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Home OECD Tokyo > OECD Observer 日本語版 > No.219


 OECD Observer 日本語版

サヘル援助の変化

JEAN-DAVID NAUDET
CLUB DU SAHEL
SAH.CONTACT@OECD.ORG

 その極貧状態にかかわらず,サヘル諸国は目覚しい進歩を遂げている。そういう時,同地域が大きく依存している援助が減っている。その改善の見通しはどうか?

 アフリカは地球上で最も貧しい大陸で,サヘルは平時にある最も貧しい地域である。西アフリカ地域を形成する9カ国中の6カ国,ガンビア,チャド,ギニアビサウ,マリ,ブルキナファソとニジェールは,最近のUNDP(国連開発計画)人間開発報告でかかげられた174カ国中の最低の12の中に含まれている。著しい貧困に加え,不安定な気候,貧弱な天然資源,極めて不安定な市場動向にさらされる少品目の輸出産品への依存,外国からの資金移転への大きな依存がある。これらの要因はすべて投資に極めて適さない恒常的に不安定な環境を創り出している。


犠牲を伴った進歩

 多国的機関が所得水準と実績に従い援助の割当てを論議した時に,サヘルは努力したことを主張し,このような貧困地域には通常期待されないような結果を達成したと述べることができた。たしかにその危機的経済情勢にしては,サヘルは進歩を遂げた地域である。食料事情と社会状況は過去10年の間に大きく改善された。1999年にはサヘルは15年前にはほとんど考えられなかった穀物の余剰に恵まれた。サヘル社会は動態的でダイナミックになりつつある。例えばマリでは,1990年,50に過ぎなかった非政府組織は現在およそ 1,000に及んでいる。これら組織の多くは地方社会に対し社会的,経済的サービスを供給する仕事をしており,職業訓練,保健,金融,水力活用等に及んでいる。そのうえ,最近この地域は極めて活発な成長を示している。1995年は4.3%,1996年は4.8%,1997年は5.3%となっている。

 そしてサヘル諸国への援助は大きく減少している。1997年には23億米ドルと,名目額で1986年以来の最低水準となっている。そのうえ,サヘルへの援助は公的開発援助全体よりも減少が大きいように思われる。実質額で見た富裕国からサヘルへの援助は,1990年から1997年の間に27%減少したが,すべての受入れ国に対する援助は21%の減少であった。このギャップは見かけよりも大きい。援助全体の減少の内,5%分の減少は一定数の国々が受入国リストが除去されたことによって説明されるからである。サヘル諸国向けの公的開発援助の割合は1980年代の後半,全体の5%を超えたが,1990年代初頭以降4.6%に過ぎない。

 減少はかなりのものである。表面的には,その影響はサヘルで充分に感じられていないかもしれない。実質為替レートの変動でサヘルの9カ国中7カ国が通貨としている,CFAフランが切り下げられた。この切り下げは,結局,援助額は国民生産のパーセンテージとしては減少しなかったことを意味する。サヘル地域への援助は援助国のインフレで調整すると,1986年から1996年の間に28%減少したが,サヘル諸国のインフレで調整すると11%上昇したことになる。サヘル諸国への「援助国の努力」はかなり縮小したが,純サイズは大体変わっていないと言えるであろう。サヘル諸国の国内総生産に対する援助の比率は1995〜97年は17%で,1990年代の初め以来,かなり一定していたが,1980年代に20%を超えていたのよりは低い。そのうえ一人当たり,援助は大きく減少し,1990年の80ドルから1997年には51ドルとなった。

 全般的にサヘルは依然として大きく援助に頼っている。民間資金は何千万ドルに及び,同地域の純資産の1%から4%を占めている。外国からの民間送金は今でもよく分かっていない。国外のサヘル人社会からの送金が大部分を占めており,このような人の居住地はカーボベルデ,マリ,ブルキナファソ,セネガルのようなこの地域の一部諸国に集中しているようである。マリでは,この送金は一人1年間約10ドルと推計されており,あまり多額でない。実際,公的資金と贈与は外部からの資金調達の大きな主要でかつ増加している部分である。開発の遅れた国全体に対し,贈与と公的資金のシェアは着実に大きくなるよう定められている。それは,公的,民間を問わず,国際金融参入条件の厳格化を反映したものであり,この厳格化はサヘル諸国に対し特に顕著なのである。


