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伝統的な社会的規制と高度な福祉制度をもつ好況のオランダが,失業率をこれほど低く抑えているのはなぜなのだろうか。1999年央の失業率はわずか3.2%強であり,これに対して,例えばアメリカでは4.2%,他の数カ国のOECD加盟国では10%を超えている。
しかし,オランダのこのように目覚ましい雇用実績の解釈についてはかなり議論が分かれている。オランダの経済は強く,外部の調査では常に世界で最も魅力的なビジネス環境の一つに位置付けられているが,オランダの労働市場全体はとうていOECDの中で最も規制撤廃が進んでいるとはいえない。オランダの規制の質はたしかに全体としては高い。そうでなければ企業がこれほど関心を示すことはないだろう。実際,規制政策は,この数年間,市場指向を強めている。特に1990年代には市場指向の改革が進められており,これがインフレ抑止に役立ったのかもしれない。
しかし,これらの改革は主として運輸と電気通信等の一部の貿易サービスに影響を及ぼしたものの,建設等の保護されている部門や公共部門の大部分にはまだ影響を及ぼしていない。むしろ最近雇用が急増しているのは民間部門であり,アメリカの伸び率よりはやや低いものの,他の大部分のヨーロッパ諸国よりは大幅に増加している。実際,民間部門の純雇用は1984年から1997年までの期間に25%増加し,失業率を半減させた。この雇用の増加は,1970年代に急増した公務員雇用の実質的凍結を相殺してあまりあるものであった。
それでは,オランダの労働市場の実績については見かけ以上の何かがあるのだろうか。
実はそうなのである。 失業率は低下しており,製造業の雇用の減少率はOECDの平均よりも小幅であり,サービス部門の雇用の伸びは平均を大幅に上回っているものの,オランダでは,生産年齢人口のうち実際に労働市場に参加していない者の比率が異常に高い。実際,オランダの就業率はOECDの中で最低の部類に入る(図参照)。失業率の低下は,休業給付,早期退職,及び補助金付き雇用の増加により相殺されており,55〜64歳の男性の労働力率は低い。創出された雇用の半分以上はパートタイムであり,ほとんどはサービス部門の仕事である。オランダの労働者は,平均すると,一人当たり年平均労働時間が最も短い。これはレジャーを好むためであるかもしれず,このことは限界所得税率が高いことをある程度反映しているのであろう。オランダの経済は雇用創出については好成績を上げているが,フルタイムの雇用創出についてはあまりうまくいっていないというのが事実である。
全体的な結果として,潜在的労働資源のかなりの部分が活用されていない。またオランダの失業者の半数以上は1年以上失業しており,これはOECDの基準からみて高い比率である。このことはオランダの改革を続けるべきであることを強く喚起している。
この記事は,最近刊行されたRegulatory Reform in the Netherlands,OECD,パリ,1999年を基にしている。 Puma.contact@oecd.org
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