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教育

OECD、生徒の意欲が学習の成功に不可欠と指摘

2003/09/30

学習が成果を挙げるかどうかは、的確な指示や知識を蓄積する能力だけでなく、生徒が学習過程にどうアプローチするかにも左右されることが、OECDが行った26カ国の15歳男女に関する調査結果をまとめた報告書「Learners for Life - Student Approaches to Learning」で明らかになりました。

本書によれば、強い意欲と能力に自信のある生徒は適切な自己学習管理ができ、その結果、学校での成績も格段に優れています。

今回の調査はオーストリア、オーストラリア、ベルギー(フラマン語圏)、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、ドイツ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、韓国、ルクセンブルク、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、スコットランド、スウェーデン、スイス、米国で行われました、調査結果は、教育制度が注力すべきは、単に適切な指示を与えるだけではなく、学校やそれ以外の場所でも生徒が自分で効果的に学習管理できるための態度と習慣を身に付けられるようにすることであると指摘しています。

本書で用いたデータは、43カ国の15歳男女の知識と技能を評価する「生徒の学習到達度調査(PISA)2000」の作業の下で集められました。PISAでは、生徒に自分の学習に対するアプローチについて、1)やる気、2)自分についての認識(自信)、3)学習戦略、4)協力的な学習環境と競争的な学習環境とではどちらを好むかという四側面での調査が行われました。

本書では、生徒が採用している学習アプローチによって四つの集団に分類しています。最も力のある学習者の特徴としては、効果的な学習態度と、学習を促進する習慣と姿勢が挙げられます。この集団に入る生徒は理解に基づく戦略、すなわち「評価」と「管理」の戦略を用いる傾向が特に強いことが明らかになりました。また、困難な目標であっても達成できる力が自分にはあると強く信じており(自分を有効に働かせる能力)、多大な努力と忍耐を惜しまず、読書に興味を持っているという傾向も見られました。

フィンランド、ノルウェー、米国では、28%の生徒が力のある学習者の集団に分類されますが、ベルギーのフラマン語圏とスイスではその割合はわずか23%に過ぎません(図1参照)。上記の特徴を基にして最も力のある学習者と位置づけられた生徒の成績を国際的に平均すると63点となり、「最も力の弱い学習者」の生徒よりもPISA基準による習熟度はほぼ1レベル高くなります。

調査によると、例えば読書への関心があるなど意欲的な生徒は高い読解力水準に達する傾向が見られるとともに、自信のある生徒の方が成績が良く、特に、効果的な学習戦略を取っていると回答した生徒の方が適切な学習管理を行う傾向にあります。

このような生徒は、そうでない生徒と比べ、学習の必要性を前向きに捉えるとともに、自らの達成度を把握しており、教師にその都度頼ることはあまりありません。こうした生徒は学校の成績で優位なだけでなく、生涯学習者となる資質、すなわち教室という直接的な監督下になくても学習を継続するという資質においても優位に立っています。

また、OECD加盟国全体を通じて、さまざまな学習アプローチと生徒の成績との関係には、文化や教育制度の違いにもかかわらず驚くべき類似性が見られます。調査を行った大半の国の学校では、少なくとも一部に、自信がなく、意欲も低く、学習戦略の弱い生徒がいました。従って、最も力の弱いこのような生徒に対する問題に取り組むことは、各学校にとっての最大の課題となっています。

本書では、国に関係なく生徒は数学よりも読解力に自信を持っていることも示しています。しかし、こうした共通点がある一方で、国による違いもあります。読解と数学の能力に対する自信については、デンマークの生徒がともに最も高いのに対し、韓国の生徒はいずれも最も低くなっています(図2参照)。

本書ではまた、異なるグループの生徒間で学習へのアプローチに次のような違いがあることも示しています。

  • 男子は読解力で女子に劣るものの、学習者としては総合的に女子よりやや優位に立っている(図3参照)。例えば、難解な学習課題をやり遂げる自信は女子よりも男子の方が強い。一方、女子は男子よりも読解力に自信を持っており、読書への関心も高い。
  • 優位な社会集団に属する生徒ほど学習者としても意欲的で、特に、優れた成果を挙げる能力に強い自信を持っている。
  • 移民の生徒は大半の国でその国で生まれた生徒よりも読解の成績がかなり低いにもかかわらず、学習アプローチについては一般的に劣らない。移民の生徒のとるアプローチは殆どの国で類似している。オーストラリアとニュージーランドでは、その国で生まれた生徒よりも移民の生徒の方が意欲、自信、学習戦略で優位にある。

全体的に見ると、調査結果は生徒の学習に対するアプローチを強めることで教育に大きな効果があることを示しています。生徒間の学力格差の約5分の1は、そうしたアプローチの様々な側面と結び付いています。教育改革については、教師が意識的に生徒を効果的な学習戦略に導き、そうした戦略に必要な自信と関心を生徒自らの手で築かせることができるよう教育制度を見直す必要があると考えられます。それには如何に生徒に積極的な学習アプローチを根付かせるか、そして如何に生徒に知識を教授するかを教師が理解できるよう教職訓練も変えていく必要があるでしょう。

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