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新ミレニアムを迎えて,世界の最も貧しい部分の苦悩を軽減するために何をすることができるだろうか? 4大国際機関の共同努力が答えの一つとなるかもしれない。
あらゆる形態の貧困が世界に最大の挑戦課題を突きつけている。12億人あまりが1日1ドル未満で生活し,更に16億人が2ドル未満で生活している。これは,合わせれば世界人口の半分近くである。何をすることができるだろうか?
新しい年次報告書『万人のためのよりよき世界 A Better World for All』は正しい方向への第一歩である。国連,OECD,IMF,そして世界銀行という4大国際機関が署名した初めての報告書であるこれは,2015年までに貧困を減らすという目標に向けていかに進むべきかを示している。この目標に合意することによって国際社会は,世界の最も貧しく,最も弱い人々――そして自分自身――に対して重大な責任を負った。
ちょうど24頁のこの報告書は,7つの目標を明示して,今後15年間でこれを達成すれば数十億の人間の生活が改善されるとしている。これらの目標のルーツは,1990年代の前半に国連が組織した諸会議の様々な合意にある。
7つの目標の第1は,極貧のもとに生きる人々の割合を1990年から2015年までの間に半減させることである。そのためには,一つには貧困率を引き下げる持続的な成長が必要である。これは,近年,アジアでは実現され,アフリカでは起こらなかったことである。
目標の第2は,2015年までにすべての子どもを小学校に入れることである。そのためには現在の就学率の上昇速度では不十分である。現在の速さでゆけば,2015年に1億人以上の学齢期児童が学校に行かないことになる。
第3の目標は,2005年までに教育における男女格差を解消することによって,男女の平等と女性の権利強化に向けた前進を実現することである。男女格差は縮小しつつあるとはいえ,女児の就学率は依然として男児よりも低い。
第4は,1990年から2015年までの間に幼児と子どもの死亡率を3分の2に低下させることである。この分野では更に多くのことがなされるべきである。この目標の達成に十分な速さで幼児と5歳未満の子どもの死亡率を低下させている国がある一方で,その11倍数の国が遙かに遅れをとっている。その主因はHIV/AIDSにある。
妊産婦の生命を救うためにも多くのことがなされなければならない。妊娠中と出産時の熟練者によるケアによって,毎年生じる50万人の妊産婦の死の多くを避けることができる。熟練者の立ち会う出産の比率は,1990年代には緩慢にしか上昇しなかった。この傾向を更に加速することが国際諸機関の第5の目標である。1990年から2015年までの間に妊産婦の死亡率を4分の3低下させることが目標とされている。
第6の目標もまた家族関連である。2015年までに必要とするすべての人が産児制限サービスを受けられるようにする。貧困層の比率は1990年代半ばまで低下してきたが,人口が増大しているためにその絶対数は増えている。1億2,000万組のカップルが避妊手段をもたず,彼女らの必要に応えることが重要である。
7番目の目標は範囲が広い。それは,2015年までに環境資源の喪失を逆転させる努力の一環として,2005年までに持続可能な開発のための国家的戦略の実施を求めている。
『万人のためのよりよき世界』は,これらの目標の達成がどれも容易ではないことを警告している。だが,提起されている課題は決して絶望的であるわけではない。事実,何が可能かはいくつかの国が示している。中国は,貧困者の数を1990年の3億6,000万人から1998年には2億1,000万人にまで減らした。モーリシャスは,軍事予算を削減して保健と教育に重点的に投資した。今日,モーリシャス人すべてが衛生施設を利用し,98%が安全な水を使い,97%が熟練者の立ち会いのもとで出産している。ラテンアメリカ諸国の多くが教育の面で男女平等を実現しつつある。
しかし,重要な懸念材料もある。特に,軍事紛争が社会発展を掘り崩しているサハラ以南アフリカの展望である。栄養不足も依然として深刻な問題である。開発途上世界には今なお体重不足の子どもが1億5,000万人いるが,その比率が低下していないのはアフリカだけである。更に,貧困の長期的な解消のために不可欠な持続的な経済成長は,世界の開発途上諸国の半分にとっていまなお無縁である。そのうちの30カ国以上において,現在の人口1人当たり実質所得は35年前よりも少ない。旧ソ連の移行期諸国においては,貧困者の比率はこの10年間で急上昇している。
上述の7つの目標は達成可能であるが,そのためには真剣な努力が必要である。目標は押しつけることはできない――各国が市民との対話を通じて,開発のための独自の道を明らかにしなければならない。このことは,貧者の発言権を強化し,彼らの助けとなる成長を実現すべきことを意味する。それはまた,すべての人に基礎的な社会サービスを提供し,貿易と技術のために市場を開放し,開発のための十分な資源を供給すべきことを意味する。それには,国際社会と高所得諸国の支援が決定的に重要である。
もちろん,すべてが相互につながっている。優れた政府があってこそ,政策は改善され,市場アクセスは拡大され,資源は効果的に活用される。同じように,7つの目標はそれぞれが貧困の特定の側面を対象とするが,それらは相互に強めあう。就学率が高まれば貧困は減少し,死亡率は低下しよう。同じように,基礎的な保健衛生の改善は貧困を減らし,就学率を高める。
しかし,これら7つの目標の最優先の目的は,最も急を要する人類の希望,すなわち貧困と悲惨のない世界の実現である。その結果は,多くの人の期待する完全に統合されたグローバルな経済ではないかもしれない。しかし,2015年までにこれらの目標を達成することは,少なくとも世界を万人にとってよりよいものに,より安全なものにする。
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