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OECD対日経済審査報告書2003
2003/12/02
OECDは12月2日、対日経済審査報告書2003を発表しました。以下はその概要です。
構造改革の重要性
- 日本経済の回復は続いており、2003年の成長率は2.5%を超える見込み。しかし、日本経済の根本的な改革を続けることは依然重要な課題である。
デフレ克服(金融政策)及び銀行部門の健全性回復に向けた課題
- デフレを収束させるために、日銀は資産購入対象の一層の拡大により、量的緩和政策を強化することが必要。
- 金融政策を効率的に実施するためには、不良債権問題の解決が重要。不良債権問題の解決には、自己査定と引き当ての一層の強化が鍵。
- また、銀行の収益力向上の観点からは、銀行のガバナンス改善や政府系金融機関の役割縮小が必要。中小企業貸出に関する政府のガイドラインは、銀行経営者が融資決定を行う際の説明責任を弱めるため、日本の銀行再建に向けた戦略の趣旨と整合的でない。
- 公的資金の注入は、厳格な条件のもとで、選択的に行われるべき。
財政再建に向けた課題
- 政府債務残高は2003年にGDP比150%を超える模様。財政当局は、過剰な支出抑制によって経済が再び後退することを避けつつ、財政の長期的な持続可能性に関する信頼を構築しなければならない。
- こうした上での鍵は、信頼しうる財政再建プログラムの確立。さらに、税制簡素化や課税ベース拡大による税収増加が必要。必要な財政再建規模の大きさを考慮すれば、ある時点で消費税引き上げが求められよう。
競争政策強化の必要性
- 日本の潜在成長率の低さの主因は生産性の伸びの鈍化。日本の潜在的な成長力を高めるために、改革の加速が必要。鍵となるのは、競争環境の強化である。
- 日本の競争環境を強化する上では、公正取引委員会(FTC)の強化や通信、エネルギー、郵便、運輸等のネットワーク産業における競争促進が重要。
- 対内直接投資の増加や貿易を通じた国際競争の促進も優先課題。農業に対する手厚い保護の維持を要求する過度な圧力により、日本が自由貿易協定を通じ、アジア経済のダイナミズムを自国経済に生かすことが妨げられてはならない。
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1. 構造改革の重要性
(1) 日本経済は回復しており、2003年の成長率は2.5%を超える見込み。しかし、日本経済の根本的な改革を続けることは依然重要な課題である。
(2) 日本人の生活水準は他のOECD諸国と比較して相対的に低下傾向にある。構造改革はこうした傾向を逆行させ、デフレを収束させるに足る、強く持続的な景気拡大の基盤となるものである。
2. デフレ克服(金融政策)
(1) 日銀はゼロ金利下の量的緩和に乗り出し、金融市場の安定性の維持とデフレスパイラルの回避に貢献。他方で、銀行貸出が減少を続けているなど実体経済へのプラスの効果は限定的である。
(2) デフレを収束させるために、日銀の資産購入対象を一層拡大し、量的緩和政策を強化するべき。
3. 銀行部門の健全性回復
(1) 銀行部門の抱える問題は信用チャネルが大きく阻害している。金融政策の効率性を高めるためには、こうした要因となっている銀行部門の問題に一層取り組むことが必要。
(2) 不良債権問題の解決には、自己査定と引き当ての一層の強化が鍵。銀行の収益力向上の観点からは、銀行のガバナンス改善や政府系金融機関の役割縮小が必要。中小企業貸出に関する政府のガイドラインは、銀行経営者が融資決定を行う際の説明責任を弱めるため、日本の銀行再建に向けた戦略の趣旨と整合的でない。公的資金注入は、リストラ計画の遂行についての厳格な条件の下で、選択的に行われるべき。
4. 財政再建に向けた課題
