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2007/09/18
大学教育の普及拡大は経済的繁栄や卒業生の収入増加をもたらしますが、OECD「図表で見る教育2007年版」によると、低学歴層の雇用についても、高等教育の拡大によって圧迫されるのではなく、むしろ拡大する可能性が見られます。
比較可能なデータのあるすべての国で、大学卒業者は大学を卒業していない人に比べて就職が容易で賃金も高くなっており、この傾向は近年、多くの国でより顕著になっています。しかし、大学卒業者が増加するとその分下位層で失業が増えるという「押し出し効果」の可能性はないようです。
「図表で見る教育」は各国の教育システムの質、量、公平性、効率性を数値で示し、教育に関する指標を国際的なレベルでまとめたもので、各国政府や教育専門家に対して政策の議論・決定のためのベースとなる国際的に比較可能なデータを提供しています。本年版では特に以下のような点を取り上げています。
- 若年層の大学卒業率が最も高いのは就学年限の短い国(オーストラリア、デンマーク、フィンランド、アイスランド、イタリア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド)であり、40%を超える一方、就学年限が比較的長い国(ドイツ、オーストリア)では20%前後となっています。
- 高等教育機関への入学は増加を続けており、高校卒業生の50%超が高等教育機関へ入学しています。国によっては進学率が75%を超える国もあります。
- こうした増加傾向にも関わらず、学位取得者の平均収入は低下するどころか、多くの国ではむしろ増加しています。
- 一般的な予想に反して、大学教育が最も拡大している国では、大学教育の拡大が下位層の雇用を阻害していません。1995年から2004年の間に最も高等教育卒業率が増加したのはフランス、アイルランド、韓国ですが、下位層での失業率はわずかな増減が見られるに過ぎません。一方、同期間に卒業率がほとんど増加しなかったドイツ、チェコ、スロバキアでは下位層での失業率が大幅に増加しました。
- いずれの国でも、後期中等教育を卒業しない場合のデメリットは大きく、高校を卒業していない人の失業率は高校を卒業した人に比べて5パーセンテージポイント、大学を卒業した人に比べて7パーセンテージポイント高くなっています。
- 移民を自国の学校教育制度に適応させることは、多くの国で教育の公平性を保つための大きな課題となっています。移民第1世代の成績は、移民でない同学年の生徒と比較して平均1年以上の進度に相当する遅れがあります。
- 各国の教育支出を見ると、全体としては1995年から実質ベースで40%以上増加していますが、そうした投資から最大の成果を挙げているかといえば、まだまだです。指導の効率化によって、支出は現状レベルに据え置いたまま、教育成果は22%改善できると分析されています。
今後、高等教育の資金調達は多くの国で問題となるでしょう。入学率の増加が高等教育への支出の総額の増加率を上回った結果、学生一人当たりの支出額が低下する国も出始めています。新しい資金調達方法や学生支援政策を導入して公的・私的資金を集めるのも解決策のひとつです。すでに多くの国がそうした施策により、学生の入学に障害となることなく資金調達に成功しています。
例えば北欧諸国では教育機関、学生(およびその家庭)双方に支援を行うなど主に公費負担によって、高等教育機関への高い進学率を達成しています。オーストラリア、日本、韓国、ニュージーランド、英国でも高等教育機関への進学率は増加しており、その費用は学生とその家庭の支出に大きく依存しています。
それに対して、大陸欧州諸国では大学に対する公費支出が少なく、また大学が授業料を徴収することも認められていないため、ヨーロッパで高等教育を受ける学生一人当たりに対する平均支出額は米国の半分をさらに大きく下回っています。
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