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大半のOECD諸国で所得格差と貧困が増大
2008/10/21
OECDの新報告書『Growing
Unequal?』によれば、OECD諸国の4分の3以上で過去20年間に富裕層と貧困層の格差は拡大しています。
本報告書は、過去20年ほどの経済成長は貧困層より富裕層に恩恵をもたらしている、と結論しています。カナダ、フィンランド、ドイツ、イタリア、ノルウェー、米国などの国では、富裕層と中間階級の格差も拡大しました。
一般に所得分布の広がりが大きい国ほど所得の貧困も広がっています。また、社会的流動性も、イタリア、英国、米国など格差の大きい国の方が低く、所得がより公平に分布されている北欧諸国の方が高くなっています。
パリでの本報告書刊行に際し、アンヘル・グリアOECD事務総長は、格差によりもたらされる危険性と、政府が格差問題に取り組む必要性を警告しました。「格差の拡大は分裂をもたらす。社会を二極化し、国内の地域を分裂させ、世界を富裕層と貧困層に分割する。所得格差の拡大は世代間の上方への流動性を抑制し、優秀な人や勤勉な人が自分に見合う報酬を得ることを困難にする。格差の拡大を放置することはできない。」
所得格差の主な牽引役となっているのは、仕事に就けない非熟練者や低学歴者の増加です。単身者や片親世帯の増加も所得格差の拡大の一因です。
社会集団の間には差が見られます。過去20年間に所得が最も伸びているのは退職年齢近辺の層であり、多くの国で年金生活者貧困率は低下しています。これに対し、児童貧困率は上昇しています。(OECDでは世帯者数調整後所得中央値の50%以下の世帯者を貧困者と定義しています。)
今では児童と若年成人の貧困率は人口全体の貧困率より25%高くなっています。OECD諸国は20年前の3倍もの資金を家族政策に費やしているのにもかかわらず、片親世帯の貧困率に至っては人口平均の貧困率の3倍にも達しています。
先進国では、政府は格差拡大傾向を相殺するため増税と社会給付増を行っています。これがなければ、格差の拡大ははるかに急速に進んでいた、と報告書は述べています。
しかし、格差問題に取り組む新たな対策が必要である、とグリア事務総長は述べました。「租税と給付制度が所得再分配と貧困抑制で果たす役割は依然として多くのOECD諸国で重要であるが、本報告書のデータは、その実効性がこの10年間に低下していることを裏付けている。社会的支出の増加のみにより所得分配の格差を埋めようとするのは、病気ではなく症状を治療するようなものである。」
「格差の拡大は主に労働市場の変革による。政府が行動を起こさなければならないのはこの分野である。非熟練労働者の就職は難しくなる一方であり、雇用の増加こそ最善の貧困削減策である」とグリア事務総長は述べました。
本報告書は、教育の改善も、エリートのみではなく、万人に恩恵をもたらす強力な成長達成策となると結論しています。短期的に、各国は、失業・障害・早期退職給付に頼るのではなく、就職支援と勤労者世帯の所得を引き上げる在職給付の提供に一層注力しなければなりません。
本報告書の主な結論
富裕層と貧困層の格差はなぜ拡大しているのか
大半の国で格差が拡大しているのは、中間階級や貧困層より富裕層の方が著しく向上しているためです。ここ20年の人口構成の変化や労働市場の変革がこのような格差の拡大の大きな要因となっています。
- もともと高給を取っていた層の賃金が増えている。
- 低学歴者の雇用率が低下している。
- 成人単身世帯や単独世帯が増えている。
誰が最も影響を受けているか
統計学者やエコノミストは平均所得との対比で貧困を評価し、通常、貧困線をその国の所得中央値の50%としています。
- 1980年以降、OECD諸国では高齢者の貧困率が低下している。
- 対照的に、若年成人層と有子世帯層の貧困率は上昇している。
- 平均すると、2005年にはOECD諸国の児童の8人のうち1人が貧困状態にあった。
これは将来世代に何を意味しているのか
社会的流動性は一般に所得格差が相対的に小さい国の方が高い。対照的に、所得格差が大きい国の方が社会的流動性は低い。
- 富裕層と貧困層の格差の大きい国の児童の方が、所得格差の小さい国の児童より、親の学歴や所得を上回る可能性は小さい。
- デンマークやオーストラリアなどの国は社会的流動性が高く、米国、英国、イタリアなどは社会的流動性が低い。
どのような対策が可能か
一部の国では租税政策や所得再分配政策が格差拡大の抑制に寄与していますが、対策はこうしたものに限られません。政府は他の分野の政策も改善しなければなりません。
- 教育政策は今日の労働市場で必要とされる技能の習得を目指すべきである。
- 失業者の就職を支援する積極的な雇用政策が必要である。
- 有給雇用へのアクセスは貧困削減で重要な役割を果たすが、就職しているからといって必ずしも貧困状態にないわけではない。『格差は拡大しているか』によれば、全貧困世帯の半数以上が少なくとも何らかの勤労所得を得ている。
- 在職福祉(welfare-in-work)政策は、所得補てんにより、困窮状態にある勤労世帯がまずまずの生活水準を保てるようにすることに資する。
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