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より安定的で持続可能なエネルギーの未来のための エネルギー技術に関するシナリオと戦略

 

2006/06/22

 

国際エネルギー機関(IEA)のクロード・マンディル事務局長は6月22日、パリでIEAの新刊「Energy Technology Perspectives: Scenarios and Strategies to 2050」の主要な結論を提示し、「成否を決めるのは技術だ」と述べました。「持続可能なエネルギーの未来は実現可能であるが、それが可能となるのは、エネルギー効率の改善、二酸化炭素回収隔離技術(CCS)、再生可能エネルギー、(許容される場合には)原子力エネルギーなど、様々なエネルギー技術を推進、開発、活用するため、早急にかつ断固として行動を起こした場合である。手段はある、今必要なのは意志だ」とマンディル事務局長は付け加えました。

本書は、2005年7月のグレンイーグルズ・サミットでG8首脳がIEAに対し「クリーンで賢明かつ競争力のある(clean, clever, and competitive)エネルギーの未来」を目指す代替的シナリオと戦略に関して助言を求めたことに対するIEAの回答です。サンクトペテルブルグで開かれるG8サミットに向け、本書は一連のシナリオを提示し、すでに利用可能な状態にある、もしくは開発中のエネルギー技術が将来のエネルギー市場でどのような役割を果たすことができるかを具体的に示しています。「クリーンでより効率的な技術により、急増するエネルギー関連の二酸化炭素排出量を2050年までに今日の水準へと戻すとともに、石油/電力需要の予想伸び率を半減させることができる」とマンディル事務局長は述べました。

石油価格が史上最高値をつけるとともにエネルギー利用による世界の二酸化炭素排出量が10年前に比べほぼ25%増加している中で刊行される画期的な本書は、発電、建築、工業、輸送の各分野における主要なエネルギー技術の現状と見通しについて、詳細な分析を行っています。また、現在のトレンドの下では想像できないようなシナリオを実現するための戦略も提示しています。

エネルギー需要と二酸化炭素排出量の伸びを抑えるにはエネルギー効率が極めて重要

「エネルギー効率の改善はいかなる政策ミックスにとっても必要不可欠な要素であり、また、すぐにでもエネルギー効率は改善できる」とマンディル事務局長は述べました。エネルギー効率の向上を加速させるだけで、2050年の世界のエネルギー需要を今日の世界のエネルギー消費量の半分ほど削減することができます。しかし、これを実現するには、「OECD諸国、非OECD諸国を問わず、各国政府がエネルギー効率的な技術への投資促進策を積極的に講じなければならない」とマンディル事務局長は付け加えました。

発電の脱炭素化は可能

もう1つの主要な技術は、発電や工業処理から排出される二酸化炭素の回収隔離技術(CCS)です。本書は、フルスケールの発電所で早期にCCSを実証することを優先課題とすべきであると指摘しています。「CCSの実用化に成功しなければ、二酸化炭素排出量の削減コストは大幅に上昇する」とマンディル事務局長は警告しました。

再生可能エネルギーと原子力の利用を増やし、天然ガス/石炭の利用効率化を図りつつ、CCSを活用すれば、2050年までに世界の発電を大幅に脱炭素化することができます。「適切な政策インセンティブを講じれば、再生可能エネルギーを2050年までに4倍に増やすとともに、原子力が許容される国では原子力がより重要な役割を果たせるようにする余地があると思う」とマンディル事務局長は述べています。

石油需要の伸びを抑える上でカギを握るのは輸送

「生物燃料の利用と自動車の効率化により、輸送用石油需要の予想伸び率をほぼ50%引き下げることができる」とマンディル事務局長は述べました。2050年の石油消費量は全体で日量4200万バレル(今日の世界の石油消費量の約半分に相当)節減されますが、これに最大の寄与をするのが輸送燃料使用量の削減です。「水素も輸送部門で大きな役割を果たすことができるだろうが、そのためにはコスト削減技術の飛躍的進歩と巨額のインフラ投資が必要である」。2050年には水素燃料電池車が大きな市場シェアを占めるという最も楽観的な想定に基づくシナリオでは、二酸化炭素排出量は今日の水準すら下回りますが、もっと重要なことは、2050年以降もさらに減少していくということです。

実質的で緊急の措置が必要

既存の技術や新技術を活用すれば、どのようにして世界はより安定的で持続可能なエネルギーの未来に向けて歩みを進めることができるか、詳細な分析によって示されています。「しかし、これには官民両者によるダイナミックな財政的/政策的取り組みと、先進国と開発途上国の今だかつてなかったほど緊密な協力が必要とされる。最もコストのかからない技術によるソリューションを選択することが極めて重要である」とマンディル事務局長は述べました。こうした理由から、IEAのシナリオでは、二酸化炭素排出量を1トン削減するための(完全に商業化された場合の)推計追加コストが25米ドル未満の技術のみが取り上げられています。このコストは、過去12ヶ月間に欧州で行われた二酸化炭素排出権取引の平均価格を下回るものです。

「課題は切迫している」とマンディル事務局長は強調しました。そして締めくくりに、「エネルギー効率の改善を加速し、最もコスト効率の高い利用可能な技術を利用し、先進的な再生可能エネルギー、原子力、CCS技術のコストを削減するための研究開発(R&D)と実証的取り組みを強化するため、今や行動を起こさなければならない。また、輸送部門を二酸化炭素の排出と石油への依存から最終的には切り離すことのできるようなソリューションを見出すための努力も一層強めなければならない」と述べました。

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