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ALAN DOSS AND IAN MCFARLANE,
UNITED NATIONS DEVELOPMENT GROUPAND PAUL ISENMAN, DEVELOPMENT CO-OPERATION DIRECTORATE,
OECD
マレーシア,モロッコおよび韓国は,1世代たらずの間に貧困者の比率を半減させた数少ない国の範疇に属する。インドのハリヤナ州,ケララ州およびパンジャブ州も同じタイプの改善を達成した。更に12カ国(ボツワナおよびモーリシャスを含む)が貧困層を4分の1以上減少させた。これら諸国の経験については多くの記録が残されており,他の諸国もこの経験から学べることが多い。これら諸国ができたのであるから,他の国にもできる。問題は,その方法である。
貧困層の発言権と選択権を強化すること,貧困層に有利な経済安定および成長,すべての者に対する基本的社会サービス,職業および技術に対する開かれたアクセス,ならびに十分な開発資源を適切に用いること。これがBetter
World for All報告書に記載された極貧を減少させるための5つの政策提言である。このスポットライトの記事の多くは,この提言に基づいている。
発言権と選択権
提案された戦略の出発点は,貧困者の力を強化することである。これは,貧困者が組織化する政治的余地を与えることを意味する。また,女性および少数集団が政治プロセスおよび政治制度にできる限り参加することを奨励することにより,これらの者に機会を与えることをも意味する。民主化は,選挙の実施にとどまってはならない。民主化により,独立の司法部,開かれた市民社会および自由なメディアが助長されなければならない。これらはすべて,公約や施策について政府に責任を持たせるのに役立つ。
民衆の力を強化するためには,基本的人権および法の支配を尊重することに対するコミットメントが必要である。このコミットメントを示す一つの重要な方途は,国が条約に参加することである。現在,世界の半数の国が女性差別撤廃条約(CEDAW)および児童の権利条約(CRC)を含む6つの人権条約すべてを批准している。わずか10年前には,この比率は10分の1にすぎなかった。
民主化のためには,汚職を撲滅することも必要である(Observer No. 220, 2000の贈収賄および汚職に関するスポットライト参照)。廉潔で反応が速い政府は,人間開発を助長し,またこれを実際に具体化する。
民衆の力の強化,開発資源の最大化および貧困の軽減は,健全で実効的な制度の構築,行政能力の向上,地元の参加の奨励および企業環境の改善と相まって進展する。
貧困層に有利な成長
経済成長は,長期的には,貧困軽減を持続させる上で不可欠であることは明らかだが,貧困軽減を保証するものではない。必要なのは貧困層に有利な成長であり,そのためには,貧困者のためにこれまでより適切な所得稼得機会を創出し,貧困者が生産ポテンシャルを発揮するのを助け,貧困者が少なくとも家族の基本ニーズを満たすのを可能にすることを要する。また,都市および農村の双方における小規模ならびにフォーマルなビジネスを奨励することを要する。ほとんどの場合,所有権,融資についての交渉力およびアクセス,訓練ならびに新しい技術を強化するための措置を必要とする。要するに,貧困層に有利な成長のためには,社会のすべての層,特に貧しい女性のためによりよい機会を創出することにより不公平の減少を目指さなければならない。中国およびマレーシアは,貧困層に有利な成長を達成した国の例である。問題は,現在他の多くの国がこれより著しく速いペースでの貧困層に有利な成長を必要としていることである。そのような国の中には,実質1人当たり所得が35年前よりも現在の方が低くなっている開発途上国30カ国が含まれる。
基本的権利の獲得
もとより,基本的社会サービスの提供は,いずれの貧困層に有利な成長および長期的開発戦略にとっても不可欠である。1995年のコペンハーゲン社会サミットにおいて,世界の指導者は,大まかな指針として,歳出予算の20%および援助額の20%を基本的社会サービスに配分するべきであるとした。最近,基本的社会サービスに対する予算配分は,ドミニカ共和国,グアテマラ,マラウイ,ナミビアなど多くの国で増加しているが,この指針を達成している国は,開発途上国であれ援助供与国であれほとんどない。それでも,教育(特に,見返りが大きい女子の教育)ならびにヘルスケア,水,衛生,その他の基本的サービスにおける貧困層に対する質の高い費用効果的なサービスに対する投資が緊急に必要とされている。
このようなサービスのコストに対応する一つの方法は,幅広く公平で公正な税基盤を構築することである。1994〜98年に低所得国で実際に徴収された税金は平均してGDPの10%未満であったが,これに対し,中所得国では約20%,高所得国では25%以上であった。ここでの問題は,増税ではなく,徴税方法の改善の問題である。
貿易,技術およびアイデア
グローバリゼーションは,開発のための途方もなく大きな機会を提供する。グローバリゼーションは,世界の知識,製品・サービスを引き渡す技術および世界市場へのアクセスを利用するためのすぐれた方法を提供する。いくつかの国は,このような機会を活用した。例えばインドは,新しい技術の分野で高い評判を得つつある。
過去20年間における電気通信コストの著しい低下により機会が増大した一方,携帯電話およびインターネットの普及は,例えば世界の相場を把握する必要があるガーナのココア貿易業者にとって,願ってもない幸運だった。知識およびアイデアの移転は,世界中いたるところの発展にとって不可欠であり,重要なのは,開発途上国のすべての市民社会および産業をこのような有望なネットワークに結び付けることである。それには電気通信および電力供給の分野に対する多大の投資を必要とすることは明らかであるが,コストは低下しつつあり,新しい(特に携帯電話の)技術の利用もますます容易になっている。
