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コンピュータソフト・情報処理サービス,研究開発・技術試験サービス,マーケティングサービス,事業組織サービス,人的資源開発サービス。これらの活動の共通点は何か。最初の答えは,これらはすべて概ね「戦略的業務サービス」という同じカテゴリーに入るということである。つまりそれらは,伝統的な製造業における事業の中核ではないかもしれないが,その重要な構成要素である。この点は,第2の共通の特徴を説明している。それは,OECD諸国では,これらの戦略的サービスが社内の資源によって処理されるのではなく,外部委託されるケースが増えているということである。
戦略的業務サービスはこの20年間に急成長したが,それらはまだあまり知られておらず,また十分に調査されていない分野である。その一つの理由は,それらの測定に伴う統計的な難しさにある。しかしOECDは,1997年以降,その計測方法の改善に努め,約21のOECD加盟国について,戦略的業務サービスの重要性と役割の全体像をまとめた。
経済に資する
サービス部門は一般にOECD諸国においてその重要性が非常に高まっており,1990年代半ばにはGDPの約70%,総雇用の65%を占めるに至っている。戦略的業務サービスの急成長は近年特に目覚ましく,その効率的供給は,製造業であれ,一般サービス業であれ,経済全体の業績を高めるためのカギとなっている。
戦略的業務サービスの成長がどの程度アウトソーシング(囲み記事参照)の重要性の高まりに起因するかは,まだ正確にはわからないが,それはかなりの比率を占める。情報技術サービス,人材供給サービス及び研修は,企業がますます外部に委託するようになっている多くの業務のうちのごく一部である。アウトソーシングの目的は,サービスの質を良くし,もちろんコストを削減することにより,効率を高め,成長を促進することである。これにより企業は中核となっている事業に専念し,社内の資源を他の目的に振り向けることができ,社内では利用できない資源にアクセスすることができ,リスクを減らし,又は分担することができる。
安定した確実な成長
戦略的業務サービスは,企業を支援するばかりでなく,それ自体が経済の一部門であると考えられる。戦略的業務サービスの目立つ特徴の一つは,全体の経済成長が低迷し,又はまったく成長が見られない時期にも目覚しい成長を遂げてきたということである。この所見は,オーストラリア,オーストリア,カナダ,フィンランド,イギリス,アメリカを含む数カ国における戦略的業務サービスについて言える。他の諸国についてもより詳しい情報やデータが入手できれば,おそらくこの状況が確認できるであろう。
手元にあるデータは非常に目覚ましいパターンを示している。戦略的業務サービスの1995年の取引高は,OECD加盟19カ国において少なくとも1兆1,000億ドルに達しており,これは同年のイギリスのGDPにほぼ匹敵する。これらのサービスは,21カ国においてほぼ1,100万人に雇用機会を与えた。これはOECD全体の自動車産業の雇用の2倍以上に相当する。これまでに収集した情報に差があることは,これらの数値が控えめなものであり,おそらくこれらの活動の本当の規模を非常に過小評価していることを示唆している。これは特に,成人教育・訓練,職業再訓練等,情報の少ない人的資源開発について言えることである。
これらの驚くべき大きな数字の中にいくつかのスター的存在の分野がある。そのトップはコンピュータサービスであり,約3,500億ドルという最高の取引高を上げている(図参照)。事業組織サービス――経営コンサルティング,人材募集サービス等――は第2位であり,その取引高は2,900億ドルであった。マーケティングサービスと研究開発及び技術検査・分析サービスは,それぞれ2,420億ドルと1,920億ドルであった。
戦略的業務サービスは大規模な雇用主でもある。1995年にこれらの活動に雇用された推定1,100万人のうち(図参照),事業組織サービスに雇用された労働者が最も多く,360万人が人材募集サービス,150万人が経営コンサルティングサービスに雇用されている。アメリカは全体の約53%を占めており,アメリカのこれらの仕事のうち約260万件は人材募集サービスであり,研究開発,コンピュータサービス,経営コンサルティングサービスを遙かに上回っている。労働新規募集/人材供給サービスは,イギリスとフランスでも大規模な雇用主であるが,日本とドイツではコンピュータサービスが最も重要な雇用主である。コンピュータサービスと労働新規募集は多くのOECD諸国においてダイナミックな部門であるが,それと同時に戦略的業務サービスはすべてこの20年間めざましい雇用の伸びを享受してきたという事実を見逃してはならず,年間成長率がしばしば二桁に達していることを考えると,今後も更に雇用の伸びが予想される。
これらのサービスの主な特徴は,小企業が圧倒的に多いということである。平均的企業規模は,どの国でも常に製造部門,又は経済全体の平均的企業規模のごく一部にすぎない。スペインでは,自営業がコンピュータサービス会社の約70%,技術試験サービスの50%を占めており,人材募集サービス,広告,人的資源開発サービス会社に占める自営業の比率はそれよりもやや低い。
