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Home OECD Tokyo > OECD Observer 日本語版 > No.223


 OECD Observer 日本語版

女性と少女:差別ではなく教育を

ANNE MU¨LLER,
INFORMATION OFFICER,UNESCO
A.MULLER@UNESCO.ORG

目標:女性の権利を強めて,2005年までに初等・中等学校における男女格差をなくす。

 女の子が女の子であるというだけの理由で学校に行くことを認められず,代わりに働かなければならないような国を思い描いてみよう。あるいは,母親が薬のビンの使用説明書きを読めないために病んだ赤子が死んでゆく国を。両親が結婚適齢期の女の子を,望まれない妊娠を恐れて学校をやめさせ,本人が必ずしも望んでいない男性に早期に結婚させてしまうような社会を。

 だがこれが,多くの開発途上諸国における女の子の境遇なのである。彼女たちは,もっぱら男女差別のゆえに,いつも男の子よりも不利な扱いを受けている。開発途上諸国には学校に行っていない子どもがおよそ1億1,000万人いるが,その60%あまりは女の子である。現在ではほとんどの開発途上諸国において少女と女性の教育が政策決定の優先課題とされ,初等学校に通う開発途上諸国の少女の数が1990年に比べて4,400万人も増えているという事実にもかかわらず,男女の格差は今もとうてい受け入れがたいほど広範囲に及んでいる。

 教育は女の子の生活を全面的に変えることができる――単に経済的にだけでなく,その子の人間的発展という点で。国連事務総長コフィ・アナンが言うように,効果的なのは社会開発政策である。それは,家族計画や栄養,健康,経済的生産性,そして社会的,政治的参加などの直接的な利益をもたらす。国連は,2000年4月にダカールで開催された世界教育フォーラムで,10カ年の「女子教育計画」を宣言した。その目標は,対象となる主要諸国に,教育のあらゆる側面で男女の平等と思いやりを促進する国家行動計画を来年までに作成させることである。この計画は,これら諸国が開発協力や政策や教育改革から最大限を引き出すことによって,少女の学校教育のための資金を確保するのを助けようとする。2015年までに世界各地のすべての子ども――男の子も女の子も――が初等学校教育を修了できるようにすることが,そしてそのときまでに男の子と女の子があらゆるレベルの教育に平等にアクセスできるようになることが期待されている。

 ますます多くの国の政府が,少年少女の教育の必要を満たすうえでバランスをとることの重要性を理解するようになっている。エジプト政府は,女性教師や能動的学習,子供中心のクラス運営を活用して成功した少女向け地域学校の概念を,正規の教育システムに組み込もうとしている。中国の馬山郡(Mashan County)では,女の子を学校に入れるために効果的な手を打った村と家庭に,ローンや開発資金の優先権を与えている。タンザニアで成果が期待される計画は,少女たちが自分たちの問題について発言し,自分自身の社会的あるいは教育的な発展の妨げとなる障害の克服策を見出すのを助けようとしている。年長の女の子が年下の子の教師役を務めて,休日に算数や理科を教えている国もある。

 しかし,教育上の問題は男の子にも影響する。男の子は,時として,家族の収入を増やすために,学校をやめて仕事に送られる。ジャマイカでは,男の子の中途退学率は女の子よりも高い。政府はこのゆがみを是正する効果的な方策を調査中である。


男女差別と伝統

 それでも男女格差は存在し,特にアフリカや南アジアの国々ではその解消は遠い先のことである。南アジアの6歳の女の子は平均して6年間を学校で過ごすと期待されているが,これは同年齢の男の子よりも3年短い。女の子が学校を中退する可能性が都市の男の子の3倍にもなる農村地方では,女子の就学期間は更に短くなる。差別は教室でも強化される。調査の結果によれば,男性教師と女性教師の両方が男の子のほうに関心を集中する傾向にあるからである。この傾向は,男女差別を考える教師訓練プログラムによって克服されつつあるが。

 男女差別の根底には,しばしば,年少の子どもの世話や家事手伝いをやらせて家族の暮らしの助けとするために,女の子を家に置いておくという伝統的な考え方や慣行がある。こうした考え方の重みと,家庭の所得と暮らしを補うほかの手段がないことが,しばしば教育制度にたいする両親の不信の原因となり,あるいは彼らに他の方法はないと思い込ませる。

 賢い家庭には賢い母親がいるという言い伝えがある。たしかに,調査の結果は,文字の読める母親をもつ女の子はそうでない子よりも学校に行く可能性が高いことを示している。UNESCOは同じ計画のなかで女の子とその母親の両方を対象とする必要があることを強調している。マリの農村部で成功したのもこの二重アプローチである。ここでは,なぞなぞとリズムとラジオを使った想像力に富んだ地域ベースのキャンペーンが少女と女性に対する昔からの態度を変えた。村の女性が文字を読めるようになり,所得を生み出す活動に参加するようになると,女の子の教育運動も支持されるようになった。

 以上はおそらく,成功例のわずかなエピソードにすぎない。しかしそれは,教育が強力な手段であることはたしかだとしても,人間の尊厳や尊敬にかかわるわずかな教訓が結局は重要な役割を果たすことを示している。■


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