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企業、産業、サービス

鉄鋼業に明るい展望:
OECD/IISI会議による2005〜2006年予測

2005/01/17

OECDと国際鉄鋼協会(IISI)の共催会議(2005年1月12〜13日、於パリ)に出席した業界・政府関係者によれば、現在の鉄鋼市場の活況は 2005年から2006年にかけても続く見通しです。今回、参加国の粗鋼生産の合計は世界の95%以上を占めていましたが、会議ではの開発と新たな課題について対 話を継続する必要性が確認されました。

会議では、市場の好況ゆえに業界の財務の向上と生産能力の増強に対する関心の高まりについて報告がありました。他方で、こうした好況は 、業界の統合促進につながってはいるものの、業界は依然として細分化されています。また、政府補助金に対する懸念が未だに残っていることや、本件につい ての規律強化につながる国際協定に幅広い関心が存在することも明らかになりました。

世界の鉄鋼市場

会議では世界と主要地域の市場の動向について要点以下の通り議論されました。

  • 2004年の鉄鋼市場は非常に活況で、世界の鉄鋼消費は前年比8.8%増と大きく伸び、完成品総量は9億3500万トンに達した。OECD地域内の 鉄鋼需要は、前年を2200万トン(7.5%)上回った。見掛け消費の伸び率が最も大きかったのは北米(15%増)で、他のOECD諸国の平均伸び率は3.4%増であっ た。一方、旧ソ連新独立国家(NIS)諸国地域の見掛け消費は前年比13.5%増、中国は11%近い(重量にして2500万トン)伸びを示した。
  • 粗鋼生産も大きく伸び、全世界では前年より8400万トン増えて、10億トンの大台を初めて超えた。中国は22.5%の増加で、2億7000万トン に達した。
    ・2004年の世界の鉄鋼貿易は重量ベースで4.4%増加し、史上最高の2億6300万トンに達した。これは世界消費の28%に当たる。ただし、貿 易フローには大きな変化が起こり、OECDの鉄鋼輸出が60%以上減少した。もう一つの大きな変化は、中国の鉄鋼輸入が大きく減少(24%減)した一方で、輸出 は倍増して1700万トンを超えたことである。
  • 2004年には鉄鋼製品の価格が急上昇したため、それに伴う原材料や輸送などの関連コストの上昇にもかかわらず、鉄鋼業界の強い収益力の 回復につながった。
  • 2005年の見通しも良好で、世界の鉄鋼需要は5%前後の成長が続く見込みである。中でも中国では大幅な需要の増加が続き、鉄鋼消費は更 に10.7%の増加が見込まれる。また、NIS諸国やその他多くの非OECD市場で消費増が続く一方で、OECD諸国は全体として2%の伸びは見込めるものの、国によっ て状況は異なるものと予測される。
  • 粗鋼生産も2005年から2006年にかけてさらに増加することが見込まれ、中国では世界生産の30%に相当する3億4000万トンが生産されると 予測される。
    ・鉄鋼貿易は、特に中国やインドなどアジア諸国で大きく生産能力が拡大する結果、2005年には減少し始めると見られる。
  • 世界の年間粗鋼生産能力は、2004年の11億8400万トン(平均設備稼働率は88%以上)から、2006年には13億500万トンを超えるまで増加 する見込みである。
  • 現在の短期予測では市場の好況が見込まれているが、(i)鉄鋼生産能力の大幅な拡大、(ii)原材料市場の状況、(iii)貿易フローに大幅な シフトが起こる可能性の3点については懸念が表明された。生産能力の拡大が市場のニーズを大幅に上回った場合、数年以内に鉄鋼業界が再び危機に陥る可能性 がある。ただし、中国、インド、ラテンアメリカ及びNIS諸国の市場がさらに拡大する可能性も大きい。これらの市場が成長すれば、経済的ショックを防ぎ、危 機を回避できるものと考えられる。

持続可能な開発

鉄鋼業界は、持続可能な開発の問題に積極的に取り組んでいる。各企業はIISIを通じ、経済・環境・財務パフォーマンスを評価する一連の業 界基準を策定した。

懸念が表明されたのは、各国による温室効果ガス排出削減策の導入状況にばらつきがあるために、税制や排出規制のある国とそうでない国の 企業間の競争に大きな影響が及ぶ可能性が存在することに対してであった。業界および各国政府が、競争の歪みを最小限にすると同時に、世界的な温室効果ガ ス対策に効果的に寄与するため、よりグローバルな方策を探ることが期待される。温室効果ガスは、石炭とコークスに依存する鉄鋼生産自体が問題の一因とな っているのみならず、多くの鉄鋼消費産業が直面している「持続可能性」の課題に対処する上でも大きな意味を持っていることが指摘された。

原材料と輸送

急激な価格上昇と一部に見られる三つの主要原料(鉄鉱石、原料炭、コークス)の不足は、収束に向かっていると見られる。三つの主要原料 については、新規生産能力への投資が行われており、価格は数年前より高い水準ではあるが安定するものと見られる。くず鉄につも、価格は安定する見込みで あるが、構造的に高い価格水準となるため、海綿鉄などの鉱石ベースの代替品への関心が再び高まると予測される。輸送についても、海上輸送能力が高まるに つれて状況は安定すると見られる。

業界の展望

各企業が財務力の向上によって積極的に合併買収を探ることができるようになっていることから、業界統合が引き続き進むと考えられる。周 期的に訪れる不況を乗り切る能力を高める上で、業界統合は重要な展開と考えられる。既にかなりの統合が進んでいるが、世界的に見ると鉄鋼業界は依然とし て細分化されたままであり、生産上位10社が世界の鉄鋼総生産に占める割合は約30%にとどまっている。他方で、小規模な企業は、競争力の如何にかかわらず 単独操業を続けることは難しいのではないかという懸念も示された。

公共政策問題

鉄鋼業界の問題は、各国政府にとっては引き続き様々な面で難しい課題であり、業界の参加を得た対話の継続が有益であるという点で意見が 一致した。今後の活動に、すべての主要な鉄鋼産出国が引き続き参加することが期待される。

一部の参加者から、鉄鋼生産能力の拡大を目的とした政府補助金が引き続き企業に支給されていることについて懸念が表明された。こうした 補助金に関して多国間の統制を強化するための協定を望む声は、依然として高い。このような協定が対象とすべき範囲と主な要素について、総意をまとめるた めの努力が、引き続き行なわれる。こうした協定の議論を行える唯一の場であるOECDでは、現在各関係者と協力しながら、話し合いを前に進めるよう努力をしている。

 

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