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基礎科学研究は,人間理性の最高の表現の一つであるかもしれないが,科学も,現実的な経済の法則から免れることはできない。科学と技術が経済的福利に不可欠であることは言うまでもないが,乏しい資源を求めて競争する際は然るべき場所に位置を占める必要がある。資源および情報・人材を世界的に配分するためには,特に極めて大規模なプロジェクト,すなわちメガサイエンスに関する科学政策問題について,時宜にかなった,十分な情報に基づく決定を行えるよう,科学政策担当者による国際的な協議を行うことが不可欠である。
すべての重要な技術革新は,純粋な知的好奇心に根差す基礎研究から生じている。残念ながら,その逆は妥当しない。つまり,すべての基礎研究が実用的な応用につながるとは限らない。そこで,科学政策が必要になってくる。これこそ,科学研究がOECDに当然の位置を占める理由である。OECD条約第2条は,加盟国政府は,「個別におよび共同で:科学および技術の分野において,資源の開発を促進し,研究を奨励し,職業訓練を推進することに同意する」旨定めている。
科学的・財政的利害関係
1992年以来,メガサイエンス・フォーラムは,OECD加盟29カ国中27カ国の科学政策上級担当者および欧州委員会の間でメガサイエンスについて定期的な協議を行う場となっている。フォーラムは,政策,計画および優先事項に関する定期的情報交換を行うほかにも,メガサイエンス・プロジェクトが重要な役割を果たす様々な分野での科学協力を強化するための実際的かつ行動指向の勧告を発出した。いずれの場合も,資源の共同利用や重複の回避などの協働の利益を,オーバーヘッドや言語の問題,所要の旅行などのコストと比較考量する。実際上,ごく小規模の協働を除けば,国際協力はいずれの場合も,簡単明瞭ということはまずあり得ず,また,国際協働自体が目的であることもない。各国それぞれ,研究についての優先順位付けやスケジュール設定,資金調達および評価のための独自の政治的な手続や仕組みを設けている。共同作業のために,このような手続や仕組みを調和させ,調整する必要がある。
当初メガサイエンス・フォーラムが設けられた際,各国政府は,科学的・財政的な利害関係から,提案された活動に対して用心深い態度をとった。いずれにせよ,巨大プロジェクトの大半は,科学者の間で詳細な議論が行われた後に政府の関心が払われる。OECDのような政府間機関における議論の結果ではない。国際協力が行われるとしたら,通常,2国間,3国間またはその他の所要の取決めに基づき,アドホック・ベースで行われる。
用心深かったのは政府だけではない。科学者も,自分達の監視下の外で役人の一団が科学プロジェクトについて討議することには偏見を持った。従って,フォーラムの手続を設けるに当たっては,科学者からのインプットのルートを設けることと,会議が「もっと金を」という不変のスローガンを科学者が叫ぶ場と化さないようにとの政府役人の苦しい願望との間に注意深いバランスを図る必要があった。
多忙な10年
このような制約要因や必要条件があったにもかかわらず,メガサイエンス・フォーラムは,1995年以降の3年間に作業グループを5回,ワークショップを2回開催した。全部で50回を超える国際会合が開かれ,何百人もの代表が参加した。ちなみに,あるワークショップは,超高エネルギーニュートリノ(深宇宙から地球に届く捉えにくい素粒子で,天文学者にもその起源が分からないもの)の水中研究を行う科学者の間の調整を強化するために開かれた。もう一つのワークショップは,生物多様性に対する脅威といった全世界的な問題の,大規模な多分野にわたる科学的評価の最適化に当てられた。
作業グループが極めて活発に活動している。例えば,世界の原子物理学の未来像を描き出した。これには,放射性核ビーム施設や重イオン加速器,エレクトロン加速器,核研究のための異種素粒子の多目的ビームを作る施設を,調整された協力的な方法で開発する可能性を確認することが含まれる。核廃棄物変換および医学画像など,原子科学の応用についてもいくつか実験が行われた。
生物多様性情報科学について,政策担当者,研究者および企業のために多国間の世界生物多様性情報ファシリティ(GBIF)を実施するための作業計画が策定された。神経情報科学について,フォーラムは,脳の研究への情報科学の応用における国際協力を促進するための勧告を策定した。
大規模な科学施設へのアクセスを改善し,国際協力に対する障害を克服することは,フォーラムの不変の目標である。フォーラムは,政府のために,既存および将来の大規模施設にかかる規則に関する指針を策定した。科学設備の移転および人材の移動に対する障害を克服するための勧告も行った。
独立の専門家による異例の吟味を受けてきたフォーラムの作業は,今や成功と受け止められている。その事業を継続するため,OECD加盟国政府が「グローバル・サイエンス・フォーラム」と呼ばれる後継機関の設立を支持したのも驚くに当たらない。ただし,今回は,基礎研究の必要性に鑑み,大規模プロジェクトのみを取り上げることはしない。
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