負債の増加

 資金供与国に対するサヘルの依存度が増加している。これは,同地域の外部資金の源が変化していることに加え,同地域の負債も増加している事実による。負債水準は1990年は同地域GDPの80%から1995〜96年には,100%近くに上昇した。そのうえ,負債はますます援助機関,特に多国間金融機関からのものが増えている。ブルキナファソ,カーボベルデとガンビアの既存債務の80%以上は,多国間の機関からのものである。

 援助資金の流れの個別的動向や全体の方向も1990年代に変わった。産業ごとの包括的数字はないが,入手できる指標は,援助の社会的利用のシェアは大きく増大し,インフラストラクチャーや生産への経済的支援は減少していることを示している。現物給付,特に食糧援助も減少傾向にあるが,これはサヘル諸国の食糧市場が大きく改善したためでもある。

 社会的援助の割合の増加は,民主主義と法治化,ガバナンス,施設建設,そしてそれには劣るが教育といったような分野に及ぶ,組織的発展に課せられた重要性を反映している。組織的支持のために設けられたシェアは事実上,最も大きな増加を経験し,過去5年の間に5倍以上となった。NGOへの支援が恐らくこの増加の大半を説明するであろう。これに対し保健と水利のための資金のシェアは,長期間かなり安定している。

 資金が物的投資から,教育や組織への支持のような見えない分野に移ったのは,国家及び公共資金の役割を,経済活動において直接にその役割を果たすよりも,ガバナンス改善の促進や,社会サービスの供与といった役割を再評価した結果と考え得るであろう。これらは重要な目標であるが,外部資金の継続も経済収益如何によることで,国家の役割の変化は資金供給がより不確実となるリスクを伴うことになる。

 これは遺憾なことで,サヘルは開発援助のショーケースと考えられるが,40年近くに亘る国際協力の成果は様々である。実際のところ,サヘルは今でも貧しく,恐らく今後長い間,国際社会からの支持を必要とするであろう。チャドのような国は毎年6%と着実に成長しても,今後25年間ベニンのような西海岸の国の現在の一人当たり所得に及ばないであろう。又アジアの比較的貧しい国の一つであるパキスタンの一人当たり所得に追いつくのに35年かかるであろう。

 サヘルの将来の問題に対処するには長期的な展望が必要である。性急に結果を求め,一時的流行に左右される援助は,常に変化を求め,有力な新モデルの採用を求める援助,簡単に言えば,余りに圧倒的援助は,地域にとってあまり助けにならない。サヘルとの協力は永久的パートナー・シップ,地方ダイナミックを興し,改革を喚起するものとして考えていかねばならない。我々が慎重な取り組みをすれば,世界の開発史の最終案を我々の考えているより早く書き始められるであろう。

サヘル・クラブ

 サヘル・クラブは1976年に形成された。
 クラブは行動的フォーラムであり,サヘルの干ばつ防止のための永久的国家間委員会に属するサヘル諸国,ブルキナファソ,カーボベルデ,チャド,ガンビア,ギニアビサウ,マリ,モーリタニア,ニジェール,セネガルを,結集した非政府機関(NGO)である。 このNGOには,民間部門,農村社会,婦人,地方公務員,主要な二国間・多国間援助国が代表を送っている。

 クラブはパリのOECDにおかれた事務局で運営されている。
 そのプログラムは主としてオーストリア,ベルギー,カナダ,デンマーク,フランス,ドイツ,イタリア,日本,オランダ,ポルトガル,スイス,イギリス,アメリカから資金を供給されている。その他の参加者には世界銀行,ヨーロッパ委員会,FAO,UNDPが含まれる。

 サヘル・クラブはOECDの開発援助委員会と協力している。
 そのメンバーは,クラブをサヘルの将来に関するシンクタンクとして,また見解,ノウハウを分かち合い,合意に達するためのフォーラムとして利用している。

 サヘル・クラブについてのこれ以上の情報については次のインターネットサイトを参照のこと。

http://www.oecd.org/sah/

食糧援助憲章については
http://www.oecd.org/sah/anglais2/club-e/prevent-e/histocha.htm

サヘル21 について(フランス語)は http://www.oecd.org/sah/francais2/club-f/qui/dossie5a.htm

 

サヘル・クラブへの問い合わせ
sahel.contact@oecd.org


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