しかし戦略的業務サービスは,多数の小企業と少数の大企業からなり,後者はグローバルな大企業であり,多国籍事業としてサービスを提供しているとも説明できる。この少数派の大企業は,製造業のグローバル化と共に繁栄し,多くの場合,業務サービス会社は,製造業及びその他の主な取引先と並んで国際的な存在を確立してきた。例えば,アンダーソン・コンサルティング,ボストン・コンサルティング・グループ,キャップ・ジェミニ・ソゲティ,SAP,WPPグループがそうである。アメリカの多国籍企業は,情報・ソフトウェアサービス,広告,経営コンサルティング,人材募集など各種戦略的業務サービスの上位10社のグローバル企業の中で傑出しており,これは注目に値する。
グローバル化の傾向
戦略的業務サービスの国境を超える取引の詳細なデータは少なく,OECDはその分析のために主としてアメリカの貿易データに頼らなければならなかった。アメリカは明らかに業務サービスの最大の国際的供給国であり,1997年のアメリカの戦略的業務サービスの輸出額は66億ドルに達した。しかしこの数値は,アメリカの過半数所有海外子会社(MOFA)による売上高に比べればごくわずかに見える。それらの売上高は1996年のコンピュータサービスが283億ドル,1995年の広告サービスが49億ドルであった。このほかに,アメリカのこれらのサービスへの対外直接投資は,1994年に全世界で約110億ドルにのぼる。
これらの数値は確かに,戦略的業務サービスがすでに十分に発達していることを示している。そのグローバル化する特徴を考えると,シアトルの貿易交渉においてある程度注目を集めたとしても不思議ではないだろう。
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日本のアウトソーシング
アウトソーシング(外部委託)は日本の企業慣行として増加傾向にある。通産省が1997年に行った調査では,外部委託を行っている企業のうち,職業訓練を外部委託している企業が20.1%であったのに対し,情報システムが19.7%,生産工程が17.4%,経理・税務が14%,研究開発が13.7%であった。この通産省の調査では,特化を進め,効率を最大化し,経費を削減するために外部委託を行った企業の70%以上がその目標を達成していることが明らかにされた。外部委託を決定する企業は,経営効率の改善,経費削減,事業に柔軟性を与える等,様々な利益を求めている。多くの企業は,単に社内のリストラのために外部委託を利用している。企業は,外部の専門資源
を利用することにより,情報網を拡大することができ,従業員の享受する雇用関連給付を改善することができ,業務の外部委託により有効な業績評価を得ることさえできると回答している。調査を受けた企業は,外部委託により,中核的な活動に専念できるという点で意見が一致している。日本では今後も外部委託が増えるものと予想され,マーケティング,人材募集サービス,職業教育,従業員研修などの分野にまで拡大していくかもしれない。長期的には,外部委託が日本経済を活性化させ,産業再編成を促進するものと予想される。景気回復の兆しが見られることから,これはおそらくすでに始まっているのであろう。
<参考文献>
外部委託産業に関する調査,通産省サービス課,1997年。
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人材募集
OECD諸国における臨時雇用の増加と雇用流動性の高まりは,人材派遣サービスの急成長に反映されている。この部門は,主として一時的な人手不足に対処するために,短期又は長期ベースで他の経済部門に人材を供給するものである。この部門は,従来,事務員の供給を専門としてきたが,最近は,広範な高度技能職や会社の取締役まで派遣している。派遣を受ける企業にとっての利点の一つは,必要人員をよりフレキシブルに管理することができ,全体の効率を高めることができるという点である。派遣社員にとっての利点は,仕事に融通性と変化があり,多くの場合,賃金が高いことであり,これは特定の技能に対する需要が多いこと,また一定期間の作業割当に対して報酬を支払うことを求める圧力が強いことを反映している。
しかし不利な点もあり,これを明記しておかねばならない。企業は継続性によって発展していくものであり,主力社員の頻繁な入れ替わりは企業の中核的な能力を損なう可能性があり,特に派遣社員に頼りすぎれば,そうなるだろう。また派遣社員に支払われる賃金(プラス派遣代理店へのマージン)が高いということは,企業にとって経費がかさむことを意味する。
一方,派遣社員は,正社員として雇用された場合(もちろんこの場合でも保証されるとは限らないが)にくらべて雇用が不安定であるという事実に直面しなければならない。更に業務経験が細切れになるということは,その人の中核的な技能に影響を及ぼすことになり,また臨時社員は,多くの場合,有給休暇,企業年金制度,職場研修など,正社員の雇用契約の一定の勤務関連給付を放棄しなければならない。
これらの不利な条件は,企業が一括提案を出すことによって解決することができる。特に,より高度な技能者の市場においてはこれが可能である。政策によっても事態を改善することができる。派遣労働の利益を高め,不利な点を少なくするために,最近「フレキシビリティとセキュリティに関する法律」(“flexecurity”)を制定したオランダのように,多くの諸国は,派遣労働者の地位の安定を図るとともに,派遣代理店及び雇用者にとってフレキシビリティを維持するための規則を導入している。
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