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OECD日本加盟40周年記念シンポジウム

 

2004/07/20

7月20日、「OECD日本加盟40周年記念シンポジウム−OECDからのメッセージ:日本経済の進路と残された課題−」(主催:OECD、(社)日本経済研究センター、後援:日本経済新聞社、外務省)が都内で開催されました。標題の通り、今年は日本がOECDに加盟して40周年を迎える年にあたります。これに加え、OECDが7月19日に対日規制改革審査報告書を発表したことを受けて、本シンポジウムでは日本の規制改革をテーマとして、第一部では日本が今後進むべき方向についてジョンストンOECD事務総長が記念講演を行い、第二部のパネルディスカッションでは北城恪太郎社団法人経済同友会代表幹事をはじめとする各界の有識者がOECD関係者と日本の規制改革の課題について活発な議論を行いました。当日は、猛暑の中150人を越す聴講者が集まり、講演者の話に熱心に耳を傾け、規制改革やOECDについて理解を深めて頂きました。



講演プログラム 

開会の挨拶
阿部正俊 外務副大臣

第一部 記念講演
「加盟40年を迎えた日本の挑戦」  
ドナルド・ジョンストン (OECD事務総長)

第二部 パネルディスカッション 
「日本経済の持続的成長のためになすべき規制改革の課題は何か」 
モデレータ 神田秀樹 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 各パネリストの発表

  • 「対日規制改革フォローアップ審査概要」 
    ロルフ・アルター (OECDパブリックガバナンス・地域開発局次長)
  • 「民間主導社会の実現に向けて」  
    北城恪太郎 (社団法人経済同友会代表幹事、日本アイ・ビー・エム株式会社代表取締役会長)
  • 「対日直接投資(FDI)」 
    ニコラス・E・ベネシュ (在日米国商工会議所(ACCJ)理事・対日直接投資委員会委員長、株式会社ジェイ・ティー・ピー代表取締役、対日投資会議外国人特別委員)
  • 「官製市場開放の手段としての市場化テスト」 
    八代尚宏 (社団法人日本経済研究センター理事長)

 パネルディスカッション

  • 「競争政策の強化と効果について」  
  • 「規制改革を実行する上で、日本に特殊性は存在するのか」 


              

講演概要

● 記念講演 
「加盟40年を迎えた日本の挑戦」ドナルド・ジョンストン

日本経済は、OECDに加盟後、製造業を中心として驚異的な成長を遂げた。
90年代後半バブル経済の崩壊等により経済成長に陰りが見え、一人あたりの平均所得の増加も停滞し始めた。現在の日本経済は回復傾向にあるものの、日本が影響力のある地位を国際社会で今後も維持するには、この回復に更に勢いをつけることが必要。日本経済は固定投資、高い教育水準による人的資本及び技術開発という強みがある。一方で、公的負債の増大、起業件数の低さ及びFDI額の少なさがOECD加盟国平均と比べて劣っている。このような特徴を踏まえ、日本がさらなる成長を続ける方策として、公的負債の削減と規制改革の実行を提言する。特に規制改革については、構造改革特区を創造的な政策として評価しており、これを全国規模化すべきだと考える。また規制改革は時間を要するものであるが、日本がこれを着実に実行するためには、構造改革の必要性について国民の理解を得ること、保護された分野を開放し、競争力を強化することが重要である。

● パネルディスカッション
「日本経済の持続的成長のためになすべき規制改革の課題は何か」 

「対日規制改革フォローアップ審査概要」ロルフ・アルター
OECDによる規制改革審査は97年に規制改革に関する原則を定め、国別審査を開始した。OECDは規制改革によって、経済発展と良好な行政(グッドガバナンス)という効果があると考えている。日本に対しては99年に第1回目の審査を行い、そのフォローアップとして昨年10月に審査を行った。この審査においてOECDは、政府のリーダーシップ、構造改革特区政策の実施、既得損益団体との対話によるアカウンタビリティーの向上を99年から進展のあった事項として評価した。一方で、規制改革を戦略的に実施するメカニズムの構築、規制改革政策の質の検討を今後の課題とした。今後規制改革を推進するために、政府が改革の確約を明確にすること、官・民が一体となって協力して行うこと、国民が規制改革の必要性をきちんと理解するよう啓蒙活動を行うことを提言したい。

