OECD プリント

OECD鉄鋼会合、市場の歪みと一段の生産能力削減を討議

 

2002/3/15

 OECDパリ本部で3日間にわたり行われた会合に出席した主要鉄鋼生産国の高官によると、鉄鋼業界で現在進められているリストラにより、現在から2005年までに少なくとも1億2,400万〜1億2,800万トンの粗鋼生産能力が削減される見込みです。これまで生産能力の削減見込みは現在の総生産能力約10億7,000万トンのうち少なくとも1億350万〜1億1,750万トンとされていました。

 主要鉄鋼生産国政府によって設置された生産能力作業部会と規律研究部会は3月13〜15日に会合を持ち、粗鋼生産能力の削減、業界のリストラ、市場を歪める政府措置やその他業界慣行に対する多国間規律の強化の余地などに関する問題について討議しました。討議の結果は2002年4月18日から19日にパリで開かれる次回の鉄鋼に関するハイレベル会合で検討されます。4月会合では、世界の鉄鋼市場の現状について評価が行われ、ハイレベルな作業の今後の方向性が決定されます。

 今回の会合は、米国が3月5日に幅広い鉄鋼製品にセーフガード措置を発動する意向を表明してから初めてのものです。米国代表は、セーフガードの発動を決定した理由を説明するとともに、今後も他の国々と協力して世界の鉄鋼企業が直面している貿易と調整の問題への長期的な解決策を模索していく必要があるということを強調しました。多くの国々と欧州連合の代表から米国のセーフガード発動決定への不満が表明されましたが、現在行われている多国間協議の重要性については意見が一致しました。

 生産能力作業部会では、主として、工場閉鎖の最近の動向や今後の見通し、粗鋼生産能力全体の変動などに関する情報の明確化と改善について討議されました。大部分の問題については効果的に処理され、一部の国の代表は数週間以内に追加的な情報提供を行うことに同意しました。また、定期的なピアレビュープロセスを確立するための多くの選択肢についても討議されました。これらの選択肢は次回のハイレベル会合に提出され、検討される予定です。

 規律調査部会では、鉄鋼産業関連の市場を歪める政府措置を自主的に制限するために参加国が行う政治的コミットメントの範囲に関する問題が特定され、討議されました。討議では、ハイレベルグループの更なる指示のもとでこうしたコミットメントを模索していくことは今後も重要であるということが明らかになりました。より厳格な多国間規律が必要な市場を歪める措置の包括的リストの作成においても進展が見られました。さらに、鉄鋼分野では望ましい成果を挙げていない現行の多国間規律に関する予備的な意見交換も行われました。

 ヘルヴィッヒ・シュレーゲル・ハイレベルグループ議長は会合後、参加各国がこのプロセスに前向きに取り組んでいることに満足感を表明し、次のように述べました。「各国代表はハイレベル会合を今後も支持していくことを明確にした。これは非常に心強いことであり、作業を加速させる方法を見出すことができると期待している。こうした努力がうまく行けば、貿易と調整にかかわる緊張の緩和につながろう」。議長は各国政府に、今後も市場主導型のリストラ推進に重点的に取り組んでいくとともに、オープンな競争こそ業界の業績改善につながることを考慮し、貿易を制限する措置をとらないよう求めました。

 鉄鋼に関するハイレベルの活動は、OECD加盟国の要請により、2001年9月に開始されました。OECD加盟国ばかりでなく、OECDに加盟していない主要鉄鋼生産国も対等の条件でこの活動に参加しています。

 今回の会合に参加した国、地域は次のとおりです。アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、台湾、チェコ共和国、エジプト、EU委員会、フィンランド、フランス、ギリシャ、ハンガリー、インド、イタリア、日本、韓国、メキシコ、ニュージーランド、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スペイン、スロバキア共和国、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国、ウクライナ、ベネズエラ。

 

Copyright OECD Tokyo Centre. All rights reserved.