示唆している。それどころか、カナダ、フィンランド、香港、日本、スウェーデンの例は、教育の質と公平性を同時に達成できることを示している」と本報告書は指摘しています。

報告書は、中南米では留年率が比較的高いとも指摘しています。例えばブラジルでは、調査年(1999年)の留年率は小学生で約25%、中学生で約15%に達していました。アルゼンチンとペルーでも、中学生の留年率は約7%でした。

PISAの学力三分野での男女格差の分析によると、読解力では全ての国で女子の成績が男子の成績を上回っている一方、数学的リテラシーでは、アルバニアを除き、男子が総じて女子より高い成績をあげる傾向があります。科学的リテラシーについて、性別による差はほとんど見られません。また、性別による違いの大きい点として、調査したほとんど全ての国で、女子の方が男子よりも将来の職業に関する期待が大きいことが挙げられます。本書のデータによれば、15歳時点での将来の職業に関する期待はしばしば生徒がその後実際に就く職業の有力な目安になります。

男子の読解力が低いのは、読書に親しんでいないことと密接に関係しています。必要な情報を得るためにしか読書しない生徒の比率は、女子の33%に対し、男子では約58%に達しています。これに対し、趣味で1日30分以上読書している生徒の割合は、女子では45%でしたが、男子ではわずか30%でした。

PISAによれば、学校に通っている児童の比率は男子、女子ともほぼ同じで、大半のOECD非加盟国ではわずかに女子が上回っていました。学校に通っていない世界の1億1,300万人に上る児童の3分の2が女子であることを考えれば、これは明るい材料です。中学に通っている児童の比率が女子より男子の方が高かったのはブルガリア、インドネシア、マケドニアFYR、ペルーでした。

本調査では、子供の学習成果では親の教育−特に母親の教育レベル−が重要な意味を持っていることも確認されました。全ての国で、母親が高校教育を修了している生徒の方が、そうでない生徒に比べ、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーで高い得点を獲得しています。この差が特に大きかったのはマケドニアFYR、ブルガリア、アルゼンチン、アルバニアで、最も小さかったのはアジア諸国でした。

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