OECD プリント

多くのOECD諸国で移民が増加

 

2001/1/19

 多くのOECD諸国において移民の流入が引き続き増加しており、特に欧州諸国と日本では顕著になっています。反対にオーストラリア、カナダ、ドイツ、スイス、米国では移民流入が減少する傾向にあります。しかしながら、絶対数からするとドイツと米国が主な受入国であることに変わりはありません。

 ほとんどのOECD諸国において、外国人および外国生まれの住民の数と、その全人口に占める割合の両方が、過去10年間に増加しています。絶対数としてはいまだ低いままですが、フィンランドの人口に占める外国人の割合は1988年から1998年の間に4倍になりました。オーストリア、デンマーク、イタリア、ポルトガル、スペインでは外国人が絶対数で2倍になり、ドイツでは63パーセント増加しました。

 これらのデータの国際比較が Trends in International Migration 2000年版*に掲載されています。移民の大部分は今でも家族のつながりによるものであり、ほとんどが地理的にも限られた範囲内のものですが、新しい傾向として多様化が進んでいます。EUでは、EU外からの外国人流入が増加しています。いまや中国人移民が、フランス、イタリア、スペインに定住している国民のトップ10に入っています。北欧諸国では、近隣諸国からの移民に代わり、次第にアジアや旧ユーゴスラビアからの移民が増えつつあります。1998年から1999年にかけてベルギー、アイルランド、英国では、亡命申請が著しく増加しました。1999年には9万1,000人が英国への亡命を希望し、またその状況はドイツでも同様でした。

 欧州におけるマグレブ諸国(アルジェリア、モロッコ、チュニジア)、トルコ、旧ユーゴスラビアの国籍をもつ人々の分布は、過去15年間に変化しました。フランスがマグレブ国籍の人々の主な受入国であることは変わりありませんが、モロッコ、チュニジアの人々のイタリア、スペイン、ドイツへの定住が増加しています。バルカン半島における紛争の結果、旧ユーゴスラビアからの移民の数が、スイス、オーストリア、イタリアで増加していますが、その最大の受入国は依然としてドイツです。ドイツ国内に210万人いるトルコ人は、欧州のOECD諸国での外国人コミュニティーとしては最大で、これはドイツ国内の外国人住民の30パーセント近くを占めています。トルコ人は、フランス、ベルギー、オランダ、デンマークにも多数移民しており、オランダとデンマークでは外国人人口の15パーセントを占めています。

 オーストラリア、カナダ、米国では、欧州からの移民が減少している一方、アジアや開発途上国からの移民が増加しています。カナダでは、1986年から1996年の間に欧州からの移民が若干減少したのに対し、アジアからの流入は倍増しました。この傾向はオーストラリアでも同様で、欧州からの移民は安定していますが、アジア、ニュージーランド、アフリカからの移民が際立って増加しています。

 過去10年間に労働力に占める外国人の割合が著しく増加した国がOECD諸国にはいくつかあり、特にオーストリア、ベルギー、ドイツ、ルクセンブルク、米国で際立っています。しかし労働力全体に占める外国人の割合は様々で、その割合が高いのはルクセンブルク(57.7%)、オーストラリア(24.8%)、カナダ(19.2%)、スイス(17.3%)、米国(11.7%)です。一方、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、スウェーデンでは5から10%の範囲です。英国、アイルランド、デンマーク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、イタリア、スペイン、日本では5パーセント未満です。

 一般に、外国人の雇用レベルは全体の雇用レベルに比べ変動が目立ちます。オーストリア、アイルランド、イタリア、ノルウェー、ポルトガルにおける最近の景気回復は、外国人雇用レベルにおいても比較的堅調な拡大を生み出しました。それとは対照的にフランス、ドイツ、オランダにおいては、力強い経済成長は外国人にはそれほど恩恵をもたらさなかったようです。イタリアとスペインを除く欧州のOECD諸国のほとんどすべてで、外国人労働者の失業率は、労働力の割合から想定されるレベルよりも高くなっています。この相違はデンマークとオランダで最も大きく、外国人労働者の失業率は国民一般に比べて平均で3倍高くなっています。

 OECD諸国内で現在の好景気が続けば、移民の流入はおそらく今後もさらに増加するでしょう。OECD諸国の中には、すでに一時的な労働移動に対してこれまで以上に柔軟な対応をするための準備を進めている国もあり、特にハイテク分野で高度な技能を持つ労働者の入国を促進しようとしています。

 また、アナリストの中には人口の高齢化によってもたらされる問題を移民が軽減することができると示唆する者もいます。若くかつ高い移住能力をもつ移民が一時的な解決策にはなるとする一方で、今回の研究では、移民それ自体が人口統計的な問題を解決することはできないと結論付けています。この報告書では、親族の結びつきによる移民に関するいくつかのOECD諸国の比較研究を掲載した章を設けています。そこでは、家族再結合の規準、受益者、効果などを考察しています。

*"Trends in International Migration SOPEMI 2000 Edition"
ISBN: 9264186123 \: 6,390円

Copyright OECD Tokyo Centre. All rights reserved.