(1) 財政赤字は2003年にGDP比8%近辺にまで上昇し、政府債務残高は同150%を超える模様。インフレ率がプラスに転じ名目金利が上昇した際には、利払いが急増するリスクがある。財政当局は、過度な支出抑制により経済が後退することを避けつつ、財政の長期的な持続可能性への信頼を構築しなければならない。
(2) こうした上で鍵となるのは、中期的に財政赤字を削減するために必要な支出・収入の変化を詳細に説明する、信頼しうる財政再建プログラムの確立である。
(3) さらに、税制簡素化や課税ベース拡大による税収増加が必要。必要な財政再建規模の大きさを考慮すれば、ある時点で消費税引き上げが求められることになろう。
5. 年金改革に向けた課題
(1) 財政の持続可能性を確保する上での鍵は年金改革。年金支出は過去10年間に国民所得の6%から12%へと倍増、対策なき場合は2060年に17%にまで上昇する見込み。現在のルールの下では、公的年金は持続不可能な状況。
(2) 政府は負担率に天井を設け、給付を人口・経済動向に応じ調整する改革案を提示。こうした改革では、労働意欲に負の影響を与える負担の大幅増は避けられるべき。
(3) 年金給付額を現役世代の手取り収入と比べた比率(所得代替率)の低下により、年金加入者が民間の貯蓄により多くを頼らざるを得なくなるため、政府は年金基金や保険会社の財政状況に関する情報をより適切に入手できるよう確保すべき。
6. 競争政策強化の必要性
(1) 日本の潜在成長率の低さの主因は生産性の伸びの鈍化である。政府は構造改革の重要性を強調しており、都市部のゾーニング規制改革、会社設立要件の緩和、公正取引委員会のリソース拡大、などの分野で進展がみられた。
(2) しかしながら、日本の潜在的な成長力を高める上では、改革の加速が必要。鍵となるのは、競争環境の強化である。日本の競争環境は弱い。競争政策の促進は技術革新を促進し、消費者の厚生を高め、資源配分を改善する。
公正取引委員会(FTC)の強化
- 競争を促進する上ではFTCの強化が重要。FTCの構成員を幅広い社会の構成員から選抜することにより、独立性の向上が図られるべき。経済規模を考慮すれば、競争政策の執行のために利用可能なリソースは不十分である。競争法違反に対する処罰の強化が必要。
ネットワーク産業の競争促進
- 日本の競争環境が弱いもう一つの背景は、通信、エネルギー、郵便、運輸等のネットワーク産業における規制の枠組が依然未発達であることにある。既存企業が独占している市場に競争を導入するために、独立の分野別規制機関を設立するなど、包括的な変革が行われるべき。
- 通信部門は最も自由化されたネットワーク産業であるが、固定電話・携帯電話料金はOECD加盟国の中で高水準に止まる。相互接続料金の問題も依然として残っている。
- 郵便市場の競争促進のために、新規参入業者のユニバーサル・サービス提供の義務を廃止すべき。
- 運輸部門の規制緩和も重要。日本の輸送費用はOECD域内でもっとも高い水準。こうした費用は施設利用料金に関する厳格な規制によって押し上げられている。関連施設の民営化や市場ベースの利用料金の導入による費用を引き下げが必要。
小売部門における競争促進。
- 小売売部門においては、流通における商慣行によって価格が押し上げられており、競争政策の厳格な執行が必要。一方、大規模店舗小売店舗の発展は他国よりも遅れている。大規模小売店舗の設立を制限する規制の緩和が必要である。
一層の対外開放による国際競争の促進
- 対内直接投資の増加や貿易を通じた国際競争の促進はもう一つの優先課題。政府の対内直接投資促進に向けたアクションプランの成功は、海外投資家に対する地方レベルでのより積極的な姿勢や日本の潜在成長力の向上にかかっている。
- 農業に対する手厚い保護の維持を要求する過度な圧力により、日本が自由貿易協定を通じ、アジア経済のダイナミズムを自国経済に生かすことが妨げられてはならない。農業市場アクセスの改善は、日本の消費者の厚生を高めるのみならず、途上国の日本に対する輸出を促進するであろう。
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