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民間資本の流れは,各国の開発努力へのインプットを増大させる可能性がある。しかし,この流れは,20カ国に満たない開発途上国に集中している。民間投資家はそれ以上のことができるだろうか。『オブザーバー』の特派員Lynn
Selhatが3人の金融専門家に尋ねる。
開発途上国に対する公的部門の資本投資が過去20年間に300億ドルから800億ドルにしか増加しなかった一方,民間部門の投資は,同期間に,450億ドルから3,000億ドルへと急増した。民間投資家にとって開発途上国が豊穣の地であることは明らかである。しかし,世界の最貧国に向かう資金の流れは少ない。開発途上国には高収益すなわちハイリターンの好機が存在する一方,事業を行う上でのリスクに満ちている。開発途上国は,外国から長期的投資を誘致しようとするならば,二国間・多国間組織の支援を得て,民間投資家にとって有利な環境を整える必要がある。
パリのSocGenのソブリン・リスク・マネージャーMarie-Christine Crosnierは,鋭いビジネス洞察力で潜在的な利益およびリスクを評価する。この国は,経済的に安定し,政治的に信頼性があるだろうか? 汚職が問題か,また,資本逃避のリスクがあるか? 当該国の財務大臣は,債務償還が困難になった場合,早めにシグナルを出す用意があるだろうか? 1980年代中頃のベーカー構想および1990年代のブレイディ構想の下での債務再編成プログラムに参加したCrosnier女史にとって,これらの問いに対する答えは,事業の成否を占う上で強力な予測要因となる場合が多い。
現在,民間部門の債務は,多国間および公的債務の4倍多く,かつ,債務の多くは,往々にして,再編成またはリファイナンスをしなければならない。そのため,銀行は,償還ないし一部返済について解決策を講じるために,当該国の財務大臣と協力しなければならない。そこで,銀行は,過去20年間に,開発途上国に対して債務を供与するに際し,極めて高い割引率を適用した。Carosnier女史によると,ラテンアメリカは,債務交渉の期間中コミュニケーションを維持して,民間銀行と効率的に交渉した。例えばチリは,民営化により助長されたイニシアティブである債務の株式化を利用した最初の国の一つであった。メキシコは,Jose´
A´ngel Gurrl´(元財務・公信用大臣)の指導の下で,1980年代末期および1990年代初期に,民間債務のリスケジュールに成功した。
「この期間に学んだことは,いずれの国も特殊なケースとして扱わなければならないということである」とCrosnier女史は言う。ラテンアメリカ諸国は早い段階から進んで積極的に債務償還プロセスの創出に参加したが,一部のアフリカ諸国との関係は,これほど簡単にはいかなかった。中には模範的な国も若干あるが,償還の問題について話し合う代わりに沈黙を守る場合が多かった。「病気が本当に重くなるまで医者にかからないといった感じさえある」とCrosnier女史は言う。
ラテンアメリカ諸国は,債務の条件を再調整するために銀行と密接に協働しつつ,自国の銀行制度の透明性を高める上で大きな成果を上げた。現在アルゼンチン,ブラジルおよびチリが10年前より低い利率で借入を行っていることは,世界の金利が低い水準にあることも一つの要因ではあるが,ある程度,この戦略が成功したことの証しでもある。
イギリスのForeign & Colonial Emerging Markets社のHarlan Zimmermanも,ラテンアメリカのパフォーマンス,なかんずくブラジルのパフォーマンスに感銘を受けている。ブラジルは,制度の透明性を高めるために改革措置を導入し,汚職の蔓延と闘っており,ロンドンに本社を置くこの資産管理会社にとって非常に魅力がある国になった。同社は,これまでに,新興諸国に50億ドルを投資している。
数年前のアジア銀行危機は,民間投資家にとって透明性がなぜそれほど重要であるかの説明になる。「数年前まで,開発途上のアジアはたいへんな人気があった」とZimmerman氏は言う。しかし,その制度は,透明でも外国投資家に配慮しているものでもなかった。その結果,多くの民間投資家は,銀行制度が危機に陥り始めて不意を突かれた。
古いものと新しいもの
株式市場がない国または株式市場が不安定な国には別の問題がある。世界でも残り数少ないアフリカのファンド・マネジメント企業であるBlakeney
Management社は,必要な場合は,会社の経営に積極的な役割を果たす。「価値を明らかにするのに株式市場に頼ることができないなら,自ら参加して手を汚し,会社が成長するのに手助けするしかない」とBlakeneyのJames
Graham-Mawは言う。Blakeneyのポートフォリオの4分の1は同社が株式を直接保有している会社であり,その会社の経営にある程度のコントロールを及ぼすことができる。このような場合は,Blakeneyは,その会社の取締役会にいくつかのポストを占めることができる程度の持分を取得し,変化を生じさせるよう試みることができる。
Blakeneyの成功物語の一つはAfrican Lakes社にかかわるものであるが,同社は,ロンドン証券市場で取引している。数年前,Blakeneyは,同社(持株会社)を選択し,「ただ同然で」,またプランテーション,自動車販売,鉱山といったオールドエコノミー産業を提供することにより投資した。「われわれは,このような伝統的な分野で事業を続けようとは思っていなかったが,経営者と協力して新しい市場に参入することができると考えた」とGraham-Maw氏は言う。電話を引くのにナイジェリアでは14年間待ち,ジンバブエでは7年待たなければならないことは,電話部門にすばらしく大きな機会があることを示していた。「われわれは,公共部門の非効率のためにぽっかり開いた空白に真の好機を見出す」とGraham-Maw氏は言う。現在,African
