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電力市場改革の推進策
2003/11/24
IEA加盟諸国の大半は電力市場の自由化を進めており、発電向け新規投資資金の調達責任を民間投資家へとシフトしています。もはやそのコストを消費者に自動的に転嫁することができない上、将来の電力料金も不透明であることから、電力インフラに投資する投資家はこれまでより高いリスクにさらされています。IEAが本日発表した報告書二点には、自由化プロセスの推進に役立つ幾つかの実際的な戦略が示されています。
「Power
Generation Investment in Electricity Markets」は、市場の力によって投資家と政府の役割がどのように変化しているかを調査したものです。本書の刊行にあたってウィリアム・C・ラムゼイIEA事務次長は次のように述べました。「電力市場は総じて十分な投資を奨励してきたが、政府は依然として電力市場のパフォーマンスやその投資を推進するために不安定な電力料金に依存することを憂慮している」。
自由化は元来、政府による電力市場への介入を制限するために行われたものですが、電力料金が不安定なために政府は電力料金抑制のための介入を行うことを迫られています。本書はIEA諸国の電力市場における不安定な料金について幾つかのケースを取り上げ、市場価格は電力需要のピーク時に対応するための新規投資を確保する上で必要なインセンティブであるが、料金を抑制するための政府の市場介入はこの新規投資に水を差す可能性があることを指摘しています。必要な投資を確保するには、電力市場改革における政府の役割をより慎重に規定しておく必要があります。政府の役割には投資水準の監視や市場操作の恐れへの効果的な対応が含まれるべきです。
本書は投資家がどのように発電向け投資リスクを内部化する必要に対処しているかを論じています。投資先を選択する際の判断基準は依然として資金と総コストですが、すぐに導入でき、柔軟に稼働できる技術の価値がますます重視されるようになっています。投資家はアウトソーシングの活用、小売企業の買収、天然ガス事業者との合併などによってもリスク管理を行っています。
もう一つの重要な点は、価格変動はうまく機能している市場に必然的に伴うものであるが、料金に対する需要の対応を高めることによって価格変動は緩和できるということです。本日発表されたもう一つの報告書「Power
to Choose-Demand Response in Liberalised Electricity Markets」はIEA加盟国の経験を踏まえ、需要対応のメリットを示しています。それはつまり、電力利用者に電力料金の変化に対応して自身の電力需要を変えるインセンティブと能力を付与するということです。
電力市場は本質的に変動するものです。電力需要は日によっても季節によっても増減し、天候にも左右されます。こうした需要の変動にあわせて常に供給できる体制を整えておく必要があり、そのためにコストは膨れ上がることになります。極端な場合、十分な供給(または送電・配電)能力が無ければ、部分的あるいは全面的な停電になる可能性があります。
需要対応を高めれば、料金と需要のピークを抑制し、信頼性を向上することができます。「対応」には消費者行動の自主的な変化―温水暖房、衣料の洗濯・乾燥、食器洗浄などの家庭内電力需要を控えたり、より効率的なエアコン機器、暖房機器、照明機器などによって電力需要を減らしたりするなど―も含まれます。企業の電力対応には、冷蔵室や冷凍室などのエネルギー貯蔵システムやアルミ精錬所などの高温処理施設について電力需要をオフピーク時にずらすことなども含まれます。
こうしたことが現実になるには、電力利用者側に電力の利用パターンを変えるだけのインセンティブがなければなりません。しばしば家庭や中小企業が支払わなければならない規制料金は1年間あるいはそれ以上もの間固定しています。また、電力使用後何ヶ月も経ってから請求書が届くこともあります。これでは、家庭や中小企業に対しては需要と価格のピーク時に電力需要を変えるだけのインセンティブは働きません。需要対応の場合、顧客は、一般にある短期間については料金を高く設定する(電力消費を減らすことが消費者に求められる)代わりに、それ以外の期間については料金を低く設定する変動料金制へと移行する選択肢が与えられます。
顧客が実際に対応すれば、需要対応の結果として顧客の電力コストは減少します。この効果は、需要対応によってピーク負荷とピーク料金が抑えられ、ひいてはシステム全体の発電コストが減り、従って平均的な料金も低くなるので、更に強まります。多くの配電事業者と政府は顧客に固定料金制を提供するオプションも維持したいと思うでしょうが、ピーク料金を大幅に抑えるために対応する必要があるのは比較的少数の利用者に限られるので、固定料金制と効果的な需要対応は両立できるものです。
需要対応をうまく機能させるためにもう一つ重要なことは、顧客側に料金の変更に対応するインセンティブばかりでなく能力もなければならないということです。このためには、リアルタイムの料金情報を顧客に知らせたり、リアルタイムで需要を計量・監視したりするための高度なシステムを利用する必要があります。新世代の高性能計量器とインターネットや送電線通信システムが必要となります。
本書によると、需要対応の経済的なメリットは大きく、米国市場だけでも100〜150億ドルに上ります。電力市場の信頼性向上、ピーク能力への投資削減、エネルギー利用の効率化とそれに伴う温室効果ガスの排出量削減といった他のメリットも考え併せれば、政府にとっては需要対応を奨励する大きなインセンティブがあります。積極的な需要対応によって、電力市場はより効率的になるのです。
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