|
2006/01/25
よくコンピューターを使用する生徒の方が主要科目で好成績
OECDの新報告書“Are students ready for a technology-rich world?”によると、コンピューター慣れした生徒の方が、コンピューター利用経験の乏しい生徒やコンピューターの基本的機能を使いこなす自信の無い生徒より、主要科目の成績は良い傾向があります。
本報告書「生徒は技術社会への準備ができているか」は、15歳児を対象にしたOECDの2003年学習到達度調査(PISA)に基づく、この分野で初の国際比較可能なデータを提供するもので、学校におけるコンピューターの重要性に関するこれまでのOECDの分析を裏付けています。
大半のOECD諸国では学校でのコンピューター利用が増えていますが(図1参照)、多くの生徒がまだあまりコンピューターを利用できない国もあります(図2参照)。さらに、コンピューター利用は家庭より学校の方が一般的ですが、15歳児は家庭でより頻繁にコンピューターを利用しています。
OECD諸国では平均で生徒のほぼ4人のうち3人−カナダ、アイスランド、スウェーデンでは10人のうち9人−が家庭で週に数回コンピューターを利用しています。これに対し、学校で頻繁にコンピューターを利用している生徒は44%に過ぎません。家庭と学校での利用格差が著しい国もあります。ドイツは学校でコンピューターを頻繁に利用する生徒の比率がOECD諸国で最低(23%)ですが、家庭で頻繁に利用する生徒の比率は高くなっています(82%)(図3参照)。
生徒の数学の成績との関係は際立っています。コンピューターを数年間利用している生徒は多くの場合、成績が平均以上です。これに対し、コンピューター利用経験がないか、利用期間の短い生徒は成績が劣る傾向があります。
OECDの調査によれば、コンピューター利用期間が1年未満の生徒(総サンプル数の10%)は成績がOECD平均を大きく下回りました。これに対し、コンピューター利用期間が5年以上の生徒(総サンプル数の37%)は成績がOECD平均を大きく上回りました。
一般に、コンピューターを利用し始めたばかりの生徒の成績が芳しくないのは、1つには生徒の家庭環境の影響によるものです。特に家庭であまりコンピューターを利用できない生徒は恵まれない家庭環境にある可能性が高いといえます。しかし、社会経済的要因を考慮しても、定期的なコンピューター利用から大きなプラス効果が得られることは明白です。これは特にオーストラリア、ベルギー、ドイツ、韓国、スイス、米国において明らかです。
この他の調査結果は以下の通りです。
- 生徒は家庭でゲームをするだけでなくコンピューターの様々な機能も利用している。アンケート調査した全生徒の半数は、ワープロソフトとインターネット(検索ツールとして)を頻繁に利用している。
- コンピューターに対する姿勢が最も積極的だったのはオーストリア、カナダ、ドイツ、アイスランド、韓国、ポーランド、ポルトガルの生徒、最も消極的だったのはデンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイルランド、日本の生徒であった。
- 女子はコンピューターの機能、特にプログラミングやマルチ・メディア・プレゼンテーションなどハイレベルの機能を使いこなすという点で、男子より自信がない。また、女子は男子より総じてコンピューターを利用する頻度が少ない傾向も見られる。大半のOECD諸国では、男子の方が女子より家庭にコンピューターがあることが多く、コンピューターゲームやプログラミングをする傾向も高い。
- OECD諸国の中で15歳児の家庭でのコンピューター利用が最も少ないのはギリシャ、メキシコ、ポーランド、スロバキア、トルコで、特に家庭環境が恵まれない生徒の場合はそうである。
- 大半のOECD諸国では、学校でのコンピューター利用に男女差は無い。ベルギー、アイルランド、韓国では男子より女子の方が学校でコンピューターを利用している。
- 学校にコンピューターが導入されている場合でも、生徒は必ずしも同じようにコンピューターを利用できるわけではなく、状況は国によって異なる。例えばドイツの場合、学校で1台のコンピューターを共有する必要のある生徒数はオーストラリア、韓国、米国の3倍である。
|