OECD プリント

FATF、テロ資金の取り締まり強化

 

2001/10/31

 ワシントンで2001年10月29、30日の両日に開かれたテロ資金に関する臨時総会1で、金融活動作業部会(FATF)はその任務をマネーロンダリング(資金洗浄)防止対策からさらに拡大し、今後は世界的なテロ資金根絶への取り組みにも注力していくことを決定しました。

 「本日、FATFはテロ資金根絶への新たな国際基準を発表したが、全世界の国々にこの基準の採用と実施を求めたい。この特別勧告を実施すれば、テロリストとその支援者は国際金融システムを利用できなくなる」とFATFのクラリー・ロー議長は述べました。

 FATFはこの臨時総会で、加盟国に以下を義務付けるテロ資金に関する特別勧告2に合意しました。

 関連の国連条約を早急に批准・実施するための措置をとる。

 テロ、テロ行為、テロ組織への資金供与を犯罪として位置付ける。

 テロリスト資産を凍結・没収する。

 テロ関連の疑わしい取引を報告する。

 テロ資金捜査に関して他国の法執行・規制当局に可能な限り広範な支援を提供する。

 代替的送金システムにマネーロンダリング防止義務を課す。

 内外への送金の際の本人確認措置を強化する。

 非営利組織などを悪用したテロ資金供与をできないようにする。

 これらの新たな措置の迅速かつ効果的な実施を確保するため、FATFは次の包括的な行動計画を採用することで合意しました。

 2001年12月31日までにFATFの全加盟国が特別勧告の実施状況について自己審査する。これには、2002年6月までに特別勧告を遵守する義務とその時点で実施に至らなかった勧告を実現するための行動計画が含まれる。全世界の国々に対してもFATF加盟国と同じ条件でこれに参加するよう呼びかける。

 2002年2月までにテロ資金供与で利用される手法・仕組みに関する金融機関向けの追加的手引きを作成する。

 2002年6月に、適切なテロ資金対策を講じない国・地域の特定作業に着手するとともに、テロ資金対策を講じない国・地域への対抗措置の可能性を含めた、次にとるべき措置についての討議を開始する。

 FATF加盟国は、適切な国連安保理決議に従い、テロリスト資産として凍結された資産の額を定期的に公表する。

 FATF加盟国は、必要に応じて、特別勧告の遵守を支援するための技術支援を非加盟国に提供する。

 テロ資金対策への行動計画を進める上で、FATFは、国連、各国金融情報機関(FIU)のエグモント・グループ、G20、国際金融機関(IFI)など、マネーロンダリングとテロ組織への資金供与を防止する国際的取り組みをサポートし、取り組みの進展に貢献している、FATFと同種の地域機関や国際機関・組織との協力を強化していくことになります。

 また、FATFは、マネーロンダリングに関するFATF40の勧告を改訂する際に今回の特別勧告を考慮に入れるとともに、企業、コルレス銀行、口座名義者の確認、ノンバンク金融機関の規制に関する作業を強化していくことでも合意しました。

 FATFは独立の国際組織で、事務局はOECD内に置かれています。FATFの29の加盟国・政府は、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国です。2つの国際機関(欧州委員会、湾岸協力会議)もFATFに加盟しています。FATFの詳細については、ウェブサイト(http://www.fatf-gafi.org)をご参照下さい。

 

1. 31のFATF加盟国・機関とFATFと同じタイプの18の地域機関とオブザーバー組織が出席。地域機関とオブザーバー組織には、アジア・太平洋マネーロンダリング対策グループ、カリブ諸国金融活動作業部会、東部・南部アフリカマネーロンダリング対策グループ、欧州評議会のマネーロンダリング対策特別評価専門家委員会、アジア開発銀行、英連邦事務局、欧州中央銀行、ユーロポール(欧州刑事警察機構)、米州開発銀行、国際通貨基金、国際証券監督者機構、インターポール(国際刑事警察機構)、オフショア銀行監督者グループ、米州機構/全米麻薬乱用取締委員会(OAS/CICAD)、国連麻薬統制犯罪防止局、世界銀行、世界関税機関(WCO)が含まれる。

