|
OECDは,数年前から有害な租税競争について調査を行ってきた。6月26日に,OECD地域における潜在的に有害な47の優遇税制のリストを発表する。またOECDは,タックスヘイブンの基準を満たす35の管区のリストを発表する。我々は,OECD財務局長のJeffrey
Owensに説明を求めた。
OECD Observer: OECDは租税競争に反対なのか?
Jeffrey Owens: OECDはすべての租税競争に反対しているわけではない。加盟国は,透明かつオープンな金融サービス活動のための,公正な競争を行う用意はある。租税競争はプラスの効果をもたらすこともありうる。例えば,ある国で長年必要とされてきた税制改革が行われれば,他の国もその相対的な国際競争力を失わないために,同じような税制改革を実施しようという気になるかもしれない。
OECDの活動の目的は,競争を抑制することではなく,他国の税基盤を侵食する有害な租税慣行を抑制することである。有害な租税慣行とは投資をある場所から別の場所に直接に動かし,貿易及び投資パターンを歪め,管理費や順守の負担を増やし,税制の公正と中立性を損なうものを言う。
OECDのいう「有害な租税競争」とはどういう意味か?
我々は有害な租税慣行を3つの実際的基準のいずれかで定義している。それは,有効な情報交換の欠如,透明性の欠如,低い税率又は無税で実質的国内活動を行わないビジネスを引きつけること(例えば,囲い込み)である。これらの慣行を思いとどまらせることにより,本報告書は,国際的に租税政策を強化し,改善することに役立つだろう。こういった努力は,すべての納税者に対し,全体的な経済的福利を向上させるだろう。
タックスヘイブンの問題はどのくらい大きいのか?
この問題は大きく,しかもますます大きくなっている。我々が話題にしているのは隠し所得であるため,問題の大きさを正確に推し量ることは難しい。しかし,例えば,1兆米ドル以上がオフショアファンドに投資されており,ファンドの数が過去15年間で1400%以上増加していることは分かっている。
タックスヘイブンのリストは何を意味するのか。それは「ブラックリスト」か?
タックスヘイブンのリストは,タックスヘイブンであることの基準を満たす管区のリストである。我々は,リストに載せられた管区に対し,有害な租税慣行をなくすことを約束するために何をする必要があるのかをはっきりと理解する機会を与えたいと考えている。例えば,この約束は,税率ゼロの税制をなくすことを意味するのではない。透明性を高め,有効な情報交換を行うことを意味するのである。タックスヘイブンに必要な時間を与えるために,6月のリストに載せられた管区に関していかなる措置をとることも考えてい「ない」。その代わり,OECDは,来年,非協力的タックスヘイブンという第2のリストを作成する。この第2のリストにおいて名指しされた管区は,協調的防衛措置の対象となる。
一部の管区は,OECDに協力してきたにもかかわらず,まだリストに載っていると主張している。この一貫性のなさをどのように説明するのか?
多くの管区は,情報の提供,フォーラムへの参加,我々のプロジェクトを理解するための努力という点で,OECDに協力してきた。まさにこのような理由から,我々は,協調的防衛措置についてことを進める前に,リストに載せられた管区が有害な租税慣行をなくすことを約束するか否かを決めるためにもう1年の猶予を与えたのだ。
OECDが各国に順守を求めている国際基準とは何か?
国際基準とは,地理的に移動する所得についての有効な情報交換を可能にすることにより,本国がその居住者の外国における活動を公正かつ有効に調査できるようにすることである。国際基準とは,例えば,以下のようなものである。(1)株式及び信託の受益所有権を記録し,政府当局がこの記録にアクセスできるようにすること。(2)調査を受けた,又は申告した金融勘定があること。(3)別の国の税務当局にとって,地理的に移動する所得について自国の収入関連法規を施行するために必要な情報を入手するための能率的な管理プロセスがあること。これらは,タックスヘイブンに順守を求めている透明性及び情報開示の国際基準のいくつかの例である。これらの基準は加盟国にとっても非加盟国にとっても同じであることを強調しておきたい。
リストに載せられた管区の経済はどうなるのか?
最初は,全部ではないが一部の経済に悪影響が生じるだろう。標準的な企業は活動拠点を別の場所に移すからだ。より長期的には,これらの管区は,新しい国際基準を順守するようになるにつれて,再びビジネスを取り戻すことができるかもしれない。もちろん我々は,彼らの経済に及ぼす潜在的影響に注意を払っており,そのため開発援助委員会との話し合いを開始した。また我々は,小国の開発に関する議題を検討するために,世界銀行や英連邦などとの会議やミーティングにも参加している。
不公正な有害な租税慣行に反対するOECDのキャンペーンは税率引き下げを拒否している国が率先しているという非難についてはどう答えるのか?
