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OECD諸国における環境税:問題と戦略、発表

 

2001/10/10

 OECDは9月28日、環境税に関する報告書「Environmentally Related Taxes in OECD Countries: Issues and Strategies」を発表しました。以下はそのサマリーの日本語仮訳です。

OECD諸国における環境税:問題と戦略

 過去20年間、OECD諸国の環境政策では経済的手段の果たす役割が増してきている。その際立った特徴として挙げられるのは、環境税、即ち大気や水への排出物、エネルギー源、自動車、廃棄物といった環境関連の課税ベースに対して課される税の導入が増えていることである。

 OECD加盟国では環境税による税収が平均でGDPの2%程度を占めている。この税収の大半は、ガソリン税やディーゼル税など、自動車や燃料の購入や使用に対して課される税である。その他の幅広い分野の環境問題に対処する上で税を利用している国もある。しかし、大半のOECD諸国では環境税の利用拡大の余地が残っているものの、多くの国は税収に中立的な方法で環境税を利用している。

環境税による税収に占める様々な課税ベースのシェア

OECD加盟21ヶ国、1995年

グリーン税制改革

 包括的なグリーン税制改革を実施している国は増えており、まだ実施していない国も改革を検討している。グリーン税制改革には、様々な製品や活動の汚染特質を反映させるような現行税の改定、水利用、水質汚染、廃棄物、特定化学物質などに課す新税の導入、環境に有害な免税措置や補助金の撤廃などを含めることができる。ただ、こうした免税措置や補助金がそもそも導入された環境以外の目的、即ち社会的、経済的目的にも十分配慮する必要がある。

 税収が増えれば、財政赤字の削減、財政黒字への寄与につながると同時に、裁量的歳出増加が賄われることになる。また、税収増加によって他の税金を減らす余地が生まれ、市場の歪みの改善、競争力低下への懸念の解消、環境税に対する認識向上につながる。

 租税・環境問題専門家合同会合による作業の一環として、OECDの租税・環境問題専門家は今般、報告書「OECD諸国における環境税:問題と戦略」を発表した。この報告書は、環境税が環境保護に効果があることを立証したものである。需要の価格変動への感応度は、例えばエネルギーの場合、しばしば短期的に見た場合より長期的に見た場合のほうがはるかに高い。これは、環境税を長期的に一貫して実施すれば、エネルギーの消費量を減らし、環境を改善することができる、ということを示している。

 また、報告書は、最も大きな打撃を受けると同時に一般的に最も環境を汚染している産業部門の競争力低下への懸念や低所得層への悪影響、行政コストが膨大になる恐れなど、環境税導入に対する多くの障害についても取り上げている。

 政策改革への支持を広げるにはいくつかの補完的な選択肢がある。例えば、環境税導入の目的を明確化する、環境問題に取り組む必要に関する情報を広める、公聴会など広く各界の意見を聴く十分な時間をとることなどである。さらに、「グリーン税委員会」や省庁横断的な作業部会を設置することも挙げられる。

 環境税の中には低所得層に特に大きな影響を与えるものや地域の所得格差を増大させてしまう恐れのあるものもある。しかし、税の再分配効果を完全に評価するには、補償、他の分野での減税、雇用創出効果などの二次的影響についても考慮すべきである。また、環境税がもたらす環境面の利益の再分配も考慮に入れなければならない。環境税の目的をつぶす課税免除や税率の引き下げは避けるべきであり、税制改革が再分配に大きな悪影響を及ぼす場合には、一般に適切な補償措置や税収還流制度を整備することによってそうした悪影響を避けることができる。

 これまでのところ、環境税によって何らかの部門の競争力が大幅に低下したということは確認されていない。これは、部門の競争力を決めるのは主に技術力と投資であるという、OECD等による経済パフォーマンス調査の結果と符合している。この結論は、様々な形の課税免除や割り戻しが企業に付与されている現状を考えれば、驚くべきことではない。実際、OECD-EU環境税データベースによれば、環境税が課されているのはほとんど家計と運輸部門に限られている。

 環境汚染製品に対する一律の課税免除や環境汚染度が高い産業への税の割り戻しは、環境税の汚染抑制効果や環境に優しい新技術の開発と導入へのインセンティブを大幅に弱めてしまいかねない。

 本報告書は、産業界の競争力低下懸念にどう対処すればよいかのヒントを提供している。より幅広い税制改革の中に環境保護目的の税制改革をうまく組み込めば、各国の利益につながるだろう。これによって、広範な改革の中の環境関連部分が一部の部門の競争力に及ぼし得る悪影響は軽減できる。また、一部の部門は環境保護目的の税制改革によって競争力が低下するかもしれないが、総じて競争力が高まる部門もあり、多くの場合、それは環境に優しい部門であるという点も忘れるべきではない。各国ともこのような望ましい構造改革なら徐々に進めていく気になるかもしれない。

 一般に、新税の導入や税率の引き上げを事前に通知し、現行の税の割り戻しや課税免除を徐々に廃止すれば、こうした税制改革の実施は容易になる。現在業界に対して行っている課税免除や税の割り戻しは廃止し、税収の一部を同じ業界に還流するようにすればよい。ただし、それは、環境保護へのインセンティブがぎりぎりのところで維持される程度に行うことが重要である。

 課税免除や税率引き下げによる環境面への悪影響は、現在課税を免除されているか、軽減税率の恩恵を受けている企業に厳しい環境汚染対策を義務付けることによっても、抑えることができる。また、一部の国では、残存している課税免除や税払い戻し制度をその本来の目標達成に的を絞ったものにするよう、税法の規定を改正する余地も残されている。

 一方的に税改革を行うことによる競争力低下の懸念がある場合は、国レベルで決定、導入した政策オプションや変革を、多国間対話の枠組み内で協力して進めていくことを検討することもできる。OECDはこのような政策討議の場を提供しており、租税・環境問題専門家合同会合は競争力の問題を最近改訂したマンデートでも重視している。


Environmentally Related Taxes in OECD Countries:Issues and Strategies ISBN: 9264187316 ¥3,000.

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