2. 添付の特別勧告の本文を参照。

 

<添付資料>

テロ資金に関するFATF特別勧告

 FATFは、テロ資金対策が極めて重要であることを認識し、マネーロンダリングに関するFATF40の勧告とともに、テロ資金とテロ行為を突き止め、防止し、封じ込めるための基本的枠組みとなるこれらの勧告について合意した。

T.国連条約の批准と実施

 各国は早急に1999年国連テロ資金供与防止条約の批准と完全実施に向けた措置をとるべきである。

 また各国は、テロ行為への資金供与の防止・抑止関連の国連決議、特に国連安保理決議1373も早急に実施すべきである。

U.テロ資金供与および関連のマネーロンダリングの犯罪化

 各国は、テロ、テロ行為、テロ組織への資金供与を犯罪として位置付けるべきである。各国は、この犯罪をマネーロンダリング関連犯罪として明示すべきである。

V.テロリスト資産の凍結・没収

 各国は、テロリスト、テロへの資金供与者、テロ組織の資金その他の資産を、テロ行為への資金供与の防止・抑止関連の国連決議に従い、即刻凍結する措置を実施すべきである。

 また各国は、当局がテロ、テロ行為、テロ組織への資金供与によって得られたか、かかる資金供与に利用されたか、そうした利用を意図されたあるいはそうした利用に充てられた、財産を押収・没収できるようにする法的措置を含めた措置を採用・実施すべきである。

W.テロ関連の疑わしい取引の報告

 マネーロンダリング防止義務を負う金融機関その他の企業・団体に対し、資金がテロ、テロ行為、テロ組織と関連しているか、テロ、テロ行為のために使用されるか、テロ組織によって使用されると疑われる、あるいは疑われるに足る合理的な根拠がある場合には、速やかに当局に報告するよう義務付けるべきである。

X.国際協力

 各国は、法律上の相互支援や情報交換のための条約、協定、その他の仕組みに基づいて、テロ、テロ行為、テロ組織への資金供与に係わる刑事および民事法執行、行政上の捜査、照会、訴訟手続きに関する最大限の支援を他国に提供すべきである。

 また各国は、自国がテロ、テロ行為、テロ組織への資金供与で告発された者にとって安全な逃避先とならないよう、あらゆる可能な対策を講じるとともに、可能であれば、そうした者の引き渡し手続きを確立すべきである。

Y.代替的送金

 各国は、非公式の送金システムや送金ネットワークによるものを含め、送金サービスを提供する者または法人(代理人を含む)に対して免許ないし登録義務を課すとともに、銀行とノンバンク金融機関に適用されるFATFのすべての勧告を遵守させるための措置を講じるべきである。各国は、非合法的にこうしたサービスを行う者または法人に対して、行政上、民事上、または刑事上の制裁を課すようにすべきである。

Z.電信送金

 各国は、金融機関(送金業者を含む)に対して、送金と送付される関連のメッセージに正確で意味のある本人情報(氏名、住所、口座番号)を添付することを義務付ける措置を講じるとともに、こうした情報は支払いが完了するまで送金または関連のメッセージに残るようにすべきである。

 各国は、金融機関(送金業者を含む)に対して、完全な本人情報(氏名、住所、口座番号)を伴わない疑わしい送金の精査と監視の強化を徹底させるべきである。

[.非営利組織

 各国は、テロへの資金供与に悪用される可能性のある団体に関する法規制が十分かどうか点検すべきである。非営利組織は特にねらわれやすいので、各国は、

(@)合法的な団体を装ったテロ組織が、

(A)資産凍結措置から逃れるためを含め、テロへの資金供与を行う手段として合法的な団体を利用するため、また、

(B)合法的な目的への利用を意図された資金のテロ組織への流用を隠蔽するために

非営利組織を悪用できないようにすべきである。

Copyright OECD Tokyo Centre. All rights reserved.