Lakesは,(南アフリカを除く)サハラ以南諸国で最大のインターネットサービス・プロバイダーで,Blackneyは,その投資に対して1000%の増益を得た。成長に対するこのように大きな利ざやが開発途上国に対する民間投資の大きな魅力である。
携帯電話の力
「アフリカがドイツ,日本,韓国といった戦後の工業化国と同じ道をたどるとは思わない。輸出に主導された製造業はアフリカの将来的な基盤とはならないだろう」とGraham-Maw氏は予想する。「むしろ,『1人当たり所得の伸び』に真の機会があると思う。アフリカでは1人当たり所得が伸びており,今後とも伸び続けるだろう」。所得が増加し始めると,人々はフォーマルエコノミーに参加する。銀行口座を開き,貯蓄を始め,消費財を買うようになり,結局課税対象が広がる。
資源に乏しい貧困国や一次産品に対する依存度が高い国にとっては,情報システムと通信は,よりよい経済およびより公平な社会への道そのものであるかもしれない。
Graham-Maw氏は,ジンバブエで成功している携帯電話会社Econetの例を上げる。Blakeneyは早い段階から同社の株式を取得していた。携帯電話の影響力は極めて大きく,問題なしとしないある政治家は昨春国民投票に負けたのをEconetのSMSメッセージング・サービスのせいにしたとGraham-Maw氏は言う。携帯電話は,「政府統制下の固定電話網がひどく非効率的な」国では本当に価値がある。
情報は,明らかに,多くのアフリカ諸国を悩ましている汚職および劣悪なガバナンスに対する強力な武器である。更にGraham-Maw氏は,メディアは,開発途上国をカバーする際に,天災や戦争,病気といった話題に焦点を当てすぎる嫌いがあると苦言を呈する。企業の新規設立は,報道に大きく取り上げられることはない。それでも,勇気付けられることがある。「アフリカに行くと,前進することに熱心な男女のビジネスマンに出会うし,また,適切な方向に進んでいる諸国に出会う」。
楽観的なのはGraham-Maw氏ばかりではない。コンサルティング企業Credit Risk International社のJean-Louis
Terrier会長によると,「アフリカ志向」になるもっともな理由がある。同氏は,2015年までに1人当たりGDPが急上昇すると見ている。[OECD Observer,2000年4月]
しかし,この楽観的な見方には確かな根拠があるのだろうか。途中に障害はないのか。開発途上国に対する民間投資に対する最大の障害の一つは,少数株主に対する保護が不十分なことである。「NGOや欧米諸国の政府は,銀行制度の透明性改善を助長し,少数株主に対する保護を強化するような法制および規制改革に金を注ぎ込むべきである」とZimmerman氏は言う。
民間部門と公共部門の融合
克服するべきもう一つの問題は認識の問題である。認識は,少なくともある程度,一部の貧困国から民間投資家を遠ざける要因となっている。これらの認識の改善は,国際金融公社(IFC)やブレトンウッズ諸機関のような組織がこれまでより一般的に大きな影響を及ぼし得る分野である。
これらの国際組織は,「触媒投資家」として,のどから手の出るほど必要とされる資金を供給するとともに,地域に対する信頼感を伝達し,民間投資家がこれにならう。このことは,すべての事業にとってこれらの組織が必要であるということを意味するものではなく,また,これらの組織が開発途上国におけるいずれの事業に対しても思う通りのコントロールを及ぼせるのでなければならないということでもないと,Foreign
& Colonial社のZimmerman氏は言う。「これら組織の役割は,リストラクチャリングを行っている経済部門などのための民間資本の下地を整えることや,長期的インフラストラクチャー投資などのように重要ではあるが,一般に外国資本を誘致するのが最も困難な部門に投資するのに最も適している」。あるNGOの目的が経済開発のための触媒として役割を果たすための資金の利用に限定されているならば,だれか他の者が資金を提供する場合はいつでも,当該NGOは引き下がって他に資金を投資しなければならないということになるとZimmerman氏は言う。
A Better World for Allに対する反応は,控え目の歓迎といったところである。「同報告書の目標は立派なもので,誰も反対する者はいないだろう」とSocGenのCrosnier女史は述べる一方,これらの目標を達成する手段の方が重要であることを強調する。このような手段を選択してそれについて合意する必要がある。これは困難な作業かもしれない。
恐らくその問題の解決は,民間銀行および多国間機関が相互理解を深めている場合には,困難の度合いが少ないであろう。「理想を言えば,考え方の交換のために,民間銀行と多国間機関の職員はそれぞれ相手方で一定期間を過ごすべきだろう」。他方,Crosnier女史は,銀行と国際組織との間の関係が大幅に改善していること,主要国際機関は民間銀行の意見をこれまでより熱心に求めていることを認める。「OECD
Observerとの今回のインタビューもよい兆しであると言える」。■
注:Observerは,このスポットライトの取りまとめに助力してくれたことについてOECDのBrian Hammondに謝意を表したい。開発に関するスポットライトはpdfフォーマットで入手可能。observer@oecd.orgに問い合わせされたい。
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