「民間主導社会の実現に向けて」 北城恪太郎 
日本経済が「失われた10年」から「次の10年」に移行するには、財政赤字の改善と経済成長を両立させることが必要である。財政に負担をかけることなく経済成長を実現させる方策として、革新「イノベーション」が鍵になると考える。イノベーションの良い例として、最近ではIP電話が挙げられるが、このような革新を推進する政策を政府は積極的に実施すべきだ。また規制をなくすことにより、企業が活躍できる場所を広げることも、財政負担をかけることなくできる重要な政策である。実際に日本の第一次産業、第二次産業は保護政策の影響や参入規制のある分野の存在からアメリカに比べ生産性が低い。事後規制から事前規制への変換、民間参入が認められていない分野(医療、教育等)の門戸開放、構造改革特区の全国化などを実施することで、競争力を高め生産性を上げることが必要である。企業側もこのような規制改革に協力すべく、起業責任(CSR)の遵守を徹底すべきである。

「対日直接投資(FDI)」 ニコラス・E・ベネシュ 
FDI(Foreign Direct Investment)の増加は経済活性化の鍵であり、小泉総理がかかげる国内直接投資(FDI)倍増計画を高く評価する。一方で、FDIに関して日本では誤った理解が浸透している。外国企業は新規雇用、技術革新をもたらさない、FDIは関東、関西地区のみに利益をもたらすというようなネガティブな影響は、一橋大学経済研究所の深尾教授が調査を実施したところ、神話であることが判明した。調査結果では雇用の創出や生産性の向上をもたらしており、日本経済の成長に大きく寄与している。政府はこのFDI倍増計画に責任を持ち、こういった誤解を払拭し、計画の目的を国民に明確にすべきだ。また、啓蒙活動だけでなく、外国企業による買収の場合に認められていない課税繰り延べを認めるなど、実際にFDIの増加を阻害している規制も取り除く必要がある。

「官製市場開放の手段としての市場化テスト」八代尚宏 
規制改革の現状では、公平性の観点から医療や教育など官(政府)が認めた団体のみがサービスを行えるという社会的規制については維持すべきとの意見が強い。私がメンバーとして参加している総合規制改革会議ではこの「官製市場」の競争性を高めるために、民間への開放を検討しており、その手段として市場化テストの実施を進めている。これは官が独占しているサービス「官製市場」を全面的に開放し、官と民を競わせた結果質とコストの面で優れた事業者を選定するというものである。これを実施することにより行政改革、行政サービスの多様化、民間の事業機会と雇用機会の拡大という利点が期待できるが、最も重要なのは民間に任せるということではなく、民にも開放することで官によるサービスの質が向上することである。また民に任せた場合の公平性の維持については、ガスや電力産業と同様、公正性を保つ厳しい法を設けることによりその維持が可能であると考える。

●パネルディスカッション
「競争政策の強化と効果について」

神田氏:独占禁止法や公正取引委員会の権限強化などの競争政策についてどう考えるか。
アルター氏:規制される側と政府がもっと協議を行い、規制の目的や企業側の意見を理解しあう必要がある。独占禁止法は抑止効果しか望めず、必ずしも必要ではない。
ベネシュ氏:日本の場合、政府に規制の権限が集中しすぎているところが問題。アメリカで競争文化が根付いたのは州が規制を設定できる連邦制度だったからであり、地方間が競い合い、地方ごとの強みを活かす政策をとることができた。

「規制改革を実行する上で、日本に特殊性は存在するのか」

神田氏:規制改革を行う上で、日本に特殊性は存在するか?あるとすればそれに応じてどのような政策を行う必要があるか。
北城氏:
日本が特殊であると思わないが、あえていえば官の役割は大きすぎると思う。民間主導の経済運営を進めるべき。
ジョンストン事務総長:グローバル化により日本の市場開放が求められるようになったが、日本の経済規模の大きさ、貿易依存度の低さから考えて、規制改革に反対する既得損益団体の抵抗は当然といえ、特殊という程に値しない。
八代氏:いろんな分野で特殊と言われるが、特に日本の官僚は現状維持に動きたがり、改革に弱い。海外の成功例を日本の状況に合わせた形にして行うべきだ。

                                



 






 

 



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