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日米欧の経済見通し
2008/11/13
1.OECD圏の経済は景気後退局面に入った模様であり、今では多くのOECD諸国で失業率が上昇している。OECDの予測では低迷は長期化し、2009年のGDP成長率はマイナス0.3%になる可能性が大きいが、先行き不透明感は強い。それは特に景気低迷の主因である金融危機の程度と期間について言える。この点、予測の根底にあるのは、9月中旬以降の極度の金融緊張状態は短期間で終息するが、その後も2009年末まで金融の逆風は続き、その後徐々に正常化していくという想定である。予測を支えているもう一つの重要な要因は、住宅市場の調整が続いていることである。多くの欧州諸国では、過去の住宅市場のサイクルを踏まえると、住宅市場の調整は長引く可能性が強い。
2.インフレが許容水準を超えるのではないかという当初の懸念はここにきて解消している。多くのOECD諸国ではインフレはこの夏にピークをつけ、今では下落している。想定どおり、一次産品価格が最近の低水準にとどまり、需給ギャップの拡大が価格に引き下げ圧力をかければ、インフレは今後も緩和されていくはずである。
3.予測をめぐるリスク分布は広範に分散している。2009年の場合、リスクはダウンサイドの非対称分布となっている。リスクとしては、特に、金融正常化までの期間が想定より長くなること、金融機関の破たんがさらに増えること、世界貿易の低迷や外国人投資家のリスク見直しにより新興経済国への打撃が深刻化すること、などが挙げられる。アップサイド・リスクもある。実効的で包括的な政策措置の導入により銀行バランスシートの調整が想定より迅速に進む可能性がある。予測に織り込まれている以上の刺激策が採られる可能性も排除できない。2010年についてもリスクは広範に分散しているが、それ以前に景気回復が始まっている可能性を映し、リスク分布は均等化している。
4.深刻な景気低迷を背景に追加的なマクロ経済刺激策が必要とされている。通常なら安定化策として財政政策ではなく金融政策を採るべきであるし、一段の金融緩和がすでに採られている。しかし、極度の金融緊張状態という現状を考えると、金融政策の波及経路は弱体化している可能性がある。しかも、米国と日本はさらなる利下げの余地が限られている。こうした異例の状況下では、財政政策も役割を果たさなければならない。ビルトインスタビライザーがフルに働くようにすべきであるとともに、財政政策を講じる余地のある国では、裁量的な財政緩和も依然として重要な目先の政策オプションとなっている。ただし、いかなる裁量的政策措置もタイムリーかつ一時的なもので、最大の効果を発揮するように設計することが極めて重要である。例えば、ローンで圧迫されている家計向けの減税が効果的かもしれない。同時に、多くのOECD諸国は多額の公的債務を抱えているだけに、長期的な財政の持続可能性を確保する確かな枠組みを整備することも同じくらい重要となろう。
5.さらなる金融市場安定化策を講じる必要性についても排除できない。この点に関しては、競争を歪めたり、実質的に他国に問題を転嫁したりするような措置を避けるための国際協調が望ましい。金融市場の正常化に伴い、混乱なく撤廃できるような方法で措置を設計し実施することも同様に重要である。現在の金融市場混乱の処理とは別に、過度のリスクテークへのインセンティブをもたらし、金融機関に不透明な方法で持続不可能な水準までレバレッジを増加させた規制・監督枠組みの特徴を見直すことも必要となろう。これらの問題に取り組む際には、グローバルな金融アーキテクチャーの改革に焦点を絞り込むとともに、市場開放への動きが大幅に後退すれば、その代償は高くつくことになるため、市場開放の見直しを求める圧力に抵抗することも重要となろう。
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