English Chinese Korean
OECD東京センター
BUILDING PARTNERSHIPS FOR PROGRESS

OECD案内
OECD概要
テーマ別情報
主な行事予定
過去のニュース
メール配信サービス

OECD東京センター
概要
アクセス
イベント・セミナー
閲覧室
広報誌
日本語出版補助
プログラム






BUILDING PARTNERSHIPS FOR PROGRESS

Home OECD Tokyo > OECD Observer 日本語版 > No.217/218


 OECD Observer 日本語版

人口増加:直面する課題

MICHEL ANDRIEU,
INTERNATIONAL FUTURES PROGRAMME,
FUTURES.CONTACT@OECD.ORG

 世界の人口は,1万年かかって1800年に10億人に達した。それは,その後の100年で2倍の20億人に達し,次の1世紀足らずの間にそのさらに3倍になって今日の60億人になった。21世紀にはどうなるのか。われわれはそれに対処できるだろうか。

 どのような問題であれ未来について考えてみようとするとき,人口統計はおそらく最も有益な出発点となる。その理由の一つは簡単である。すべてではないとしても,少なくともある種の人口動態は比較的予測が容易であることである。例えば,いま小学校に通っている子供の数を分析するだけで,20年後に労働市場に対する新規参入者数について,かなり正確な見通しをたてることができる。最初に人口統計が検討されるもう一つの理由は,経済や社会,政治,あるいは環境上の重要な政策問題のいくつか,例えば年金改革や医療支出などが,人口動態に大きく依存していることである。そのうえ,今後50年間に生じると予想される人口変動は,これまでの人類の歴史上のどの時期よりも大規模である。人口動態は,21世紀の世界の発展を規定し,国際的な政治課題を支配する決定的な要因となる――これは決して過言ではない。


世界人口の急増

 国連の最新の長期人口予測(1998年)の「最も確実な」中位出生率シナリオは,出生率が女性1人につき子ども2人を少し上回る水準で安定すると想定している。このシナリオに基づけば,世界の人口は1995年の57億人近くから21世紀末にはほぼ倍増して104億人に達し,さらに2150年には108億人になる。今日,開発途上諸国に分類されている国の大半は,「人口転換」を経験して高出生率・高死亡率の組み合わせから低出産率・低死亡率のポスト遷移状態へと移行すると予測されている。この変化は,人口の大幅な増加をもたらす。これとは対照的に,すでにポスト遷移状態にある先進工業諸国では,人口はほとんど増えないと予想されている。従って,人口増加の大部分は開発途上世界で生じる。このことは世界の人口の地理的分布が大規模に変化することを意味し,先進工業諸国に住む人の割合は,1995年のおよそ20%から21世紀末には約10%に減少する。更に,このシナリオによる出生率と死亡率の低下は,すべての国で著しい人口の高齢化をもたらす。この中位出生率シナリオでは,60歳以上の人口層は1995年の全体の10%から2150年には世界全体で30%になる。

 政策的な観点から特に重要なのは,世界人口の最も急激な増加が21世紀の前半に生じると予測されているという事実である(1995年の57億人が2050年にほぼ100億人に達する)。従って今後の50年間は,経済的な可能性と機会の時代であると同時に,資源と環境に最大の負担がかかる時代でもある。


先進工業諸国における高齢化

 先進工業諸国では,高齢化によって若年層(15〜24歳層)の数が1975年の1億7,600万人から2020年には1億3,500万人へと絶対的に減少する。同時に,人口に占める高齢層の割合が大幅に上昇する。2030年には,OECD諸国の65歳以上層の割合は,オーストラリアの33%(1960年は13.9%)からドイツの49.2%(同16%)までの間となる。

 言うまでもなく,このような変化の経済的,社会的,政治的な影響は極めて重大である。経済面では,人口の高齢化と平均寿命の伸び,労働力構成の変化の組み合わせによって,社会が雇用に提供することのできる時間数が減少する。労働力化率が調整されないとすれば,男性が雇用されて過ごす年数は,1950年の50年間が2030年には33年間に減少する。このことは,人口1人当たり所得の成長率の低下につながる。あるOECD研究の推計によれば,1998年から2050年までの間にこの低下率はアメリカで10%,EUで18%,日本で23%に達するという。

