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OECD諸国への移民は増加傾向

 

2003/02/24

OECDレポート「Trends in International Migration」最新版の結論によれば、世界経済の減速やテロ対策の一環としての国境警備強化にもかかわらず、OECD諸国への移民は引き続き増加しています。更に、不法移民の減少が見られないことは、不法移民対策がほとんど成果を上げていないことを示しています。

増加傾向は難民、家族との再会、就労目的、亡命目的など、あらゆる移民のカテゴリーで見られます。最も多くの亡命者を受け入れている国は英国、ドイツ、米国ですが、受入れ者数が相対的に最も増えているのは中東欧諸国です。また、亡命者が最も多いのは欧州です。

OECD諸国への移民の出身国は近年大きく変化しています。増加しているのは中国、フィリピン、ルーマニア、ウクライナ、ブラジル、エクアドル、アルゼンチン、セネガル、カーボベルデ、南アフリカからの移民です。同時に、メキシコから米国への移民やモロッコからフランス、イタリア、ベルギーへの移民など、従来から見られる移民の動きも続いています。

多くの国、特にルクセンブルグ、スイス、英国、オーストリア、ドイツ、フランス等では、移民の子供が出生数全体に大きな割合を占めています。更に、移民先の国で市民権を取得する移民も引き続き増加しています。

本書によれば、OECD諸国は過去二年間に様々な移民対策を講じています。一部の国では外国人の入国と滞在期間に関する規則を厳しくしています。例えば、オーストリア、デンマーク、オランダは先に入国した者に続いてやってくるその家族を簡単に受け入れないようにしました。オーストラリア、カナダ、米国、英国、フランス、ノルウェーなどは、特に高度の技能を有する労働者について、新規に受け入れる移民の選別を強化しました。同時に、多くのOECD諸国では外国人留学生も増加しています。一部の国では外国人留学生、特に学業を修了した留学生の就職に関する規則が緩和されています。これも、特別な技術を有する外国人への需要が増加していることを示しています。

不法移民や不法外国人雇用への対策を強化している国もあります。また、亡命申請の審査を迅速化したり、明確な根拠の無い亡命申請をさせないようにしたりする措置を講じている国もあります。同時に、多くのOECD諸国は不法滞在者をある程度受け入れる計画も打ち出しています。こうした計画には、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペインのケースのように労働者に関するものだけでなく、米国における再会家族、スイスやルクセンブルグにおける亡命申請を却下された長期亡命希望者に関するものもあります。また、不法移民の出身国と条約が締結され、不法移民への本国送還が可能になっています。こうした条約と同時に新たな二国間労働条約が締結されることもあります。

10ヶ国が新規に加盟するEUの拡大に伴い、東欧から就労目的の移民が大量に流入するのではないかと危惧されています。このため、新規加盟国の市民にEU域内での自由な就労を認める前に最長7年の移行期間が設けられることになりました。最も懸念されているのは、第三国からの移民が新規加盟国を通って西欧に流入してくる可能性です。加盟候補国は外国人の入国、滞在期間、雇用の権利に関する規則を強化する必要があります。

本書は、大半のOECD加盟国にとって外国人及び移民の統合が依然として大きな課題になっているとも結論しています。この課題は、移民の若者と女性が直面している様々な困難において、最も顕著です。本書は、若年層の移民や移民の子供の専門能力を向上させるとともに、移民が多く住む荒廃した地域を再開発する必要もあると指摘しています。統合を進める上では特に雇用面での人種等に基づく差別の撤廃も欠かせないとも論じています。高度な言語能力が労働市場への統合において重要な役割を果たしていることから、大半のOECD諸国では移民の言語能力も注目されるようになっています。

本書は、特別に一章を割いて、移民が労働力不足解消について果たすことのできる役割に関する最近の研究についても取り上げています。1990年代末の力強い経済成長と人口高齢化の影響に対する懸念の強まりを背景に、多くの国が労働力不足解消策として移民を重視するようになっています。本書では労働力不足の程度を計るためにOECD諸国で用いられている様々な手法について解説しています。また、移民や移民政策のトレンドに関する国別審査も掲載しています。

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Trends in International Migration: SOPEMI 2002 Edition
ISBN: 9264199497 \8600.

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