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OECD農業環境指標 発表
2001/3/14
■農業が環境に及ぼす悪影響には改善がみられるが、多くのOECD諸国においてその水準は依然高い
農業は、温室効果ガスの削減、野生生物の生息環境の保全、景観の向上に役立つことがあります。またその反対に環境に悪い影響を及ぼす可能性もあります。最近の15年間を対象にした農業の環境影響に関するOECD指標によると、農業が環境に及ぼす悪影響の水準が多くのOECD諸国の政策立案者にとって重要な関心事項となっていることがわかります。
河川、湖、地下水への窒素と農薬の流入は減り、農業による温室効果ガスの排出も減少しました(図表参照。)しかし、農業が生物多様性、野生生物の生息環境、景観に悪影響を及ぼしている地域もみられ、また土壌悪化や水資源枯渇のリスクも依然として存在します。
これらは、OECDの新刊「農業環境指標 Vol.3: 手法と結果」の結論の一部です。本書では、1980年代半ばから現在までのOECD諸国の農業と環境の状況と傾向に関する広範なデータを掲載しています。本書の結論は、主に共通の手法を用いた一連の指標に基づいており、農業と環境のかかわり合いを各国間で比較できるようになっています。
多くのOECD諸国では、GDPや雇用に占める割合から見ると、国内経済における農業の役割は小さく、また縮小傾向にあります。例えば、社会指標は多くの国で農業者の教育到達レベルが低いことを示しており、これは改善の余地がある分野の一例でしょう。農業はOECDの土地利用の約40%、水使用の45%を占めており、環境に大きな影響を与えています。
本書によると、農業政策や貿易政策の結果、水道料金などの投入財コストが下がったり(図表参照)、農家が生産する作物や家畜の価格が上がったことが、環境への悪影響につながる傾向となりました。1997年から1999年にOECD諸国が行った農業補助は推計3470億ドルで、補助の水準、構成、傾向は国によって大きく異なりますが、これは生産者にとって農業収入の36%に相当します。
市場を大きく歪めるような補助を徐々に減らし、より的を絞った手法へと政策を移行していくことは、環境に対する農業のかかわり合いの改善に役立つでしょう。1980年代後半には多くのOECD諸国で具体的なの農業環境手法が導入されており、農業が環境に及ぼす悪影響の削減や農業が環境にもたらす便益の向上に役立っています。しかしながら、現時点ではこうした変化の程度や持続性を知るには時期尚早であり、しばらくの間はその他の農業政策による環境への悪影響がそのまま続く状況にあります。
本書の巻末には国別索引があり、OECD各加盟国ごとの詳細情報を探すのに役立ちます。
OECD農業環境指標に関する情報は、インターネット上に公開されています。その他の詳細についてはOECD農業局のKevin
Parris (TEL: 33 1 45 24 95 68、FAX: 33 1 44 30 61 02 or Kevin.Parris@oecd.org)までお問い合わせください。
OECD農業環境指標によると、日本の主な環境トレンドは以下の通り。
- 日本経済の中で農業が果たす役割は小さい(GDPの約2%、雇用者数の5%)が、天然資源の利用という点から見ると農業の役割はより重要で、土地利用面積の13%、水使用量の65%を占めている。
- 他の多くのOECD諸国同様、日本でも1990年代に農業環境プログラムへの公共支出が大幅に増えており、農業研究関連予算の約20%が農業環境問題に振り向けられている。
- 日本では国土の保全が主要な農業環境問題の一つであり、特に農地の水・土壌保持力の問題が重要である。農地の保水容量は、他のOECD諸国に比べ大幅に低下しており、川下地域、特に都市部を洪水から守る力が弱まっているおそれがある。また、日本の農地が果たしている土壌流出防止の役割は1ヘクタール当たり約45トンと推計されている。農地の外に土壌が流出するのを防ぐことにより、貯水池や湖沼に流入する土砂の除去にかかる費用や河川・湖沼の水生動植物への被害など、社会的な環境コストが抑えられている。
- 1990年代の水質汚染調査によれば、農業が原因で飲料水に含まれる硝酸塩、リン酸塩、農薬が基準値を越えることはほとんどない。
- 1980年代半ば以降の窒素収支を見ると、日本では窒素の過剰が減少しており、農業による水の硝酸塩汚染の潜在リスクが低下しているものと思われる(図表参照)。しかし、日本の窒素過剰量の試算値は1ヘクタール当たり135kgで、他の多くのOECD諸国(平均23kg/ha)を大幅に上回っている(ただし、韓国は253kg/haで日本よりも多い)。
- 日本の農薬使用量は1985〜1997年に13%減少しており、農業による環境汚染の潜在リスクの低下に寄与していると思われる(図表参照)。また、食品中の農薬の残留物が基準を超えるケースも非常に少ない。
- 農業の温室効果ガス排出量は、1990〜1997年にOECD諸国平均で1%の増加がみられたのに対し、日本では6%減少している(図表参照)。ただし、農業が総排出量に占める割合は2%弱に過ぎない。その一方で、日本において農地の土地利用変化が増えている状況の中で、農地のもつ温室効果ガスを吸収する役割が今後重要性を増す可能性がある。
- 農業は日本における主要な土地利用部門の1つであり、生物多様性と景観への影響は大きい。最近では主に農地総面積の減少が生物多様性と景観に影響を与えているものと思われる(1985〜1997年にOECD諸国で農地総面積が平均1%強の減少であったのに対し、日本では約7%減少)。
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