 高齢化は,当然,公共財政にも新たな負担をかける。第1に,依存率――すなわち,労働年齢人口(15〜64歳層)に対する14歳以下層と65歳以上層の割合――の急上昇がその賦課方式の公共年金財政に負担不可能な圧力を及ぼす。依存率は,1998年から2050年までの間にアメリカでは52%から65%に,EUでは49%から78%に,日本では44%から86%に上昇すると予想されている。第2に,高齢者,特に虚弱高齢者の数の増大は,医療および社会サービスの提供を求める圧力を高める(Healthに関する記事を参照)。

 その政治的な意味もまた極めて重要である。高齢化は有権者の構造に明らかな影響を及ぼす。学校や児童保育を犠牲にして高齢者向け社会支出の比率の引き上げを求める高齢の有権者が増える。その結果として,世代間の緊張が高まる。


開発途上諸国における人口転換

 人口変動によって開発途上諸国が直面する問題は以上とはまったく異なる。開発途上諸国の大半は,次の100年間に彼らの「人口転換」を経験することになる。すなわち,高出生率/高死亡率の組み合わせが,今日OECD諸国の大半がおかれている状態である低出生率/低死亡率の組み合わせに道を譲る。しかし,死亡率の低下のほうが出生率の低下よりも先行して進行するために,遷移期の人口は最初のうちは急速に増大する。その後,出生率も低下し,人口増加率は鈍化する。ラテンアメリカがその典型的な例である。その人口は,1990年の4億4,700万人が2050年には8億1,000万人に達すると予測されるが,その後は出生率の低下によって横ばいとなる。

 一方,インドの人口は1990年の8億5,300万人が2050年には15億人に増大する。中国もまた,11億4,000万人から15億人に増え,その他のアジア諸国は1990年の11億人から倍以上の24億人に増大する。遷移が最も遅い――従って人口増加が最も著しい――のは,最も開発の遅れた諸国である。アフリカの人口は,1990年の6億4,200万人から2050年には20億人に増え,2100年には27億人近くに達すると予測されている。

 主要な問題は,労働力に参入してくると予想される大量の若年層のためにいかにして雇用を創出するかである。その数は1990年から2010年までの間に約7億人と予想され,これは1990年の先進工業諸国の労働力全体よりも多い! 実際,開発途上諸国の労働力は2025年までに現在の17億人からほぼ倍増して31億人となる。積極的な面では,この人口転換は,開発途上諸国の多くにとって新しい機会の窓を開く。ただしそのためには,高齢者と児童の依存率の低さを利用して医療や教育や人的資本に投資し,出生率と死亡率の低下傾向を確実なものにすることが必要である。このような投資は,経済発展を加速し,将来の人口高齢化の負担を軽減しよう。


社会的動揺

 だが,人口転換を首尾よく成し遂げた国においてさえ,社会的動揺は避けられないように思われる。経済構造の変化によって大量の移民が発生し,特に農村から都市への移動が数十年に亘って減少することなく続き,このことが民族紛争や環境汚染や都市の不安定を促進する。貧しい国ほど状況は悪化する。低出生率への遷移が遅れる結果として,最大の人口増加を経験するからである。このことが人々を貧困に追いやり,スラム街と辺境の地に押し込み,破滅的な環境を作り出す。対照的に,一部諸国,特に中国の人口転換はあまりにも急速すぎて,男女間や年齢層間に深刻な人口統計上のアンバランスをもたらしている。この先,こうした問題や,人口増加によって生じる他の問題を解決しようとすることは,ただでさえ困難である。政治の腐敗や汚職,部族対立などが更に拡大するとすれば,それはいったいどれだけ困難になることだろうか。


目次

Top


OECD文書
出版物
 
- 今月の新刊
- テーマ別出版物
- Standing Orders
- 定期刊行物
- CD-ROMリスト
- 日本語版リスト
- 出版物購入方法
- 書籍の正誤表
SourceOECD
主要統計
公開文書

Online Book Shop Source OECD OECD政策フォーカス OECDオブザーバー

パリ本部サイトお問合せ検索採用情報

Copyright OECD Tokyo Centre. All rights reserved.