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2004/1/22
ジャン-フィリップ・コティスOECDチーフ・エコノミストは1月22日、スイスで開催されたダボス会議でOECD諸国の経済について記者会見を行いました。以下はその要旨です。
1. 昨年11月のOECDエコノミック・アウトルックで予測されているように、米国に牽引される形で、世界経済の回復がついに始まっている。しかし大半の国々の場合、回復の足取りはこれまでの回復局面より明らかに弱く、楽観が入り込む余地はない。依然として成長ペースにはばらつきがあり、多くのOECD諸国ではまだ自律的な回復とはいえない状況にある。しかも、急速なドル安進行が今後も続くようだと、始まったばかりのユーロ圏の景気回復は水を差されてしまう恐れがある。
2. OECD加盟の6大経済国では2003年後半から景気は上向いている。先行きを占うデータ、特に企業景況感調査は、2004年第1四半期にも潜在成長率並みかそれ以上の成長ペースが続いていることを示唆している。もっと先まで展望しても、(英国を例外として)6大経済国のうち5カ国までが抱えていると推定される著しい経済のスラックは縮小していくはずである。しかしそれでも、ユーロ圏(特にフランスとドイツ)については向こう2年間、大幅なマイナスのGDPギャップが続いていくのは必至の情勢といえる。更に、ドルベースの石油価格上昇と、欧州では実効為替レートの急騰によっても、見込まれる景気回復の足が引っ張られてしまう可能性もある。
3. 米国では、成長テンポは第3四半期に天井をつけたが、依然として極めて高い水準を維持しており、GDPギャップは急速に縮小している。しかし、生産性が急上昇しているので、雇用者数が増勢に転じたのはつい最近になってからである。労働力参加率は景気後退期に大幅に低下しているので、景気回復の初期段階で労働力参加率が上昇しても失業率が急速に低下する可能性は低い。
4. ユーロ圏では、景気の回復ペースは更に緩やかである。製造業は息を吹き返しているが、内需は依然として低迷している。設備投資は相変わらず減少しており、家計消費も所得の動きが通常示唆する水準より低い。2003年末以降の大幅なユーロ高進行で、始まったばかりの景気回復は足を引っ張られることになるが、どの程度足を引っ張られるかは交易条件の改善によって実質的にどの程度内需が押し上げられるかにもよる。
5. 実質GDPで測ると、日本の成長ペースはユーロ圏を上回っている。主に中国経済の活況を映して投資と輸出は回復しているが、ユーロ圏同様、消費は低迷している。今後は、通常のタイムラグを考えると、最近の円高もある程度は輸出の伸びの足を引っ張る可能性がある。しかしそれでも、日本の見通しは、これまで長年続いてきた見通しに比べれば明るいものとなっている。
6. 大幅なGDPギャップを抱えている現状と整合して、コア消費者物価上昇率は総じて沈静化している。米国では歴史的な低水準へと低下傾向すらたどっている。しかし、見込まれる景気回復の強さから見て、今年中に米国の金融政策がより中立的なスタンスへと戻り始めるのは確実のように思われる。ユーロ圏ではインフレはより下げ渋っているが、それでもECBの中期的な目標水準の近辺にあり、先行き低下していくのは必至である。ユーロ高の進行によって2003年年央の直近の利下げ後に大幅な金融引き締めが行われたのと同じことになっているが、こうした影響を相殺するために一段の利下げが行われても中期的な物価の安定が損なわれるとは考えにくい。日本では、デフレの程度が和らいでいるが、それが一過性の要因によるものであることを考えると、金融セクター再生への取り組みを強化しつつ、当面は決然たる拡張的な金融政策を維持すべきである。
7. 「6大経済国」の財政は嘆かわしい状況にある。ある程度まではこの悪化は景気循環によるものであるが、基調的な財政事情がそもそも非常に悪化していたか、この3年間で憂慮すべき状況へと悪化したものである。この間に財政ルールは放棄されるか、破られるか、解釈の見直しが行われているが、更に基本的に、各国政府は早急に再び歳出動向を管理し、より持続可能な軌道へと戻す必要がある。景気回復が強まっていくにつれ、本腰を入れて財政緊縮に着手すべきである。景気循環が最も進んだ時点で財政緊縮に転じれば、対外不均衡の削減に寄与するだろう。
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