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規制改革

APECとOECD:市場ルールの適正化に向けて
OECD事務総長アンヘル・グリア

2008/08/01

混乱する金融市場、保護貿易主義台頭の懸念、気候変動による長期的な問題は、大きく新聞の見出しを飾る、世界経済の成長に対する脅威のほんの一例である。問題に対する初めの対処が規制である場合、政治的な圧力によって合理的な分析が損なわれる可能性がある。規制とは政府と市場が交わる場所である。問題は適切な介入レベルを見出すことにある。

今下す決断は今後何年にもわたって重要となる。例を挙げると、気候変動に対応した経済的な手段は最も費用対効果が高いと考えられ、二酸化炭素排出量削減のための市場創出に役立つ。しかし許認可をはじめ、排出権取引その他の気候変動に対応する手段としての市場に関する規制の枠組みと適正基準はいまだ構築されていない。効果的な協議とコンセンサスの一致が改革を支える共通の価値観と大筋での合意形成に役立つであろう。

規制とは目的達成のための手段である。革新、生産性、柔軟性の促進によって問題解決のための可能性を広げる。加えて我々の幸福と国民の信頼にとって極めて大切な社会的・環境的目標にも資するものである。規制環境を改善している国は危機から早く立ち直り、成長軌道に戻ることができる。

規制改革は政府が経済を誘導するうえで重要な役割を果たす。OECDは1990年代から規制改革に取り組んできた。OECD加盟国は各国の経験を共有することによって、優れた規制のための指針や適正基準といった形で共通の姿勢を確立してきた。我々はかつてなく優れた規制のツールと制度を手に今日の課題に立ち向かっている。

世界各国も規制に対して最優先で取り組む必要性に気づき始めている。今週(8月3日−5日)、オーストラリアのメルボルンで開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)会議では、各国の構造改革担当大臣が自国経済の抱える構造改革問題に対する包括的アプローチの一環として規制改革を検討する予定である。私はAPEC閣僚会議に出席する初のOECD事務総長としてこの会議に望み、OECDは支援の用意があることを表明する。

規制改革は構造改革の重要な推進力である。政府の中核機能として規制政策を組み込んでいる国は増えてきている。オーストラリア、イタリア、英国では現在、役職に「規制」の文字を入れた閣僚を配している。

一部の国では、官僚的形式主義の順守のために企業が負担するコストはGDPの2−4%に相当する。煩雑な事務手続きに対する膨大な浪費である。小規模な企業は特に影響を受け、新たな雇用を創出する可能性が最も高い。OECD加盟国の政府の多くは具体的に管理上の負担の25%削減を目標に掲げた。企業と家計は分かりにくく煩雑な行政措置に不満を抱いている。企業がこの負担から逃れるために違法な方法を模索すれば、最悪のケースとしては汚職を招きかねない。規制改革のための適切な政策は官僚的形式主義を緩和し、時代にそぐわない矛盾した規制を撤廃することである。

しかし、事務手続きを簡素化したとしても、競争と変化への適応を阻害し、しばしば非関税障壁という形で不当な貿易制限を課す規則が依然として残っていれば、これだけでは不十分である。どんなにささいな規制であっても、競争に無益な制限を課すことができる。重要な点は規制の数ではなく、市場に対する影響である。

そこで登場するのが影響評価である。OECDは長年にわたり新たな規制に対して影響評価を推進してきた。これは規制管理システムを構築する際の第1段階となる場合が多い。この分析では法令が競争に及ぼす影響を一段と深く評価することができる。OECDでは規制部門における競争促進のための一般原則を定め、政策目標を達成させる一方で競争に対する無益な制限となる法令を見つけ出す手法を応用した競争評価ツールキット(Competition Assessment Toolkit)を開発した。今では、オーストラリア、カナダ、英国、韓国、トルコをはじめとして、競争評価プロセスを用意し、そのチェックリストを自国の政策決定プロセスに取り入れている国が増えている。

規制改革に関するOECD原則と、APECの競争原則および健全なガバナンスに関する一般原則をまとめた統一チェックリストの作成にAPECとOECDが共同で着手した2001年以降、大きな進展が見られた。チェックリスト・プロジェクトは相互理解を促し、その最終成果は世界各国が利用できる規制改革への指針となった。規制の質、競争、市場の開放をひとつの文書にまとめて以来、オーストラリア、韓国、香港特別行政区、中国台北、米国のAPEC加盟5カ国・地域で利用されている。2009年末までに少なくともさらにAPEC加盟5カ国・地域が自己評価を実施することを希望したい。

優れた原則を実践するためには、ただ待っていたのでは何事も起きない。短期的に大きな打撃を被るところから反対が起きることもある。しかし惰性的でその場しのぎのプログラムは、失業や生産性の低下を引き起こし、好機を逸することとなって、極めて高い代償を払うことにつながる。規制改革推進も20年目に入り、OECDは各国政府の市場ルール適正化を支援する取り組みに今後も邁進する所存である。

 

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