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Home OECD Tokyo > OECD Observer 日本語版 > No.216


 OECD Observer 日本語版

規制監督の調整とは何か

PETER KEARNS, ENVIRONMENT DIRECTORATE,
ENV.CONTACT@OECD.ORG

 先端バイオテクノロジーは急速に進歩しており,農業や環境に大きな影響を及ぼし始めている。安全性評価の効率を高め,情報交換の透明性を促進することはOECDのめざす主要な目標である。

 1990年代には,遺伝子組換え作物の開発が急速に進み,その多くはいずれ環境に放出されることになる。これまでに開発された生産物の大部分は,トウモロコシ,小麦,大豆等の主要作物からなる。これまでに40種類以上の作物種について遺伝子組換えが行われ,各種殺虫剤や病気に対する耐性,特定の除草剤に対する耐性等の様々な特性を有するようになった。先端バイオテクノロジーにより,品質が向上し,腐敗が少なくなった。

 大多数のOECD諸国では,これら新種の環境面および健康面の安全性を評価するために独自のシステムをすでに開発している――もしくは開発中である。一部の諸国では,このシステムがバイオテクノロジー商品の使用を規制する特定の法律に組み込まれている。他の諸国では,この規制が,例えば環境保護に関する法律の一部となっている場合もある。一部の諸国では,管理についてより自主的なアプローチを取っている。

 誰が何を管理するかという点では国により違いがある。安全性評価の確実な実施が厚生省の管轄になっている国もあれば,それが農林省または環境省の管轄になっている国もある。また省庁間で責任を分担する場合もある。アプローチに類似性が見られる場合,それは規制当局が安全性評価のために用いる基本的技術情報に類似性があるためである。


遺伝子組換え作物の3つの側面

 一般に,遺伝子組換え作物については3つの面が検討される。それは検討する作物種の生物学的特徴,遺伝子組換えにより導入された特定の特性――例えば,耐病性,そして第3に人の健康と環境に及ぼす潜在的影響である。そのうち最初の2つ――作物種の生物学的特徴と導入された特性に関する情報――は一般にどの国でも同じである。従って,OECDの調整に関する作業の大部分はこの点に焦点を合わせている。
 その主たる目的は,加盟国による合意文書の作成を容易にすることである。これらの文書は,特定の作物種の生物学的特徴または導入された新しい特性に関する情報に焦点を合わせている。これらの文書には,バイオテクノロジー作物の安全性評価に関連性のある技術情報が含められており,OECD諸国間で相互に受け入れられるように企図されている。

 OECDは,バイオテクノロジー規制監督調整作業部会を通じて,環境に対する安全性の評価に役立つ科学的証拠の照合を行っているが,これらの植物または遺伝子工学プロセスの環境に対する安全性について全体的判断を下していない。その理由は,すべての遺伝子組換え作物は実地テストを参考に個別的に評価されるからである。評価の重要な部分は,その植物が導入される環境を考慮することである。


どのようなリスクがあるのか

 一つの例は,セイヨウアブラナ(Brassica napus)の遺伝子組換え品種の環境面での安全性の評価である。この場合の作業は,栽培種とその野生種との雑種が出現する可能性を理解することである。問題は,そのような雑種が同類の野生種に新しい特性を因子拡散することになるかどうかということである。もしそうであれば,この同類の野生種は,雑草のようになり,他の自然の生態系をいっそう侵害する危険がある。このような可能性は,その種がもともと進化した場所,いわゆる起源の中心地では特に重要な意味を持つ。

 OECDのセイヨウアブラナに関する合意文書では,セイヨウアブラナの栽培種が同類の野性種と雑種繁殖する能力があると報告している。しかし,同類の野性種の世界的分布には大きな差異があり,また環境に及ぼす潜在的影響も場所によって異なるため,実際の安全性評価は,各国の規制当局に実施責任がある。

 OECDが安全性情報の収集に共同で取り組むことの一つの大きな利点は,評価の重複が避けられるということであり,これは関係規制当局にとって大きな省力化を意味する。現在,文字通り何千種類もの遺伝子組換え作物の試験が小規模の実地試験場で行われており(又はすでに試験が完了しており),このあとそれらは商業ベースで栽培されることになる。通常,これらの各試験では,各国において別個に安全性を通知する必要があり,これらの実地テストでは,すでに100種類以上の植物および特性の組み合わせが生まれている。政府および産業界は,認可手続きにおいても省力化が生じると見ている。それは確実ではあるが時間のかかる緩慢なプロセスである。このプロセスに基づき,アメリカ,アルゼンチン(OECD非加盟国),カナダ,オーストラリアおよび日本において,多くの遺伝子組換え作物種の商業栽培が規制当局により認可されている。しかし,欧州で認可され栽培されている品種は非常に少ない。

 各国がバイオテクノロジーについてどのような方針をとろうとも,規制監督の調整に価値があることには変わりがない。それは,急速に変化する先端バイオテクノロジーの世界において,環境に関する政策判断をまとめるための共通のベースラインと変化する参考基準を与えてくれる。


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