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Home OECD Tokyo > OECD Observer 日本語版 > No.221/222


 OECD Observer 日本語版

OECDとハンガリー

BELA KADAR,
AMBASSADOR, PERMANENT DELEGATION OF THE REPUBLIC OF HUNGARY TO THE OECD

 この20年間,世界経済はボーダレスな国際システムへと向かう動きを加速してきた。OECD諸国は,ますますグローバル化する経済に対する健全な戦略的対応の形成において,中心的な役割を果たしてきた。OECD加盟諸国を相互に結びつけるのは,単に経済の現実やその流れ,経済政策の原則,規制のシステムだけではなく,共通の価値を通じたある種の心情の類似性である。共通の利益,共通の価値,共通の心情で結ばれたOECD諸国は,相互依存を深めるこの世界におけるみずからの進歩,更には生存そのものが,相互協力の成功にかかっていることを疑うことができない。

 こうした感情は,おそらく,ハンガリーにおいては他の一部諸国よりもずっと強固である――より発達した国とそれほどでもない国を分け,ヤルタ後とマルタ前のヨーロッパの2つの陣営を隔ててきた,歴史的に形成された境界線から地理的により遠くにあって,ハンガリーよりも幸せな過去をもった諸国よりも。

 ハンガリーはOECDに最も深く組み込まれた国の一つである。現在,その輸出の87%はOECD諸国向けであり,外資の直接投資の90%以上がOECD諸国から来ている。体制転換のあと,ハンガリーはスターの座を求めようとはせず,国際システムの中の健全でダイナミックな位置を得ようと願ってきた。この精神からハンガリーはOECDを特別に重視してきた。OECDこそ,歴史的に先例のない移行プロセスの独特の――明らかに「主流に固有」であるだけではない――問題と経済政策の現実を認識した最初の国際組織だった。

 OECDは,6年間の実り豊かな実務的関係ののち,1996年にハンガリーを正式メンバーとして受け入れた最初の国際組織だった。OECDへの正式加盟は,ハンガリーの欧州・大西洋統合政策の実行に大きく貢献し,国際ビジネス社会におけるハンガリーのイメージに有利に作用した。正式加盟以前のOECDとの協力が,制度の構築や法令の近代化,政策形成,市場化などのハンガリーの移行プロセスのよく知られた加速化に重要な方法で貢献したことも,極めて示唆的である。その規模と戦略的利益のゆえに,ハンガリーには不断に新しくなってゆくOECDに積極的に加盟する以外に合理的な選択肢はまったくなかった。構造的,政治的,制度的に開かれた経済をもつハンガリーは,開放性や透明性,説明責任といった現代の民主主義と国際組織のいくつかの基本的な要件に適合することにまったく問題はなかった。

 グローバルな協力の精神は,改革を行い構造を変えて,価値と倫理と方法を共有しようとしている特に東中欧および南東欧の新しい加盟国に,OECDが開放的な態度をとることを求めている。これら諸国の安定と発展は,西側諸国の共同体と欧州の発展のために極めて重要である。発展の移行段階を終えたハンガリーは,現在,遅れを取り戻す問題と,市場経済に特有のマクロ的管理の問題に取り組んでいる。いまや我々は,移行のタイミングや順序,実行方法などに関する肯定的,否定的なみずからの経験を,移行過程のそれほど進んでいない諸国と共有する用意がある。

 ハンガリーのように小規模で従って必然的にオープンな経済をもつ国は,歴史のメッセージの重要性を疑わない。国際舞台における小国の交渉力は,様々に異なる社会的,地域的,職業的,政治的な集団の利害を調和させ,市民社会の諸組織との繋がりを発展させることによって,必ず強化される。オーストリアとハンガリーとの偉大な歴史的妥協の演出者フェレンツ・デアークは,およそ140年前,政治とは科学の1分野ではなく,調和を作り出す芸術であることを示した。

 社会や地域や産業部門の間の格差の拡大,そして不公正な競争や賄賂や腐敗といった現象とどう対決すべきか――国際的な制度化されたシステムの内部でコンセンサスを形成することは,この課題に応えることを助けてくれる。新しい情報ベースの経済をどう運営すべきか,拡大する社会的多様性にどう対処すべきか,どうやって統治の権威を行使し,その能力を育てるか――こうした重要な問題と苦闘しているのは,特にOECDの新規加盟国であり,新しい民主主義の国である。

 現在の,そして将来の実に多種多様な挑戦課題を前にして,我々は,加盟各国の技能と経験と才能を蓄積したOECDが悠久の興味の尽きない未来に直面することを確信できる。


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