|
RICHARD LEETE, TECHNICAL AND POLICY DIVISION,
UNITED NATIONS POPULATION FUND (UNFPA)
目標:2015年までに必要とする人すべてに生殖医療サービスを提供する。
生殖医療サービスは近年になって成果をあげるようになった分野である。しかし,貧しい諸国で生殖年齢人口が増えていることから,今後10年間もその普及を拡大し,更に促進することが求められている。現在では,その提供するサービスの質を改善し,範囲を拡大することに関心が集中されるようになっている。そこには,女性と男性,青年期の若者たちの個々の必要に応えることのできる,避妊手段の選択範囲の拡大などが含まれる。
生殖医療サービスは,自分自身と家族の健康を守るために必要とされる知識を,男女と青年たちに提供する。このサービスには,家族計画手段の提供や,妊娠前後の医療,HIV/AIDSを含む性感染疾患の予防と治療,女性の割礼を含む身体に有害な慣行の廃止などが含まれる。こうしたサービスを基礎的な保健サービスに組み込み,改革や分権化に際してこれを優先すべきことが,ますます広く認識されるようになっている。
イラン・イスラム共和国の例をとってみよう。ここでは1989年に,全国家族計画プログラムが広範な基礎的保健医療システムに組み込まれた。これによって,避妊手段の利用が拡大されただけでなく,その選択の範囲を広げる結果となった。そして,1994年の「人口と開発に関するカイロ国際会議(ICPD)」に応えて,プログラムの範囲が拡大され,生殖医療の他の要素も含められるようになった。この戦略は成功している。1989年から1997年までの間に,イランの15〜49歳の既婚女性1,000人当たり避妊実行率は42%から73%に上昇した。
生殖医療サービスの利用可能性の測定は決して簡単なことではない。サービス提供地点の遠近や利用可能なサービスのタイプ,その費用などの問題だけでなく,提供されているサービスを女性がどこまで自由に利用できると感じるかも考慮されなければならないからである。
避妊がその好例である。避妊手段の利用は1990年代にすべての地域で増大しているが,アフリカ,特にその最も貧しい国々は他の地域よりも大きく遅れている。避妊手段の利用拡大は,もちろん,その入手可能性と知識にかかっているが,同時に,男女関係とカップル内部の力関係も重要である。生殖医療は,男性が性行為をどこまで規律正しく行うか,またパートナーの権利と健康をどこまで配慮するかにかかっている。男女間の力関係はしばしば文化と習慣に根ざしており,それゆえにこそ教育が果たす役割は重要である。
青年の問題
もう一つの重要な挑戦課題は,若者に向けて生殖医療に関する情報とサービスの利用可能性をどうやって拡大するかである。現在,10〜19歳の青年人口は11億人以上を数える。これはかつてなかった大きさである。多くの青年たちは,正規の教育や仕事,有益なレクレーションが不足している。その大半が極度の貧困状態のもとで暮らしている。彼らは,自分たちの直面する危険について十分な知識がない。しかも,自分自身を守る手段に乏しく,生涯ついてまわる恐れのある危険性に対して無自覚である。
全世界で毎年1,400万人以上の若い女性が子どもを産む。この妊娠のかなりの部分は望まれない妊娠であり,毎年少女たちが行う妊娠中絶は440万件と推計されている。青年の多くはまた,HIV/AIDSを含む性感染性の病気にかかる深刻な危険性に直面している。1993年に3,360万人の男女と子どもがHIV/AIDSに感染しており,その95%が開発途上諸国に住んでいる。新規のHIV感染者の半分以上は15〜24歳層である。大々的な国際的支援を受けた効果的な国家的プログラムによって,この汎流行病の根源を絶ち切ることができ,こうした何百万人の人に希望を与えることができる。
2005年までに15〜24歳の若い男女の90%以上に対して,彼らのHIV感染の危険性を減らすために必要な情報と教育とサービスの入手可能性を保証するという,ICPDプラス5カ国の目標は,こうした考えに基づいている。15〜24歳層のHIV感染率を世界的に減らすことが目標とされているが,特に最も影響の深刻な国のそれを25%削減することが中心となる。HIV/AIDS感染率の引き下げのためには,質の高い生殖医療の利用可能性の拡大だけでなく,人間関係と行動の内奥の変化,価値と規範の変化,その他が必要である。このことは,公式非公式のプログラムやメディア・キャンペーンを通じた教育が重要であることを意味する。しかし,行動を変化させるためには,問題の深刻さを知っている政治や宗教や地域社会の指導者たちからの支援が必要である。彼らの支援を得ることは,直面する挑戦課題の重要な一部である。■
目次
|