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2004/06/08
「ガス市場の開放はガス供給の安定性と信頼性の大幅改善をもたらすが、市場を円滑に機能させ、ガスの安定供給と十分な投資を確保するためには、各国政府は今後も、それぞれ異なってはいるにせよ重要な役割を果たしていかなければならない」。クロード・マンディルIEA事務局長はパリで6月8日、報告書「Security
of Gas Supply in Open Markets: LNG and Power at a Turning Point」を公表した席上、このように述べました。
ガス・電力市場の開放、発電向けガス利用の世界的増加、グローバルなLNG貿易の活発化などにより、安定的かつ信頼性の高いガス供給を確保する新たな市場メカニズムを構築する機会と必要が生じています。政府はこれまでしばしば直接的あるいは間接的にこのセクターを管理してきましたが、今では、市場の円滑な機能と最終消費者へのガスの安定供給に向けたルール作りや各市場参加者の役割と責任の明確化という新たな役割を担うようになっています。
全てのIEA加盟国におけるガス・電力市場の同時開放は、ガスの安定供給を取り巻く環境に変化をもたらしています。開かれた市場では、通常、市場によって需給のバランスをとることができます。市場の開放によって、ガス集積地やスポット・先物市場など新たな手段が生まれ、ガスを最も価値の高い利用に振り向けることができるようになります。安定供給を確保するためには、市場が常に需給のバランスを実現できるようにするとともに、ガス・チェーンの全体にわたり十分な投資をタイムリーに動員できるようにすることが課題となります。様々な業務のアンバンドリングには、ガス油井の坑口から最終消費者に至るガス・チェーンの全体にわたって投資をうまく調整することが極めて重要となります。供給面や設備面の投資決定が常にガス・チェーンの全体にわたって同時に行われるとは限らないからです。
ガス火力発電はガス需要の新しいグローバルな牽引力として急成長しており、2000年〜2030年のOECD諸国における需要増の70%を占めています。このような大幅増は、天然ガスが環境に優しいことや、開かれた電力セクターのニーズに最も合うコンバインド・サイクル・ガスタービン(CCGT)向けで競争力を持っていることによるものです。開かれたガス市場と電力市場との結び付きが強まることによって、ガス、電力ともより効率的に利用できるチャンスが生まれています。しかし、電力とガスがともに供給の安定性を損なわないようにするには、この結び付きを考慮に入れなければなりません。電力セクターによる輸入ガスの利用増は、電力・ガスの安定供給にとって新たな問題として浮上しています。
世界のガス確認埋蔵量の伸びはガス需要の伸びを上回っていますが、OECD諸国ではガスを輸入する必要性が益々高まっています。これは、OECD諸国では新たな埋蔵ガスの発見のペースが、ガス在庫の枯渇とガス需要の伸びに追いついていないためです。北米もLNGの輸入を大幅に増やす必要に迫られることから、今では全てのOECD地域が輸入に依存するようになりつつあります。英国も自給国から大幅な純輸入国へと移行しつつあります。輸入依存度の高まりに伴い、ロシアなどの供給国やLNG供給国、輸送ルート国のガス政策に更に注目する必要が生じています。
LNGチェーンのコスト削減により、LNG貿易は柔軟性を高めるとともに、グローバルな広がりを持つようになっています。この結果、LNG供給を最も価値の高い市場に振り向けることができるようになり、ガス供給の安定性は増しています。しかし、新規のLNG供給は非OECD加盟国に偏っているため、LNGの安定供給は新たに地政学的側面を帯びるようになる可能性があります。
本書は、1995年刊の「The IEA Natural Gas Security Study」に続くものです。本書は、様々な利害関係者の見解や加盟国政府の公式情報、一般に公開されている情報などに基づき、IEA諸国におけるガス産業の現状について包括的に概説しています。また、市場開放と新たな需給トレンドという視点から、三つのOECD地域におけるガスの安定供給をめぐる最新動向を分析しています。CD-ROMには付属資料として主な利害関係者(政府、規制機関、業界、顧客、その他組織)の見解が収録されています。
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