OECD プリント

OECD諸国、過去10年で経済成長率を上回る
保健医療関連支出の伸びを記録最新の医療技術が急速に浸透

 

2002/6/24

 OECD諸国における過去10年の一人当たり保健医療関連支出の年間伸び率は、OECD全体の一人当たり経済成長率を約50%上回りました(前者が3.3%であるのに対して、後者は2.2%)。2000年の統計によると、OECD諸国のGDPに占める保健医療関連支出の割合は、1990年に比べて0.8ポイント増え、OECD非加重平均では8.0%となりました(Table 1 )。過去10年間において、GDPに占める割合が最も高かったのは米国で、1990年の11.9%から2000年には13.0%に達しました。米国に続いて2002年にこの比率が高かったのは、スイス(10.7%)、ドイツ(10.6%)でした。逆にGDPに占める割合が低かったのは、韓国、ルクセンブルグ、メキシコ、スロバキアで、いずれも2000年にGDPの5〜6%を保健医療関連として支出しました。

 米国は、一人当たり支出金額についても、他国に比べて引続き突出しています。2000年の一人当たり支出額は4,600ドルを超え、OECD諸国平均の約2,000ドルと比べて2倍以上の金額となりました。一人当たり公的支出も米国は高く、公的な健康保険に加入している人の割合が全人口の約4分の1と低いにもかかわらず、アイスランドとドイツに続いて3位につけています。(Chart 1)。

保健医療関連支出と医療技術との関係

 最新の医療技術は、保健医療関連支出が増大する主な要因の一つとなっています。「OECD保健医療データベース2002」では、過去20年間の先進医療技術の普及状況が明らかにされています。ほぼ全ての国で、重大な疾病の治療、健康状態の改善のために、技術集約型の治療法を用いる傾向が急速に広まりました。冠動脈バイパス術(CABG)や冠動脈形成術といった手術の件数は、1990年代に急増しました。特に、当初こうした手術があまり行われていなかった国(例えば、オーストラリア、デンマーク、ハンガリー、ニュージーランドの冠動脈形成術分野)では、この傾向は顕著でした。にもかかわらず、1990年代末の時点で、米国におけるCABGおよび冠動脈形成術の実施率は、2位以下の国の2倍以上となっています(Chart 2Chart 3)。このように、高額な治療法の実施頻度が高いことが、保健医療関連支出について米国と他の国の差異が生じる一因となっています。

保健医療関連支出以外の留意点

 保健医療関連支出と医療技術の利用が健康に与える影響を評価するのは、複雑な作業です。平均寿命や幼児死亡率といった一般的な人口保健指標と、臨床結果の両方を考慮しなければなりません。一般的な人口保健指標は、最新の医療技術によってのみ影響を受けるのではなく、他の多くの社会的、環境的リスク要因が絡んできます。例えば、米国では、多額の保健医療関連支出にもかかわらず、平均寿命と幼児死亡率はOECD平均に近く、中央値を下回っています。つまり、この二つの基準については、OECD諸国の半数以上がアメリカより上位に位置しています(Table 2)。

 これらの人口保健統計は、各国の市民がさらされているリスク要因にも一部関係しています。米国は、タバコの消費量を減らすという点では成功しており、毎日喫煙する人の割合は、OECD諸国のなかで下から2番目(最低はスウェーデン)ですが(Chart 4)、肥満者の割合は最高となっています。肥満率は、全OECD諸国で上昇し続けています。(Chart 5)。

 これらは、「OECD保健医療データベース2002」の成果の一例です。「OECD保健医療データベース2002」は、先進諸国の健康および保健医療制度に関する比較可能な統計としては最も包括的なものです。2002年版の保健医療関連支出統計には、各国が「SHA(OECD 保健医療計算システム)」を導入後に推計した結果も掲載しており、SHAを導入する国は現在増えつつあります。

 「OECD保健医療データベース2002」CD-ROMは、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の4カ国語版となっており、高速で操作し易いWindows OS (95/98/NT/2000/Me/XP)に対応しています。本データベースでは、データ抽出や、図表のカスタマイズが可能です。発行から既に11版を数え、2002年版には1,200を超える指標が掲載されています。主要項目については、1970年から1999/2000年までのデータを収録し、中には1960年まで溯るデータもあります。本データベースには、指標の定義、各国データの出所、推計手法に関する詳細な文書も付属しています。また、ウェブサイト上では、無料の技術サポートと更新データを提供しています。

 

Copyright OECD Tokyo Centre. All rights reserved.