OECD プリント

ユーロ圏でインフレが解消しない原因は硬直性

 

2002/11/28

景気減速にもかかわらず、ユーロ圏のインフレは依然、欧州中央銀行が物価安定に整合的と考える2%を超える水準にとどまっています。OECDは今般、ドイツ等成長が鈍化している経済大国でなぜインフレが解消されないのかを探る新たな研究を発表しました。

これら低成長国のインフレは比較的低い水準にあるものの、アイルランドなど急成長国の高いインフレ率を相殺するほどには低下していません。これがユーロ圏全体のインフレ低下を妨げています。本研究は、景気減速で製品への需要が低迷している時にインフレの低下を妨げる可能性のある様々な硬直性について指摘しています。例えば、名目賃金のカットに対する労働者の強い抵抗や企業による価格調整の遅れなどです。本調査は、企業はコスト増加をコスト削減より早く顧客に転嫁すると示唆しています。

現在の状況で、ユーロ圏内におけるインフレ率の乖離の拡大は、各国にとって異なる景気水準に対応していく上でプラスに働くかもしれません。ユーロ圏では、米国とは異なり、労働者は景気の悪い地域から良い地域へと移動するのに消極的であるからです。

本研究で指摘されている景気減速への対応における硬直性は、原則的には、ユーロ圏全体のインフレ目標を設定することで解決できるでしょう。しかし、本研究は、生産性向上のための構造改革を厳格に追求していくことの方が望ましいと論じています。生産性が上昇すれば、労働者は景気低迷への対応時に名目賃金のカットを受け入れる必要がなくなります。

本研究「解消されないユーロ圏のインフレ」は、OECDエコノミック・アウトルックNo.72の中の一章となっています。


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