各国は自国の経済状態のために必要と思われる租税構造を自由に採用することができ,これには所得税を設けないことも含まれる。最低税率や一般的課税措置に対するその他の制限は全くない。実際,このプロジェクトは,オープンかつ透明な政府を奨励するためのものである。政府は,自国の社会・経済・政治状況に最も適した課税レベル及び構造を選択できなければならない。この自由の一部は,税率や税制を選択できるということから生じる。我々が防止に努めているのは,所得隠しや経済活動と無関係の所得の移動を容易にするような措置である。そして全ての国は,透明性や情報交換に関する国際基準に逆らう道を選択すれば,自国に適した税制を選択する他の諸国の主権にマイナスの影響を及ぼすことになりうるという点を認識すべきである。そしてその結果,他の諸国は防衛措置を講ずる道を選択するかもしれず,こんどはこれがタックスヘイブンにマイナスの影響を及ぼすことになりうる。
富める国と国際機関は,何十年も前から,リストに載せられたタックスヘイブンの多くに対して,経済的に自立するために多様化するよう奨励してきた。多くは,存立可能な国際金融サービス部門を発展させることでこれに応えてきた。OECDが今になって厳しい制裁でこれらの経済を破壊しようとするのは不公正ではないのか。タックスヘイブンが金融センターであることを止め,彼らは,もはやバナナを売ることができないとすれば,一体彼らにどうすることを求めているのか?
我々は,タックスヘイブンに金融センターであることを止めるよう求めているのではない。我々は,彼らに情報公開,透明性,及び非差別の国際基準に従うよう求めているのだ。我々は,これらの管区が,法律上支払うべき税金を逃れることのできる場所であると公言することを止めるように求めているのだ。一部の有名な金融センターが前払契約を行っているという事実がこれの証拠である。
OECDは,小さい島国の発展や経済における必要性を考慮せずに,彼らをいじめているのではないのか?
はっきりさせておきたい。これらの国々の一部は,何十年も前から,OECD諸国の税基盤ばかりでなく開発途上国の税基盤も侵食してきた(これは最近のOxfamの報告書において確認されている)。彼らは,不正直な納税者が居住国でその公正な税負担の支払を回避することを助けてきた。誰がこれらの活動の負担を引き受けてきたのか。正直な納税者だ。
リストに載せられた管区と協議したのか?
我々は,これらの管区に対して完全に透明であることを目指しており,我々の作業の現況を知らせ,また多くの機会に彼らからのインプットを得てきた。審査した各管区にはOECDの連絡国が割り当てられており,頻繁に二国間の話し合いが行われた。各管区に対しては,彼らの税制を説明した報告書を精査しコメントする機会を与え,その大半はこれらの報告書の内容に合意している。また彼らに対して,有害な租税慣行に関するフォーラムとの協議に出席するよう要請した。従って,このプロセスに参加する機会は非常に多く,管区の大半はこれらの機会を利用した。
OECDのフォーラムと,FATFと金融安定化フォーラムにより行われている作業の関係はどうなっているのか。何らかの形で作業の調整を行っているのか?
OECDの作業は,課税に特定しており,現在課税に焦点を合わせている唯一の国際的行動である。FATFの作業はマネーロンダリング防止に焦点を合わせており,金融安定化フォーラムは,国際金融市場安定化のためにオフショアセンターの被る結果に目を向けている。しかし,この3つのプロジェクトはすべて,オフショアセンターにおいて透明な,十分に規制された非差別的制度が必要であるという問題に取り組んでいるという点で,ある程度共通の基盤がある。この3つのプロジェクトはすべて,協力的管区と非協力的管区を区別する方向に向かっているように思われる。OECDのプロセスは,「名指しして恥をかかせる」ことを避け,これらの問題に対する協力的解決策を模索するという点で,おそらく最も進んでいると我々は確信している。これは特に前払契約が行われていることで証明されている問題についてそうである。
制裁を考えているのか。OECDは制裁を科す権限があるのか?
OECDは協調的防衛措置を考えているが,これらの措置を適用するのは各加盟国であり,OECDではない。OECDは,協力のための枠組みを提供するだけだ。国際基準を満たすために努力しようとしない非協力的管区に対してのみ,対抗措置を考えている。OECDの役割は,最も有効な措置,実施に際して生じる問題等をとくと考えることができるよう援助することである。
閣僚達への報告書はOECD加盟国に対してやさしく,税制が「潜在的に有害」であると述べているにすぎないが,この報告書はタックスヘイブンに対しては厳しく,これを非難している。この違いをどのように正当化するのか?
この報告書は,タックスヘイブンもOECD諸国も非難していない。この報告書は潜在的に有害な47のOECD加盟国の税制を識別している。OECD加盟国は,実際に有害であることが明らかにされた税制の有害な特徴を2003年4月までになくすことを約束している。従って,この報告書はバランスがとれており,OECD諸国の従うべき基準をより高くし,その期限をより短くしているとさえ言えるかもしれない。
目次
|