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交通事故死がOECD経済に与える損失:GDPの2%に相当

 

1999/7/30

 OECDの交通・事故データベース(IRTAD)の推計によると、OECD諸国における1998年の交通事故による死亡者数は、12万4千人以上と見られ、1997年の水準と比較して、平均で6%の低下となりました。OECD諸国の中には、過去30年間に交通量が著しく増加したにも関わらず、1998年の交通事故による死亡者数が1956年の水準にまで低下した国もありました。OECD諸国全体では、路上の安全性を改善させる包括的プログラムが実施された結果、交通事故で致命傷を受けるリスクが低下しています。

 しかし、OECD諸国の交通事故による死亡や傷害から生じる経済的損失は、年間4500億ドルにのぼり、OECD諸国のGDPの2%に相当すると見られています。これは社会にとって容認することのできないコストです。こうした状況に対応するために、OECD道路交通および共同一貫輸送連関研究プログラムでは、交通事故死が引き続き減少するよう支援するため、新たに一連の研究活動を開始しました。

 このプログラムでは、路上の安全性の向上に特に成功した加盟諸国において開発、導入された戦略を検証しています。さらに本プログラムでは、先端技術によって導入可能になった手法などに焦点があてられる予定です。また、OECDの研究者は、今後15年間に予想される著しい社会の高齢化が路上の安全性に及ぼす影響を調査しています。このプロジェクトは、高齢者の安全や移動といった問題への取り組みにおいて、政府が選択すべき方策について分析するものです。


今日までの業績

 過去25年間で、ほどんどのOECD諸国では路上の安全性が向上しました。政府の公的介入と民間主導の活動、そして信頼性が高く包括的なデータに基づいた研究や科学的分析が、安全性の向上に繋がりました。路上の安全性は、明らかに、政策と研究とが密接に相関する分野なのです。

 しかし、路上の安全性向上における「成功」は、あくまでも、OECD諸国における交通事故死が恐るべき水準にあった1970年代始めと比較してのことです。その当時の死亡者数は、現在より25%も高い水準にありました。年間の交通事故による死亡者数が12万4千人に低下したことを成功例として考えるのは、交通事故が社会に与える膨大な個人的・経済的損失を見落とすことになります。

 交通事故死数が1998年に低下した国では、その要因として下記を挙げています。

  • 路上の安全性向上のために実施されているプログラム(例:速度管理)の効果

  • より厳しい血中アルコール濃度制限の導入 (例:ドイツ)

  • 新たな能動・受動的安全用車両装備 (例:アンチ・ロックブレーキシステム、前部・後部座席エアバッッグ)

  • 救助サービスの改善 (例:スイスでは、通報後15分以内に救急隊が事故現場に到着するよう定められている。)

  • 車内だけで使用可能な手を使わない携帯電話の認可 (例:デンマークとハンガリー)

 しかしながら、OECD諸国の中には、交通事故死が殆どあるいは全く減っていない国や、状況が悪化している国もあります。1998年の景気改善効果の調整後も(多くの国で景気回復は旅行の増加に繋がる)、1997年より死亡者数が増加している国も2、3あります。交通事故死に結びつく要素が多数あることから、このような状況の原因を特定するのは困難です。従って、他の可能な要素について分析を更に行うことが強く求められています。

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