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OECD、従業員ストックオプションに租税条約に基づく共通アプローチを勧告

 

2004/09/03

各国政府による租税政策の合理化を支援する取り組みの一環として、OECDは報酬の一部としてストックオプションを受け取る従業員や取締役向けに租税条約をどのように適用するかに関する共通の解釈を確立するための一連の勧告を公表しました。

近年、ストックオプションは幹部社員への報酬パッケージに占める割合がますます大きくなっています。この結果、ストックオプションがインセンティブ、リスク負担、コーポレートガバナンスに及ぼす影響について活発な議論が起きています。

ストックオプションの利用は様々な形態の報酬に対する各国の取り扱いの違いに影響されるため、多くの租税政策上の問題が持ち上がっており、OECDでは過去三年間、これらの問題について調査を行ってきました。例えば、次のような問題です。

クロスボーダーの所得税問題及びストックオプション行使により得られる所得の二重課税と二重非課税のいずれをも回避するために租税条約を明確化する必要性
多国籍企業が報酬パッケージの一部としてストックオプションを利用する場合に生じる移転価格に係わる問題
他の形態の従業員報酬に適用される取り扱いと比較した国内税制上のストックオプションの取り扱い

租税条約の解釈と移転価格問題の分析に関するOECDの勧告は、OECDのウェブサイトに公表されている二つの報告書に盛り込まれていますが、その概要は以下の通りです。国内課税問題に関するコメントは、この二つの報告書とともに、年内にOECDから公表される国内税務問題に関する報告書に盛り込まれることになっています。

租税条約上の問題

最初のステップとして、OECDは租税委員会における論議を受けて、国境を越える所得と資本への課税に適用される二国間租税条約のグローバルネットワークに関する交渉、適用、解釈のための基本文書「モデル租税条約コメンタリー」の改訂を行っています。コメンタリーには拘束力はありませんが、モデル租税条約の規定をどのように解釈し実施するかについての指針を各国政府に提供するものです。

改訂版のコメンタリーで、OECDは主として次のような提案を行っています。

  • ストックオプションから派生した雇用給付について、居住国が源泉国と異なる年に課税する場合でも、二重課税からの救済措置は居住国が付与すべきである。
  • 従業員ストックオプションの行使を境にして雇用給付とストックオプション関連のキャピタルゲインを分けるべきである。
  • ストックオプション関連の労働役務は、ガイドラインに沿ってそれぞれのケースの事実関係や状況に基づいて決定すべきである。
  • 労働役務が複数の国で提供されている場合、特定の国から派生する雇用給付はその国における労働役務の提供日数に基づいて決定すべきである。
  • 上記の規則は一般に取締役会のメンバーに付与されるストックオプションにも適用されるべきである。


移転価格問題

多国籍企業が従業員ストックオプションを利用する場合にその関連者間に生じる可能性のある移転価格問題については、OECDはアプローチの基礎をいわゆる独立企業原則、すなわち関連企業間の取引条件を独立企業間の取引条件と比較可能なものにすべきであるという原則に置いています。

OECDの分析は主に次の三つ問題に絞られています。

  • 他の税管轄区域に居住する関連企業の従業員へのストックオプション付与。この結果、ストックオプションを支給する企業(親会社)がその受益者の雇用主に対して費用請求する場合に関して、この費用を測定する三つの可能なアプローチが特定されている。
  • ストックオプションプラン支給の他のグループ内取引への影響(これらの他のグループ内取引に適用される移転価格算定方法が従業員報酬に影響される場合)、及び、ストックオプションの比較可能性への影響(納税者か比較可能な第三者のいずれかの従業員報酬がストックオプションによって重大な影響を受ける場合)。
  • 従業員ストックオプションの多国籍企業における費用分担取り決め(CCA)への影響。事例に基づいて、この報告書には参加者のCCAへの寄与を評価する際に従業員ストックオプションについて考慮すべきかどうか、そしてどのような状況下で考慮すべきであるかという議論や、適用可能な評価に関する原則や決定する際に従業員ストックオプションを看過できる状況などに関する議論も盛り込まれている。

問題の複雑さや適用できる状況の広範さから、OECDは一つの具体的対応策を提示することはしていません。その代わり、ストックオプションを支給する企業とその受益者を雇用する関連者間のリスク配分や企業間の費用請求方針など、ストックオプションプラン設定時における各当事者の意図を裏付けるグループ内文書を整備することが重要であると強調しています。また、独立企業原則の整合的適用を確保するため、グループ内取り決めによってストックオプションプランに内在するリスクを独立企業原則に基づいて関係当事者間に配分することが重要であるとも述べています。


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