日本とアジア:開発における結びつき
AELIM CHI, DEVELOPMENT CO-OPERATION
DIRECTORATE,DAC.CONTACT@OECD.ORG
MAIKO MIYAKE, DIRECTORATE, FOR FINANCIAL,FISCAL AND ENTERPRISE AFFAIRS, DAF.CONTACT@OECD.ORG
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日本は現在の経済の難局にかかわらず,依然アメリカに次ぐまごうことなき世界第2の経済大国である。恐らく,より知られていない事実は,日本はまた世界の主導的二国間援助供与国であるということであろう。日本の政府開発援助(ODA)の総額は,開発途上国への開発のための贈与や低利融資から成るが,1997年で93億6,000万ドルに達した。これは,同年69億ドルの支出に止まったアメリカを上回っている。ただ贈与は多くの国で100%かそれに近いのに比べ,日本は1996〜97年に全ODA中約40%で,贈与のシェアはODA供与国中最低である。
日本のODAの大部分はアジアの南部,中央,東部という自国が属す地域に向けられている。事実,日本の援助計画発足以来,アジアに対する二国間のODAの比率はあまり変化せず,1997年にはODA全体の69%を維持し,1976〜77年実績から4%低下しているにすぎない。残りの部分はアフリカ(13%),アメリカ州(11%),中東(5%),オセアニア(2%),ヨーロッパ(1%)となっている。その上,OECDの資料によると,日本のODAの上から10番目までの受入国はアジア諸国で,そのうちの上から5カ国で日本の二国間ODA支出額の40%以上を受け取っている(表参照)。だから,日本の政府二国間援助は主としてアジアに向けられ,援助がこの地域に著しく集中しているわけである。
日本の援助がアジアに集中した主な理由は,明らかに歴史的であり地理的であると共に,経済的でもある。贈与と低利融資の形の援助は,主として受入国での経済的「テイク・オフ」を促進し,開発途上地域での経済的安定を促進するのを目的としている。日本は病院や清掃施設,農村部の水の供給にはかなり投資したが,基礎教育,保健のような基本的な人の需要に対する総合的投資は貧弱である。援助の大部分は,地域の経済的基礎構造を築き,工業生産とサービスの改善を目指した。そのうえ,援助政策における経済的利益の重要性を反映し,日本のODAの大部分は常に下位の中所得国に向けられ,次いで低所得国,次に最も開発の遅れた国に向けられた。しかし日本は単に重要な援助供与国であったわけではない。日本は対外直接投資の重要な源で,1997年には130億ドルに達した。これは日本の対外投資総額の約半分を占める。民間の投資はアジアの新興経済であるシンガポール,香港,中国,韓国,台湾に対して盛に行われ,これはASEAN全域に拡がっている。アジアとオセアニアを結ぶゆるやかな貿易ブロックとなっている。最近では中国が日本の対外直接投資のよく行われる相手国となっている。
アジア大陸は伝統的に投資家にとって安い生産基地として魅力的であったが,市場としての魅力もまた増しつつあった。日本は今や株でタイ,インドネシア,マレーシアにおける最大の投資者であり,フィリピンではアメリカに次ぐ第2の投資者である。そして日本は,過去数十年の間にアジアの生産力増強に一役買ったばかりでなく,この地域への技術ノウハウと人的資源開発の増強に枢要な役割を果たしてきた。
東南アジアの多くの国で生じた経済的・金融的危機も,日本のコミットメントをあまり揺るがさなかった。実際,金融危機が1997年中頃タイで始まってから,日本のこの地域への救援策は800億ドルに達し,そのうち約100億ドルはODAである。今も支払われ続けている。この救援策は経済回復,構造改革,社会援助を目的としている。日本のこれら諸国の特に製造業に対する投資は,1997年には円では増加したがドルでは減った。このようになった一つの重要な理由は,再投資収益が減少するにつれ,日本の親会社がその海外や投資を維持するため,送金を盛んにしなければならなかったからである。しかし,もう一つの理由は,各会社が最近の金融危機を自己の有利になるようにしようとして,通貨切下げを背景にアジアを輸出基地として展開したからである。この点は特に日本のマレーシア,タイ,インドネシアの消費者向けエレクトロニクス会社について言えることで,それらの中国に対するコスト競争は向上した。
日本政府の対外直接投資継続に対する強い支援を記す価値がある。事実,アジアに対する経済救済政策には,その資金のための日本輸出入銀行への資金注入が含まれていた。日本における会社に対する非常に厳しい銀行貸出条件の下では,以上のような資金は会社にとって幾分の救済となった。それでは,これから将来はどうなるか。注目すべき動向として,日本の東南アジアに対する対外直接投資は劇的に増え,ODAと対外直接投資の間の格差が拡大している。しかし,これら2つの資金の流れは,近年の日本での財政的,経済的圧迫を反映し,減少している(グラフ参照)。この逼迫状況は続くものと思われる。特に援助は,救助政策で提供された特別援助が終わると減少するであろう。
このことは受入国,日本双方にとって2つの重要な問題を投げかけている。一つはいかに対外直接投資と援助の流れをより効率的に運営するかということである。OECDは危機で最も苦しんだ,マレーシア,フィリピン,タイ,インドネシアの4カ国について以上のような指摘を既にしている。それは外国からの投資に対し,より均衡ある政策を採れば,外国からの直接投資から得る利益より多くなろうということである。特に,現地の産業との結びつきを改善し,地域の人的資源開発の分野でそうである。第2点は主として日本に関することで,ODAのより多くの部分を社会発展の基本的必要と貧困の減少を促進し,経済,金融,社会基盤の要求のより多くを市場を通じて実現するようにすべきである。これらのうちのいくつかはより多くの援助を社会部門に移し,最も必要な受入国に集中することによって達成できるであろう。こういった変化は,日本のアジアに対するODAと民間投資約束の有効性を押し上げることになろう。それはまた地域全体の将来の混乱の危険を減らし,日本のみならず,世界経済にとっても良い影響をもたらすであろう。
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