もとより,技術があるだけでは十分でない。関税その他開発途上国からの輸入(特に食品および繊維品)に対する貿易障壁を低くする責任が高所得国にあることは明らかである。富める国は,貧しい国が貿易相手国と交渉するのを助け,また可能な場合は一次産品に対する経済依存を低下させるのを助けることなどを通じて,貧しい国が効果的に貿易を行う能力を付帯するのを支援するべきである。各国がグローバリゼーションから恩恵を受けるためには,みずからの関税その他の貿易障壁を低めなければならない。特に,世界市場で競争できる可能性がある部門や世界的競争に直面することが資本および成長の面で利益をもたらすことが明らかな部門についてそう言える。各国は,輸入,輸出および金融の流れにかかる自国のシステムを合理化するべきである。また各国は,貧困層に有利な成長を幅広く支援するための一貫した財政・通貨政策を維持することにより,変動を最小限に抑えるよう最善を尽くさなければならない。
資源の効果的な利用
開発には金がかかる。民間による投資からも政府による投資からも大きな成果が得られる。多くの東アジア諸国の成長を推進したのは,その高い貯蓄率で,国民総生産の30%を超える場合も多い。これと対照的に,多くのアフリカ諸国の平均貯蓄率は国民所得の10〜15%で,人々を貧困から引き上げることができる速さの成長を維持するには低すぎる。
資金は,賢明に使わなければならない。長期的な発展の見込みがあるプロジェクトや貧困層のための基本的サービスに使うべきであり,都心の贅沢な病院などのような金持ちのための助成サービスに使うべきではない。実効的な徴税システムを通じた税金や関税,更には援助資金などの予測可能な収入に依存でき,また,公共サービスを効率的に提供する能力を持つ場合は,開発支出から大きな見返りが期待できる。
一部の地域は,外部資金調達についてほぼ全面的に援助に依存している。民間資金は,諸国が開発活動に投入している額を大幅に増大させる可能性がある。しかし,民間資金は,20カ国未満の開発途上国に集中しており,また,民間資金のいくつかのタイプ(債券,銀行貸出など)は,1990年代末期のアジア危機で明らかになったように,変動が大きい可能性がある。各国は,海外および国内から長期的投資を引き付けるような条件を創出する必要がある。モザンビークやウガンダのような諸国は,安定した政治的・経済的環境や友好的かつ透明な規制環境を整えることにより,まさにそのような方向を取り始めている。外国からの援助は,開発を支える上で重要な役割を果たす。特に,貧困国においてそうである。OECD諸国の大部分はGNPの0.7%を援助として供与する目標を受け入れているものの,この目標を達成しているのは,デンマーク,オランダ,ノルウェーおよびスウェーデンのみである。更に悪いことには,開発途上国を支援する熱意が1990年代に低下している。1992年から1997年までの5年間に,OECD諸国からの援助はGNPの0.33%から0.22%に低下したが,この低下傾向は,1998年および1999年には止まった。供与国は,貧困国に対する援助を増加させる必要がある。貧困にかかる目標を達成するには,債務救済を増大させることも不可欠である。
他方,援助供与国は,貧困国に対する免税やクォータ・フリーのアクセスを含め,自国市場に対するアクセスを容易にすることも必要である。また,熱帯病ワクチンの研究など,多くの国に対して同時に役立つプログラムに資金を供与するべきである。人間の苦痛や暴力的な衝突の発生件数を減らすこと,環境を保全することおよびHIV/AIDSといったグローバルな脅威の拡大を抑制することは,まさに,最貧国および後発開発途上国における成長を促進し,貧困を減少させるための要である。
ここからどこへ?
貧困の減少を目標とする戦略は多面的なものでなければならないというコンセンサスがある。このことは,2000年6月に国連,IMF,世界銀行およびOECDが共同で出したBetter
World for All報告書の中で明確に確認されている。また,同報告書に対する反応から判断して,貧困減少に際しての優先順位をどこに置くべきかについて意見が様々に分かれていることも明らかである。成長の加速か? 公平性の強化か? グローバリゼーションの加速か? 貿易の一層の自由化か?
いくつかの非政府機関は,不公正貿易,援助の減少,債務救済の不足,国際金融機関のガバナンスの仕組みといった問題を十分取り上げていないとして,Better
World for All報告書を強く批判した。これらの非政府機関は,このような問題分野において根本的な変化がない限り,貧困の大幅な軽減は幻想にすぎないと主張した。彼等は,同報告書は,開発途上国がなすべきことに重点を置きすぎ,先進国の責任およびコミットメントを十分に取り上げていないので,一面的であると考えている。彼等は,このようなコミットメントは果たされていないと考えている。
事実,同報告書は,公然たる責任追及を避けている。むしろ,採用された場合,2015年までに貧困を大幅に減少させる可能性がある幅広い政策提言に焦点を当てている。これらの目標の達成を支援するのは,すべての者の責任である。このことこそ,A
Better World for Allが強調しているように,開発途上国と高所得国との間,政府,市民社会および民間部門の間,および国連,世界銀行,IMF,OECDといった国際機関の間のパートナーシップが極めて重要である所以である。このようなパートナーシップは,開発の進展および政策に関する検討や討論に開かれていなければならないと同時に,約束が行動によって裏付けられるようにしなければならない。パートナーシップは,一方の意見を他方に押し付けることを意味せず,むしろ,責任を(南北)共同で負い,前例のない普遍的な支持を受けている目標の達成に向かって努力することを意味する。これは容易な課題ではないが,実行可能ではある。われわれは,この課題に取り組む責務がある。■
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