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2002/2/8
1. OECDは2002年2月7日、8日両日にパリで、ヘルヴィッヒ・シュレーゲルOECD事務次長を議長とする鉄鋼に関する第3回ハイレベル会合を開催しました。この会合には大半の主要鉄鋼生産国の政府高官が参加しました(注1)。会合の目的は、生産能力削減に関する世界の鉄鋼生産国による自己評価について引き続き見直しを行い、より精緻なものにし、その業界への影響を話し合うとともに、こうした市場ベースの削減に関する情報をどうしたら最も効果的に収集できるかを見極め、調整プロセスの強化に向けて多国間で何ができるかを探ることでした。
2. 参加各国はこれらの分野でみられた進展を歓迎するとともに、会合の結果への強い支持を表明しました。こうした状況のなか、参加各国は鉄鋼分野への政府の介入など市場を歪める措置の性格と範囲を分析する規律研究グループのマンデートの採択、および、こうした介入や措置を制限することへの各国政府のコミットメントを歓迎しました。また、非効率的な過剰生産能力の削減と業界のリストラ進展状況をフォローするとともに資金調達面の問題を探るためどのようなアプローチをとることができるか調査する生産能力作業部会の設立も歓迎しました。
■現状
3. 鉄鋼産業は現在、困難な、しかしいくつかの点では前途有望な状況にあると見られています。協議に参加している各国の製鉄会社は、現に行われているか、模索されている合併買収や戦略的提携の範囲や数を見れば分かるように、競争力の強化で大幅な進展を見せているものと思われます。これらの取り組みの多くが国際的な性格を帯びていることは、各社が自らの置かれている状況をますますグローバルな環境の中で捉えていることを示唆する心強い兆候と見られています。各国はこうした動きを歓迎し、政府は積極的にこうしたプロセスをサポートする必要があること、また、リストラを妨げたり、リストラへの意欲を削いでしまったりする措置を慎むとともに、すでにとられているそのような措置については撤廃すべきことで合意しました。しかし、粗鋼生産能力と世界の需要との間には依然として不均衡が存在すると指摘し、一層のリストラに取り組む必要性を強調しました。他方、生産設備の閉鎖によって打撃を受ける労働者や地域社会を支援していくことの重要性についても強調しました。
4. 各国はさらに、リストラが効果的に行われるためには開かれた市場が重要であるという点でも合意しました。そして、各国は引き続き互いに協議しながら貿易と調整の課題に対処する方法を探り、直接的なものにしろ、間接的なものにしろ、貿易への悪影響を最小限にとどめる方策を模索していくことを誓いました。このような状況のなか、各国は、どのような措置を講じるにしても、多国間、二国間の貿易協定ですでになされているコミットメントに整合した措置を講じていくことを再確認しました。
■生産能力削減
5. 今回の会合は各国にとって、自国の製鉄会社と重ねてきた協議についてさらに情報を提供し、その影響について討議する格好の機会となりました。この討議により、鉄鋼産業の競争状況は国によって著しく異なることが明らかになりました。財務状況は全般に悪化しているものの、企業が依然として利益を上げ、リストラへの動きはほとんど見込まれない地域がある一方、財務状況が大幅に悪化し、その結果として倒産企業が増えている地域もあります。しかし、大半の地域では、現在行われているリストラにより生産能力は向こう数年間に次のように削減されると見られています。
- 1998〜2002年−−少なくとも7,860万〜8,260万トン
- 2003〜2005年−−少なくとも2,490万〜3,490万トン
- 2006〜2010年−−少なくとも1,880万〜2,080万トン
今回、先に合意された構成に基づく完全な報告書を提出しなかった各国に対しては、生産能力作業部会の3月会合までに完全な報告書を提出するよう要請されました。
6. 各国は、2005年までに予想どおり生産能力が1億,350万〜1億1,750万トン削減されれば、非効率な生産能力は大幅に解消されるが、それでも特別な条件や支援が与えられなければ存続が危ぶまれるような生産能力がかなりの部分維持されるという点で意見の一致を見ました。したがって、各国は、こうした生産能力の削減を促し続けることが重要であるということで合意しました。透明性を高めれば状況はより明確になります。この点から、各国は自国の鉄鋼産業の生産能力とリストラ進展状況に関する情報を定期的に更新・改善していくとともに、こうした情報を互いに提供し合うことで合意しました。このプロセスを助けるため、各国は生産能力作業部会を設置し、これを行う最良の方法を探っていくことで合意しました。政府関係者のみで構成されるこの作業部会は3月13日に会合を持ち、4月に行われる次回のハイレベル会合に結論を報告することになっています。検討される選択肢には、2002年後半から6ヶ月ごとに政府間のピア・レビューを行うための組織が含まれています。この部会は資金調達の問題にも取り組むことになっています(下記参照)。
■設備閉鎖のコストとリストラ
7. 前回のハイレベル会合では、鉄鋼業界がリストラに取り組む際の主な障害の1つとして設備閉鎖のコストについて討議されました。12月会合での合意を受けて、各国はそれぞれの責任において、国際金融機関が設備閉鎖を支援する上でどのような役割を果たせるかを探るため、国際金融機関と協議を重ねてきました。今回の会合での討議によれば、各国による問い合わせはまだ国際金融機関によって調査検討されています。各国は、OECD事務総長が世界銀行総裁に宛てた12月のハイレベル会合の結論を通知する書簡の中で、非効率的な過剰生産能力と設備閉鎖の社会的コストの問題に対処する上で支援的な役割を果たすのは世界銀行にとって適切なことかどうか世界銀行が検討する可能について幾つかの国が言及したことが触れられていることを指摘しました。
8. 設備閉鎖に係わる社会的コストと環境コストをファイナンスするのに役立つその他のメカニズム(課税の可能性を含む)についても引き続き模索していくことで合意されました。
■規律の強化
9. 12月の会合で、各国は、鉄鋼分野における政府の介入など市場を歪める措置に関する規律という概念について話し合い、そのための分析的枠組みを探っていく部会を設置することを決定しました。今回の会合でこの規律調査部会のモダリティと検討事項について討議され、各国はこの部会が直ちに作業を開始することで合意しました。この部会の当初作業へのマンデートは以下の通りです。
- 各国が、生産能力の削減を促進するため以外の、鉄鋼産業関連の市場を歪める政府の措置を自発的に制限する、あるいは可能であれば撤廃することへの政治的コミットメントの範囲を探る
- 現行の多国間の規律の中で、鉄鋼分野で所期の成果をあげていないように思われるものを特定し、その理由を調査する
- 鉄鋼市場を歪める措置の一覧表を作成する
上記に照らして
- 鉄鋼分野における政府の介入など市場を歪める措置に関する規律強化への選択肢をまとめ、必要に応じて、その結果をより広範囲にわたるWTOでの討議に取り込む
10. 規律調査部会は2002年3月14日、15日に会合を開き、次回のハイレベル会合でその活動について報告することになっています。
■今後の予定
11. 次回のハイレベル会合を2002年4月18日、19日に開催し、世界の鉄鋼市場の状況について点検するとともに、今後の活動の方向性を確認することで合意しました。
(注1)アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チェコ共和国、デンマーク、エジプト、欧州委員会、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、インド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア連邦、スロバキア共和国、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、タイ、トルコ、ウクライナ、英国、米国
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