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CARLA ABOUZAHR
SENIOR ADVISOR, UNAIDS
目標:1990年から2015年までの間に妊産婦死亡率を4分の1に引き下げる。
1995年に50万人以上の女性が妊娠中と出産時に死亡した――そして,更に何百万人が治療も受けられないまま病んでいる。しかし,問題の大きさにもかかわらず,その解決は考えられるほど困難であるわけではない。
世界のどこかで毎日,1分に1人の割合で女性が妊娠関連の合併症で死亡している――その数は年間で51万4,000人になる。1人の死者の背後で,更に多数の女性が生涯に亘って障害の残る病気を患っている。女性の死につながる軽んじられた状況は,また,胎児やあとに残された子どもの健康と生存を危うくする。
妊娠中と出産時の死は,開発途上諸国における他の死とは異った問題である。それは,もっぱら若い女性に,しかも病気のためではなく,普通であるはずの過程で生じる。出産は,もちろん,人間残存の一つの過程であり,母親にとっては祝われて当然の出来事であるはずである。したがって社会には,女性が妊娠と出産を安全に過ごすことのできるよう,配慮する義務がある。女性の死が続いているのは,その社会や保健のシステム,家族と地域社会などに欠陥があるからである。
年間の妊産婦死者50万人以上の圧倒的多数は開発途上諸国で生じている。先進工業世界では,妊産婦死亡率の平均は正常出産者10万人当たりおよそ21人である。これに対して開発途上諸国の死亡率は20倍以上にもなり,10万人当たり440人である。この数字にはかなりの不確実性が伴うとはいえ,それでも妊産婦の死の危険性がサハラ以南アフリカと一部南東アジア地域で極めて深刻であることに疑問の余地はない。アフリカの東部や西部など一部地域では,この比率は正常出産者10万人当たり死者1,000人にも達している。実際,16人に1人のアフリカの女性が妊娠関連の原因で死亡してしまう危険性に直面している。これに対して,先進工業諸国の女性たちでそのような危険性に直面しているのは2,500人に1人にすぎない。この2つの数字の間の格差は,富める国と貧しい国の間の様々な格差の中でも最大の部類に属する。それは子どもの死亡率のギャップよりも更に大きい。
妊産婦の死亡は,費用のかからない簡単な方法で防止できるだけに,なおさら悲劇的である。感染症,失血,危険な妊娠中絶が死因の大部分を占める。これらはすべて,助産の技術を持つヘルスケアワーカーならば誰でも対処できる範囲内にある。感染症やショック,失血,痙攣などへの対処や,帝王切開といった外科的措置は,高度の医療技術や高価な医薬品を必要とするわけではない。
1人で出産する
妊産婦死亡率と熟練したヘルスケアワーカーが介助する出産比率との間には,強い相関関係が存在する。実際,熟練した介助者のいる出産数の比率は,妊産婦死亡率を引き下げる努力の進行状況を測る基本的な指標である。世界全体では,全出産数の半分少しは熟練した介助者の立ち会いのもとで行われている。残る多くにおいては,産婦は肉親や伝統的な助産者の助けを得ている。しかしそれでもなお,数百万人が自分1人で出産している。貧しい産婦ほど,豊かな産婦に比べて熟練した助産者を利用できない傾向が遙かに強い。それゆえに彼女たちは死の危険性がずっと高い。
開発目標は,これらのすべてを変えることである。そのために,2015年までに熟練した介助者が,現在は普通に利用されていない地域で出産の90%に立ち会えるようにする。これは極めて厳しい挑戦課題である。過去10年間の進行状況はかなり緩慢である(グラフを参照)。1988〜1998年の出産介助率の平均年間上昇率は1%に達していない。いくつかの国,例えばボリビア,エジプト,インドネシア,モロッコなどでは介助率の大幅な上昇が認められるが,サハラ以南アフリカでは全体として低下傾向にある。これは憂慮すべき傾向である。その原因は,おそらく,サービスと薬品のコスト高,交通の困難(コストを含む),提供されるサービスに対する不信といった,利用に際しての障害にある。
3ドルで大きく前進できるのに
妊産婦死亡率の引き下げには,必ずしも経済開発を待たなければならないわけではない。低所得諸国では,問題の解決に必要とされる基本的なサービスを提供するためには,年間1人当たりわずか3ドルの資金があればよい。これで,すべての出産に熟練したヘルスケアワーカーを立ち会わせ,合併症が生じたときに母親と子どもに不可欠の産科医療を受けさせ,望まない妊娠と危険な妊娠中絶を回避するための家族計画の情報とサービスを提供することができる。
必要とされる基本的な介入ができないほど貧しい国は存在しない。実際,妊産婦の安全のために資源とエネルギーを投入する余裕のないような国は存在しない。このスポットライトの他の記事が明らかにしているように,女性を無視することは,貧困を広げ,よりよい未来に対する期待を次の世代から奪ってしまう。不足しているのは,国家の富の水準ではなく,何事かをなす意欲の水準である。意識的な決定が必要である。中国,キューバ,イラン,マレーシア,スリランカといった諸国はすべて,必要とされるところに資源を意識的に配分することによって,妊産婦死亡率を大幅に引き下げ,その低い水準を維持することに成功している。
政治,経済,社会,宗教,家庭の様々なレベルでの意志決定者(その圧倒的多数は男性である)は,妊娠と出産を更に安全にすることができるし,そうしなければならないことを認識すべきである。結局,彼らの社会の全組織はこのことにかかっているのである。■
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